平成30年度 鹿児島大学 病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 911 528 514 807 1074 1588 3039 3172 1382 149
鹿児島県唯一の特定機能病院であり、県内全地域の医療機関より年齢を問わず、診断や治療が困難な患者、集学的治療を必要とする患者や、高度で専門的な治療が必要な患者が紹介される。
幅広い年齢層の入院患者の半数以上は、60歳以上で併存症を有することも少なくなく、治療に伴う副作用、合併症、後遺症などの危険性へも配慮が必要である。小児は先天性疾患など高度で専門的な手術、治療を必要とする症例を扱っている。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
眼科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020110XX97XXX0 白内障手術(片眼) 287 4.14 2.84 3.83 71.58
020220XX97XXX0 緑内障手術(片眼) 150 10.17 8.00 2.67 66.73
020110XX97XXX1 白内障手術(両眼) 102 6.63 5.39 1.96 73.03
020240XX97XXX0 硝子体手術(網膜剥離以外のもの) 101 8.69 6.16 0.00 73.09
020160XX97XXX0 網膜剥離手術 91 11.00 9.75 2.20 58.38
網膜硝子体、緑内障、ぶどう膜炎、外眼部、角膜、斜視、小児、網膜色素変性症など各領域の専門医が揃っております。
クリニックでは手術が難しい難症例の白内障手術を多く実施しており、複雑な手術に対しても各専門分野の複数メンバーによる体制で診療にあたっています。また、患者さんの希望や病状に合わせて同一入院での両眼白内障手術も多いのが特徴です。
高齢化社会の中、緑内障の患者さんが増えており、緑内障手術は年々増加しています。
黄斑円孔や黄斑前膜などの硝子体手術は質・安全性ともに高い技術を誇り、緊急性が高い網膜剥離に対しては可能な限り緊急手術を行い高い治癒率を実現しています。
救急集中治療科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110310XX99XX0X 尿路の感染症 16 12.13 12.58 43.75 78.31
030400XX99XXXX めまい 14 4.07 5.10 7.14 71.57
100380XXXXXXXX 脱水症 10 2.70 9.12 0.00 67.00
161070XXXXX00X 薬物中毒 10 3.10 3.56 40.00 41.00
010230XX99X00X てんかん - - - - -
当診療科には、救急、集中治療、脳外科、循環器内科、消化器外科、小児外科、麻酔科における各領域の専門医が揃っています。そのため、脳卒中・中毒等で意識レベルが低下した患者、急性心筋梗塞等の胸痛の患者、急性腹症等の腹痛の患者などに幅広く対応でき、万全な体制で診療に当たっています。また状態が悪く集中治療室に入室して緊急で人工透析や人工心肺を導入しないといけないような重症患者にも対応可能で、特に力を入れています。
血液膠原病内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
130030XX99X40X 悪性リンパ腫(リツキシマブ投与あり) 42 18.45 16.17 2.38 64.33
130010XX97X2XX 急性白血病 32 36.50 40.13 0.00 42.75
070560XX99X00X 全身性自己免疫疾患 28 18.82 15.58 10.71 58.93
130040XX99X5XX 多発性骨髄腫 25 22.44 23.43 16.00 64.48
130030XX99X30X 悪性リンパ腫(リツキシマブ投与なし) 25 17.20 17.10 0.00 72.40
当科では、良性・悪性の血液疾患、自己免疫疾患(膠原病、リウマチ)の患者さんに対する医療の提供を行っています。
本県では、血液疾患、自己免疫疾患とも、鹿児島市以外では診療、特に入院可能な医療機関がごく少数に限られるという地域的な特性があります。入院期間の短縮をはかり、患者さん本人やご家族が日量生活の枠組みを大きく変えることなく、よりよい治療が出来るよう努めています。
呼吸器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040XX97X0XX 肺の悪性腫瘍 手術あり 手術・処置等2 なし 133 16.08 11.87 9.02 69.62
040040XX9910XX 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 60 3.30 3.43 1.67 71.52
040040XX9908XX 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 8あり 24 12.13 10.62 0.00 69.88
040040XX9900XX 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 15 8.53 14.58 6.67 67.53
040040XX9905XX 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 5あり 12 17.08 19.34 0.00 68.92
呼吸器外科のある病院が地域に少なく、また、本土から600km内外の離島から治療のために入院される方も多い。そのため、手術後十分回復するまで経過を見ることが多かったり、天候などにより退院日を延ばさざるを得ないことがあるため、全国平均と比べ在院日数が長くなる傾向にある。
呼吸器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040XX9910XX 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 100 4.67 3.43 5.00 69.18
040040XX99040X 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 4あり 定義副傷病なし 66 11.20 10.00 1.52 71.38
040110XXXXX0XX 間質性肺炎 手術・処置等2 なし 52 11.71 19.06 11.54 70.35
040040XX9905XX 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 5あり  38 22.97 19.34 18.42 64.13
040040XX9908XX 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 8あり 37 12.76 10.62 2.70 62.70
当科では、肺、縦隔の悪性腫瘍についての検査、治療の目的に入院する患者、次に間質性肺炎の患者が多く入院されている。
肺がんが疑われる患者は、その診断のために入院の上で内視鏡検査を行う。以前は解剖学的に診断が困難であった病変にも、機器の進歩によってアプローチが可能になっている。肺がんの診断に至った患者は、その進行の程度により治療方針を検討し、特に進行期肺がんの患者は呼吸器内科で放射線治療や化学療法を行う。
近年、がん遺伝子、免疫機構に関連した治療薬の開発により、これらの適応となった患者は治療効果は飛躍的に改善しているにも関わらず、肺がんは我が国における悪性腫瘍の中で最も多い死亡者数となっている。
間質性肺炎は、膠原病や血管炎症候群、過敏性肺炎などその原因は多岐にわたり、原因のない間質性肺炎もある。当科では間質性肺炎の原因についての精密検査を行い、診断に応じて適切な治療を行う。原因のない間質性肺炎のひとつである特発性肺線維症は以前は治療薬が無かったが、最近開発された抗線維化薬によりその進行を遅らせることが明らかにされた臨床研究の結果が報告され、当科でも投薬を行っている。
産科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
120180XX01XXXX 胎児及び胎児付属物の異常 子宮全摘術等 49 10.37 9.70 2.04 34.18
120180XX99XXXX 胎児及び胎児付属物の異常 手術なし 32 4.53 6.52 0.00 30.88
140010X199X00X 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重2500g以上) 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病なし 17 3.47 6.17 0.00 0.00
120200XX99XXXX 妊娠中の糖尿病 手術なし 16 7.19 5.75 0.00 37.56
120270XX99X0XX 産褥期を中心とするその他の疾患 手術なし 手術・処置等2 なし 12 7.25 6.47 0.17 32.33
地域周産期母子医療センターとして、妊娠・分娩・産褥期における緊急入院患者をはじめ複雑な合併症を抱えたハイリスクな症例に対して万全な体制で、就学的かつ多面的な診療を行っています。同時に院内助産も活用し、ローリスク妊娠に対しては自由度を拡大しながらも安全かつ良質な周産期医療を展開しています。また、南九州唯一の胎児心臓超音波検査専門施設として先天性心疾患をはじめとした胎児診断についても年間約100例と積極的に行っており、高レベルの検査手技能、説明および家族支援を展開しています。
耳鼻咽喉科頭頚部外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030350XXXXXXXX 慢性副鼻腔炎 54 7.17 7.04 1.85 58.04
030230XXXXXXXX 扁桃、アデノイドの慢性疾患 50 6.92 7.89 0.00 34.02
030150XX97XXXX 耳・鼻・口腔・咽頭・大唾液腺の腫瘍 手術あり 42 6.76 7.37 0.00 56.55
03001XXX99X3XX 頭頸部悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 3あり 35 63.83 36.03 8.57 60.86
030240XX01XXXX 扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎 扁桃周囲膿瘍切開術等 30 6.13 7.27 3.33 40.47
耳鼻咽喉科頭頸部外科領域に疾患を幅広く診療しており、あらゆる耳鼻咽喉科頭頸部外科疾患の患者が受診している。
中でも慢性扁桃炎や扁桃病巣疾患(IgA腎症など)に対する口蓋扁桃摘出術、慢性副鼻腔炎に対する内視鏡下鼻副鼻腔手術、頭頸部癌の治療を数多く行っている。また、止血困難な鼻出血の入院加療も多い。
小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
14031XX09910XX 先天性心疾患(動脈管開存症、心房中隔欠損症を除く。)(1歳以上) 手術なし 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 46 3.89 4.24 0.00 5.43
110260XX99X0XX ネフローゼ症候群 手術なし 手術・処置等2 なし 33 8.00 21.40 0.00 9.55
140010X299X0XX 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重1500g以上2500g未満) 手術なし 手術・処置等2 なし 28 14.18 11.32 14.29 0.00
140010X199X00X 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重2500g以上) 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病なし 25 8.36 6.17 4.00 0.00
110280XX991X0X 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1 あり 定義副傷病なし 19 6.37 7.18 5.26 10.68
当科では、小児に関わる様々な分野で診断・専門的医療を行っている。大学病院の役割として、稀少疾患や難治性疾患への対応においては、必要に応じて集中治療室と連携し診療にあたっている。
血液;小児がん治療を積極的に行っており、年間10~15名の新規小児がん患者の入院があり、全国他施設共同治療研究(JCCG:日本小児がん研究グループ)による血液腫瘍・固形腫瘍患者の診療を行っている。また、造血細胞移植術を併用した治療も行っている。
循環器;当院の心臓血管外科では先天性心疾患に対する外科治療が行われている。その対象疾患は多岐にわたり、当科では診断検査や術前・術後管理のための患者が多く入院されている。
腎;小児腎疾患では、診断のための腎生検と治療方針決定、初期治療を当科で行い、その後は地域の医療機関と連携して診療する体制を構築している。
新生児;新生児集中治療室(NICU)は当科で早産児・低出生体重児の全身管理にあたっている。心疾患や消化器疾患など手術の必要な新生児も積極的に受け入れている。
膠原病;小児膠原病を専門とする医師が多く、様々な自己免疫性疾患に対する検査、治療が行われている。
神経;当院に設置されているてんかんセンターや下垂体疾患センターにも参画し、それぞれの疾患領域において小児に対する専門治療を行っている。
子どもの診療には多くの職種が携わっており、医師、看護師以外にも、病棟薬剤師、理学療法士、作業療法士、病棟保育士、ソーシャルワーカーなどが患者とご家族の診療のお手伝いや生活における支援などを行っている。
小児外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060160X101XXXX 鼠径ヘルニア(15歳未満) ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 37 3.30 2.82 0.00 4.51
060150XX02XXXX 虫垂炎 虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴うもの等 24 10.33 9.94 0.00 9.00
140590XX97XXXX 停留精巣 手術あり 15 3.00 3.14 0.00 3.07
060340XX99X00X 胆管(肝内外)結石、胆管炎 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病なし 13 13.85 9.81 0.00 5.00
140280XX97X0XX 気道の先天異常 手術あり 手術・処置等2 なし 12 4.42 10.08 0.00 9.17
上位3つの鼠径ヘルニア、急性虫垂炎、停留精巣は小児外科における日常的な疾患として位置付けられます。虫垂炎については、手術時の炎症程度により術後数日で退院できるものから、7~10日前後まで加療を要する状態まで幅があります。胆道閉鎖症については、術後の長期フォローのなかで、胆管炎を発症し入院加療を要する患者様がいらっしゃいます。当科では、小児気道外科手術も行っております。術後の長期フォローにおける硬性気管支鏡検査入院もふくめ、上位5位に入っています。
消化器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060010XX99X00X 食道の悪性腫瘍に対する精査及び加療 66 7.58 10.70 10.61 71.17
06007XXX99000X 膵臓、脾臓の腫瘍に対する精査及び加療 51 8.80 11.79 5.88 67.33
060020XX99X00X 胃の悪性腫瘍に対する精査及び加療 50 6.62 10.90 6.00 68.00
060040XX99X00X 直腸肛門の悪性腫瘍に対する精査及び加療 47 6.57 8.82 0.00 65.19
060050XX99X00X 肝臓、胆管の悪性腫瘍に対する精査及び加療 41 5.44 9.59 0.00 69.88
当科では、食道、胃、大腸・直腸、膵臓、肝臓、胆管・胆のうの腫瘍に対する正確な診断に基づき、抗癌剤治療や外科手術を行っている。治療に当たっては各種ガイドラインの基本を遵守しながら、患者個人の全身状態や生活環境を考慮し、最適な治療方針を当科全体で検討している。抗癌剤治療や放射線治療の後に外科手術を行うこともあり、効果的な治療を行うために他科(消化器内科や放射線科等)とも密接に連携している。医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、理学療法士等からなる診療チーム全体で、安心して治療を受けて頂けるように心がけている。
消化器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060050XX97X00X 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。) その他の手術あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病なし 105 11.47 10.42 1.90 74.27
060340XX03X00X 胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 手術・処置等2 なし 定義副傷病なし 55 8.60 10.08 7.27 67.18
060010XX02X00X 食道の悪性腫瘍(頸部を含む。) 内視鏡的食道粘膜切除術等 手術・処置等2 なし 定義副傷病なし 51 10.24 9.03 3.92 70.41
060050XX99X00X 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。) 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病なし 50 6.12 9.59 0.00 69.94
060035XX03XXXX 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術 38 9.21 7.09 0.00 68.95
当科では、消化管(食道、胃、十二指腸、小腸、大腸)、肝臓、胆道(胆のう、胆管)、膵臓など消化器全般の診療を行っている。症状や病態に応じて内視鏡検査、腹部超音波検査、CT、MRI、血管造影検査、消化管造影検査などの画像診断を組み合わせ、各種消化器疾患に適切な治療を行えるよう対応している。
1、4位の分類では、肝細胞癌に対し、癌に栄養を供給している血管を詰まらせる血管内治療を行います。また、肝腫瘍や原因不明の肝炎疾患の原因検索のために肝生検を行うことがある。
心臓血管外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050163XX03X0XX 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 ステントグラフト内挿術 手術・処置等2 なし 36 15.56 12.01 11.11 76.56
050080XX01010X 弁膜症(連合弁膜症を含む。) ロス手術(自己肺動脈弁組織による大動脈基部置換術)等 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 1あり 定義副傷病なし 33 27.70 24.00 27.27 66.15
050161XX01X0XX 解離性大動脈瘤 ステントグラフト内挿術 手術・処置等2 なし 19 23.84 16.85 21.05 59.53
050163XX97X0XX 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 その他の手術あり 手術・処置等2 なし 11 10.27 8.16 18.18 75.64
050161XX97X10X 解離性大動脈瘤 その他の手術あり 手術・処置等2 1あり 定義副傷病なし 10 26.20 28.37 70.00 75.00
・大動脈弁狭窄症
大動脈弁が肥厚・変形・硬化する原因として最も多いのが石灰化である。65歳以上の高齢者に多く、或る意味では加齢に伴う変化かも知れない。弁の開放面積が0.75cm2以下(正常の約3分の1以下)は高度狭窄と言われ、狭い弁を介して血液を押し出さなければならないため心臓に過大な負担がかかり、脳を始め、重要臓器の血流低下を来たす。また胸痛などの症状が出現後は、突然の心不全、急死なども見られることがある。手術は弁置換術を行う。狭くなった弁を切り取り、人工弁を縫着する。
・大動脈弁閉鎖不全症
これは3つからなる大動脈弁のかみ合わせが悪く逆流を起こす疾患である。左室が逆流を押し返すことに徐々に疲弊して、左室の収縮力が落ち左室拡大していき、機能を落とす。単独の大動脈弁閉鎖不全症に対しては、弁置換術を行っている。また、心臓から出る大動脈の起始部が瘤状に拡大し、大動脈弁閉鎖不全を伴う場合もあり、大動脈基部再建術が選択されるが、この場合は大動脈弁を人工弁で置換し、大動脈起始部を人工血管で置換する方法と、自己の大動脈弁は残したまま、大動脈の起始部から人工血管で置換する方法があり、弁の形態やワーファリン内服に対する患者の考え方等で選択している。ワーファリンや人工弁を回避したい場合、可能であれば、自己弁温存大動脈起基部置換と大動脈弁形成を同時に行っている。
・僧帽弁閉鎖不全症
これは2つからなる僧帽弁のかみ合わせが悪く、逆流を起こす疾患である。左室が逆流を押し返すことに徐々に疲弊して、左室の収縮力が落ち左室拡大していき、機能を落とす。以前は人工弁置換術が施行されてきたが、ここ20年間の間に、国内外を問わず、自己弁を修復する僧帽弁形成術が主流となり、優れた術後長期成績も周知の事実となった。不整脈が無ければ手術後3ヶ月でワーファリン内服を中止できる長所がある。弁を支えるパラシュートのひものような腱索が伸びたり、切れたりして、結果的に弁がめくり返り(逸脱とも言います)閉鎖不全を生じることが多い。逆流を起こす部位、病変によって手術方法が異なり、高度な術前、術中判断と手技が要求される。僧帽弁は前尖と後尖よりなるが、形成の方法も様々だが、前尖の逸脱の場合は、伸びたり切れたりした腱索の代わりに、人工腱索を縫い付けてめくり返った弁の部分を戻す方法を行っている。後尖の逸脱の場合は、逸脱した部分を3角形に切除して、残った両方の端を縫い合わせる方法を選択する場合が多い。また、前尖、後尖の逸脱を問わず、一旦僧帽弁閉鎖不全症が発症すると、殆どの症例で、弁の周囲が拡大して変形するため、これを生理的なサイズと形態に近づける為に、リングを弁の周囲に縫着する。当科では形成術後殆どの患者が、ワーファリン内服による日常生活上の制約もなくお元気に毎日を送られている。当院では心臓血管内科、検査科のエコーグループによる術前、術中のエコー評価が非常に詳細に行われるため、術前の弁形成プラン、術中の遺残逆流の有無の評価が正確に行われ、良好な結果を生む大きな要素となっている。
心臓血管内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050050XX02000X 狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈形成術等 手術・処置等1 なし、1・2あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病なし 113 4.83 4.47 2.65 69.60
050070XX01X0XX 頻脈性不整脈 経皮的カテーテル心筋焼灼術 手術・処置等2 なし 104 5.80 5.15 0.00 63.09
050050XX99100X 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等1 1あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病なし 101 3.76 3.01 3.96 68.76
050170XX03000X 閉塞性動脈疾患 動脈塞栓除去術 その他のもの(観血的なもの)等 手術・処置等1 なし、1あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病なし 33 6.18 5.50 0.00 75.24
050080XX99100X 弁膜症(連合弁膜症を含む。) 手術なし 手術・処置等1 1あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病なし 32 7.00 5.81 3.13 74.09
1位は狭心症に対して冠動脈の狭窄および閉塞を風船で拡張しステントと呼ばれる金属を留置する治療。
2位は心房細動などの頻脈性不整脈をカテーテルを用いて、高周波電流で焼き切る治療。
3位は狭心症に対してカテーテルで冠動脈を造影する検査。
脳神経内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010090XXXXX2XX 多発性硬化症 手術・処置等2 2あり 84 23.33 37.29 13.10 31.67
070560XX99X00X 重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病なし 22 14.27 15.58 9.09 59.91
010110XXXXX40X 免疫介在性・炎症性ニューロパチー 手術・処置等2 4あり 定義副傷病なし 21 14.90 16.16 4.76 49.38
010155XXXXX00X 運動ニューロン疾患等 手術・処置等2 なし 定義副傷病なし 21 5.57 13.66 0.00 50.52
010130XX99X4XX 重症筋無力症 手術なし 手術・処置等2 4あり 13 12.46 17.57 23.08 54.08
当科では多発性硬化症、感染性脳炎、自己免疫性脳炎脳症など他院での治療が難しい患者に対して、内服、点滴、血液浄化療法、免疫グロブリン大量療法などの特殊な治療を積極的に実施している。 筋疾患では積極的に筋生検を行い、的確な診断と迅速な治療を行っている。パーキンソン病についても特殊な核種を用いた検査で的確に診断し治療につなげている。その他、診断の難しい疾患についても電気生理検査、神経生検といった神経内科特有の検査も経験豊富な当科が行い診断に導いている。
腎臓内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110280XX991X0X 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1 あり 定義副傷病なし 22 6.18 7.18 0.00 50.18
110280XX99000X 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病なし 14 13.14 12.05 0.00 36.93
140550XX99X1XX 先天性嚢胞性腎疾患 手術なし 手術・処置等2 あり - - - - -
110280XX97X00X 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 その他の手術あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病なし - - - - -
110280XX02X00X 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 動脈形成術、吻合術 その他の動脈等 手術・処置等2 なし 定義副傷病なし - - - - -
腎炎をはじめ、膠原病など自己免疫疾患に伴う腎障害や先天性の腎のう胞など腎臓に生じる内科的疾患全般に対し腎臓専門医が診療にあたっている。
必要と判断した患者に対しては病気の診断や評価に必須の組織検査(腎生検)を積極的に行い、末期腎不全への進展を抑制する治療を提示している。
整形外科リウマチ外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
070180XX97XXXX 脊椎変形 手術あり 40 31.80 23.98 35.00 37.95
070343XX99X1XX 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 腰部骨盤、不安定椎 手術なし 手術・処置等2 1あり 37 5.27 2.79 0.00 69.08
070341XX99X1XX 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 頸部 手術なし 手術・処置等2 あり 34 5.88 3.17 8.82 69.62
070341XX020XXX 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 頸部 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。) 前方椎体固定等 手術・処置等1 なし 30 24.97 20.71 63.33 69.17
07040XXX01XXXX 股関節骨頭壊死、股関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 30 18.97 22.27 86.67 65.43
当科では脊椎変形の疾患(思春期の背骨の弯曲や中高齢者の腰の弯曲)に対して、一度検査入院を行って、病状と治療方針をよく検討・ご説明してから、手術を行うという流れで多くの患者の背骨の変形を改善することができている。
変形性股関節症や大腿骨頭壊死に対する人工股関節置換術を多く行っており、骨移植を必要とするような変形の強い症例が多いのが特徴。リハビリプログラムで連携した医療機関に転院してスムーズな社会復帰を目指している。
糖尿病・内分泌内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
100070XX99X100 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)(末梢循環不全なし。) 手術なし 手術・処置等2 1あり 定義副傷病なし 85歳未満 44 14.25 13.90 13.64 57.64
100180XX990X0X 副腎皮質機能亢進症、非機能性副腎皮質腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 定義副傷病なし 37 6.59 6.35 0.00 56.05
100250XX99101X 下垂体機能低下症 手術なし 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病あり 15 8.53 9.21 0.00 49.07
100070XX99X000 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)(末梢循環不全なし。) 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病なし 85歳未満 15 12.07 11.05 0.00 48.67
100202XXXXXXXX その他の副腎皮質機能低下症 13 8.46 10.79 0.00 49.08
糖尿病や内分泌疾患を対象に診療を行っています。
糖尿病(1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病等を含む)患者に対する血糖管理のために教育入院を行い、同時に合併症の評価も行っている。診療科の垣根を越えた医療連携をとり、合併症の評価・診断を行っている。
また、手術を行う前に血糖のコントロールが必要な患者には、手術を行う診療科と連絡を取り合いながら、手術が予定通りに行われるように支援している。
検診で腹部の画像検査(CT、MRI、腹部エコー)で副腎にできものを指摘されたり、頭の検査のときに下垂体にできものを指摘された内分泌疾患の患者に対しては、他科とも連携をとりながら患者に最適な治療を選択し、治療を行っている。
乳線・甲状腺外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
090010XX01X0XX 乳がんに対する手術 59 14.17 10.59 5.08 62.17
100130XX97X0XX 甲状腺の良性腫瘍に対する手術 43 7.63 7.49 6.98 52.44
090010XX99X4XX 乳がんに対する治療(薬物療法など) 32 2.59 4.28 0.00 56.09
100020XX010XXX 甲状腺の悪性腫瘍に対する手術 21 12.24 8.68 0.00 59.05
100140XX97XXXX 甲状腺機能亢進症(バセドウ病)に対する手術 16 9.19 9.46 0.00 36.06
甲状腺の悪性腫瘍は、癌の広がりによって、甲状腺の片側だけを切除する片葉切除、甲状腺内に癌が多発している場合などは、全摘もしくは亜全摘が行われ良好な予後が得られている。乳癌についても、癌の大きさや性状によって手術方法が異なり、乳腺をすべて切除したり、乳房を温存し部分的に乳腺を切除する方法等、患者の状況に応じて対応している。また、乳癌については抗がん剤治療や分子標的治療、ホルモン療法が進歩しているため、手術前もしくは術後に積極的に薬物療法を付加することで予後の向上を目指している。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010010XX01X00X 脳腫瘍 頭蓋内腫瘍摘出術等 手術・処置等2 なし 定義副傷病なし 46 17.61 21.16 13.04 55.04
100260XX9710XX 下垂体機能亢進症 手術あり 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 34 13.65 19.57 2.94 56.32
010030XX9910XX 未破裂脳動脈瘤 手術なし 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 28 3.29 3.02 0.00 61.07
010070XX99020X 脳血管障害 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 2あり 定義副傷病なし 26 2.35 5.73 0.00 34.62
010230XX99X00X てんかん 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病なし 25 5.56 7.28 8.00 47.16
当科では年間200名以上の患者に対して「脳腫瘍」の治療を行っている。脳腫瘍の摘出術は、腫瘍の大きさ、腫瘍の発生した場所、腫瘍の悪性度、手術前の症状、などにより内容は異なる。
一般的な良性腫瘍(髄膜腫など)の場合は摘出術を行い、術後に後療法を要することなく自宅退院される(診断群1位)。悪性腫瘍でも診断により後療法(化学療法,放射線治療)を行わない場合もこの群に含まれている.
下垂体疾患の治療は内視鏡を用いた経鼻的腫瘍摘出術を第一選択として行っている。術前術後には必要に応じてホルモン値を評価する。良性疾患がほとんどであり、術後回復も良好で早期退院が可能である(診断群2位)。
診断群3位は未破裂脳動脈瘤や脳動静脈奇形に対する精査のための,脳血管カテーテル検査目的の入院である.同様に当院ではもやもや病の症例も多く,カテーテル検査と脳血流検査を行い術前後の評価としている(診断群4位).
てんかんは持続脳波モニタなどの検査目的の入院である(診断群5位)。当院はてんかんセンターを併設しており,診断治療目的の持続モニタリングの症例が増加している.
泌尿器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110060XX99X20X 腎盂・尿管の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 2あり 定義副傷病なし 54 9.67 10.99 0.00 70.78
110080XX01XXXX 前立腺の悪性腫瘍 前立腺悪性腫瘍手術等 41 11.54 12.63 4.88 70.07
110070XX0200XX 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 33 8.55 7.20 12.12 73.94
110080XX991X0X 前立腺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 あり 定義副傷病なし 32 3.03 2.53 0.00 72.44
110070XX99X20X 膀胱腫瘍 手術なし 手術・処置等2 2あり 定義副傷病なし 22 12.36 10.97 0.00 65.41
当科は尿路臓器(尿が作られ排泄されていく通路)である腎臓・尿管・膀胱・尿道のほかに、男性生殖器である前立腺・精巣・陰茎、内分泌器である副腎に関連する疾患を診断・治療する診療科である。泌尿器がん、腎不全、小児泌尿器疾患、尿路感染症、副腎内分泌疾患などを中心に治療を行っている。
男性のがん罹患率で最も多い前立腺がんは、手術(ロボット支援手術、腹腔鏡下手術、開腹手術)、放射線療法(密封小線源療法、IMRT)など多くの治療選択肢の中から、患者の病態や希望に沿った最適な治療を選んで行っている。
その他にも、腎がん、腎盂尿管がん、膀胱がんに対する手術(内視鏡手術、腹腔鏡下手術)や化学療法も多く行っている。
皮膚科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080090XXXXXXXX 紅斑症 40 12.40 10.07 7.50 68.50
080006XX01X0XX 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外) 皮膚悪性腫瘍切除術等 手術・処置等2 なし 37 8.73 8.16 13.51 79.51
070560XX99X00X 重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病なし 34 16.62 15.58 20.59 54.56
080190XXXXXXXX 脱毛症 20 3.90 3.52 0.00 38.60
080007XX010XXX 皮膚の良性新生物 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)等 手術・処置等1 なし 20 4.55 4.05 0.00 50.15
悪性、良性とも皮膚腫瘍は入院して切除する。
紅皮症は全身皮膚が紅潮を示す状態で、内臓の異常が皮膚病変の原因となることがあるため、入院し全身の精密検査を行う。
自己免疫性疾患は皮膚だけではなく、全身の諸臓器に症状が現れるためやはり全身的な検査と治療が必要である。
脱毛症は重症あるいは治りにくいことが多く、そのような場合は入院治療が必要である。
婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
12002XXX99X40X 子宮頸・体部の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 4あり 定義副傷病なし 166 3.85 4.85 0.60 56.72
120010XX99X70X 卵巣・子宮附属器の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 7あり 定義副傷病なし 106 3.65 4.52 1.89 58.69
12002XXX01X0XX 子宮頸・体部の悪性腫瘍 子宮悪性腫瘍手術等 手術・処置等2 なし 101 13.95 12.58 2.97 54.76
12002XXX99X50X 子宮頸・体部の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 5あり 定義副傷病なし 90 3.19 4.82 1.11 48.60
120010XX99X50X 卵巣・子宮附属器の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 5あり 定義副傷病なし 49 3.51 4.61 10.20 56.78
悪性腫瘍に対する入院患者が多いのが特徴です。地域の中核病院として、ガイドラインに基づいた標準治療を行うとともに、全国規模の臨床試験および国際共同臨床試験に参加しております。当科で悪性腫瘍手術を施行した後、化学療法を行うことが多く、また化学療法は約6コースと繰り返し行うことが多いので、DPCとしては化学療法が上位を占めています。特に、卵巣癌においては分子標的薬を使用することが増えてきているため、卵巣癌に対する化学療法が上位を占めています。県内はもとより、九州圏内からも多数の患者が集まりますが、手術は卵巣癌より子宮頚癌、子宮体癌に対する子宮悪性腫瘍手術が多い傾向にあります。また、良悪性腫瘍に対する腹腔鏡手術・ロボット手術も数多く実施しております。
婦人科的な急性腹症(卵巣腫瘍茎捻転、異所性妊娠など)の救急搬送も積極的に受け入れております。
放射線科(医科)
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
100020XX99X2XX 甲状腺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 2あり 28 4.39 6.51 0.00 63.18
050200XX97XXXX 循環器疾患(その他) 手術あり 24 10.00 9.98 0.00 65.42
100020XX99X5XX 甲状腺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 5あり  23 7.22 8.78 0.00 53.96
060050XX97X00X 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。) その他の手術あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病なし 20 11.50 10.42 5.00 75.35
100180XX991XXX 副腎皮質機能亢進症、非機能性副腎皮質腫瘍 手術なし 手術・処置等1 あり 13 5.15 4.02 0.00 57.85
放射線科では、甲状腺癌を中心とした核医学治療(アイソトープ内用療法)や、内臓動脈瘤及び血管奇形などの良性疾患に対するカテーテル治療、肝細胞癌などの悪性腫瘍に対するカテーテル治療など、幅広い疾患に対する診療を行っています。また、副腎皮質からのホルモン過剰産生が疑われる疾患の精密検査として、副腎静脈からのカテーテルを用いた採血結果も積極的に行っています。その他、前立腺癌などの悪性腫瘍に対する放射線治療にも外来、入院を含めて対応可能です。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 66 19 29 80 9 63 1 8
大腸癌 50 57 65 92 24 43 2 8
乳癌 35 42 20 1 8 22 1 8
肺癌 115 34 72 122 33 189 1 8
肝癌 36 45 35 22 4 145 2 6
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
当院は県内唯一の大学病院であり、都道府県がん診療連携拠点病院にも指定されている。手術だけでなく化学療法や放射線治療などの集学的治療、治験や臨床試験、先進医療など、幅広いがん治療を提供している。
5大癌のみならず、希少がんも含め多くのがん治療を実施しており、5大癌の中では、肺癌は県内でも特に症例数が多く、患者にとって侵襲性の少ない鏡視下での手術が多く実施されている。
複雑な合併症を抱えた患者についても他の診療科からの協力が得られることで、高度な医療を提供することが可能となっている。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 10 12.40 53.50
中等症 32 15.84 69.34
重症 4 17.75 77.00
超重症 12 20.42 80.25
不明 - - -
市中肺炎とは、病院外で日常生活を送っていた人に発症する肺炎である。鹿児島大学病院における平成30年度の市中肺炎の患者は合計58名で、市中肺炎重症度判定ツールであるA-DROPスコアによれば、重症4例、超重症が12名であった。
A-DROPスコアは以下の項目で構成されており、該当する項目が多いほど重症度が高くなる。

A(年齢):男性70歳以上、女性75歳以上
D(脱水):BUN 21mg/dl以上または脱水あり
R(経皮的動脈血酸素飽和度):SpO2<=90%(PaO2  60Torr以下)
O(意識障害):意識障害あり
P(収縮期血圧):収縮期血圧90mmHg以下
O(意識障害)があれば1項目のみでも超重症として集計しており、鹿児島大学病院においてはO(意識障害)に該当する患者数は7名であった。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 35 29.46 71.54 33
その他 10 38.30 63.50 9
脳梗塞は、脳の血管が詰まることで脳の一部が壊死していくことから直ちに診療を行うことが必要になる。そのため、この指標では発症日から何日目の入院であるかを分けて集計している。
当院における脳梗塞患者数は、対象者45名、男性28名、女性17名であった。年齢は37~90歳で、平均年齢は69歳であった。
患者全体では、45名中35名が3日以内の発症で、34名が緊急入院している。入院時RankinScaleとあわせると、35名中22名が発症前に大きな障害なく生活し、発症する経過を辿っている。
治療後は45名中19名はリハビリの継続等を目的に他院へ転院されている。
※入院時RankinScaleとは、脳卒中患者に対して用いられる、発症前おおむね1週間の総合的な評価指標のこと。
※DPC点数表改定に伴い、集計傷病名がI63$の脳梗塞のみとなっている。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
眼科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2821ロ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入する場合)(その他のもの) 385 1.55 2.22 3.38 72.07
K2801 硝子体茎顕微鏡下離断術(網膜付着組織を含むもの) 245 1.18 8.50 1.22 64.99
K2683 緑内障手術(濾過手術) 102 3.43 7.54 1.96 66.52
K2802 硝子体茎顕微鏡下離断術(その他のもの) 80 1.68 7.25 0.00 73.98
K2684 緑内障手術(緑内障治療用インプラント挿入術)(プレートのないもの) 53 2.98 7.58 1.89 72.64
網膜硝子体、緑内障、ぶどう膜炎、外眼部、角膜、斜視、小児、網膜色素変性症など各領域の専門医が揃っております。
クリニックでは手術が難しい難症例の白内障手術を多く実施しており、複雑な手術に対しても各専門分野の複数メンバーによる体制で診療にあたっています。また、患者さんの希望や病状に合わせて同一入院での両眼白内障手術も多いのが特徴です。
高齢化社会の中、緑内障の患者さんが増えており、緑内障手術は年々増加しています。緑内障手術の方法には様々な方法がありますが、複数の緑内障専門医で対応し、その方法は濾過手術以外にも多岐に渡ります。
硝子体茎顕微鏡下離断術(網膜付着組織を含むもの)の適応となる黄斑円孔・黄斑前膜・網膜剥離・糖尿病網膜症は高い技術を展開しています。硝子体茎顕微鏡下離断術(その他のもの)の対象となる硝子体混濁や眼内レンズ脱臼(白内障手術後の長期合併症)が増えてきており、高齢化社会の影響が考えられますが、早期退院を実践しております。
呼吸器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K514-23 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超えるもの) 48 5.00 10.79 10.42 70.60
K5143 肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超えるもの) 37 5.54 12.68 10.81 69.03
K514-21 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(部分切除) 19 3.89 6.89 10.53 71.95
K5131 胸腔鏡下肺切除術(肺嚢胞手術(楔状部分切除によるもの)) 12 3.42 8.17 16.67 43.25
K5142 肺悪性腫瘍手術(区域切除) 11 6.36 10.18 9.09 69.36
多くが胸腔鏡下で行われる手術となっている。胸腔鏡下手術は開胸手術より患者さんの身体的な負担が少ない。そのため、当院でも胸腔鏡下での手術実施件数が多くなっている。
耳鼻咽喉科頭頚部外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K3772 口蓋扁桃手術(摘出) 72 1.18 4.39 0.00 29.96
K340-5 内視鏡下鼻・副鼻腔手術3型(選択的(複数洞)副鼻腔手術) 34 1.35 4.21 0.00 58.71
K368 扁桃周囲膿瘍切開術 24 0.08 4.29 4.17 37.42
K4571 耳下腺腫瘍摘出術(耳下腺浅葉摘出術) 21 2.05 5.14 0.00 56.00
K3932 喉頭腫瘍摘出術(直達鏡によるもの) 20 1.30 2.00 0.00 63.25
耳鼻咽喉科頭頸部外科領域の手術加療を幅広く行っている。
中でも、口蓋扁桃摘出術(慢性扁桃炎、扁桃病巣疾患、扁桃周囲膿瘍)、内視鏡下鼻副鼻腔手術を多数実施している。
小児外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 26 1.12 1.00 0.00 5.50
K718-22 腹腔鏡下虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴うもの) 24 0.00 9.33 0.00 9.00
K836 停留精巣固定術 15 0.93 1.13 0.00 3.33
K6335 ヘルニア手術(鼠径ヘルニア) 15 1.07 1.47 0.00 3.33
K387 喉頭粘膜焼灼術(直達鏡によるもの) 14 1.00 1.14 0.00 8.14
短期滞在手術に該当するヘルニア手術が最も多く、次いで腹腔鏡下虫垂切除術、停留精巣に対する精巣固定術が上位を占めています。保険収載されている適応可能な手術については、可能な限り内視鏡アプローチによる低侵襲で痛みが少ない術式を選択しています。声門下の狭窄に対して気管切開を行った後、あるいは喉頭形成術後、の硬性鏡下気道内肉芽治療も積極的に行っています。小児にとって最も大切な、健全な成長を担保するための手術を心掛けています。
消化器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 42 6.21 7.29 19.05 69.93
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 37 3.35 14.11 10.81 70.19
K6112 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(四肢) 30 3.03 5.87 13.33 65.13
K529-21 胸腔鏡下食道悪性腫瘍手術(頸部、胸部、腹部の操作によるもの) 27 5.56 30.15 77.78 67.15
K636-3 腹腔鏡下試験開腹術 20 3.30 9.00 20.00 67.70
当科では、低侵襲で整容性に優れ、拡大視野による精緻な手術が可能である鏡視下(腹腔鏡・胸腔鏡・縦隔鏡)手術を積極的に行っている。日本内視鏡外科学会が認定した技術認定医(鏡視下手術の指導医としての高い基準を有すると認められた医師)3名を擁し、質の高い安全な鏡視下手術を提供している。
食道外科および肝臓・胆道・膵臓外科手術は高難度手術に分類される。
当科では豊富な経験と高い技術を持つ食道外科専門医3名、肝胆膵高度技能指導医・専門医5名を擁し、高難度手術を安全に行える体制を取っている。
長期にわたる抗癌剤治療を行う際には埋め込み型カテーテル設置を行う場合がある。当科では安全性の高い上腕に設置する方法をとっており、抗癌剤治療におけるストレス軽減や普段の生活をよりよく送れるためのサポートを心がけている。
消化器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6152 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(選択的動脈化学塞栓術) 98 2.80 7.90 2.04 75.38
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 64 3.14 7.08 18.75 69.59
K721-4 早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術 57 2.32 5.77 0.00 70.49
K526-22 内視鏡的食道粘膜切除術(早期悪性腫瘍粘膜下層剥離術) 47 2.00 7.45 4.26 71.49
K697-31ロ 肝悪性腫瘍ラジオ波焼灼療法(一連として)(2センチメートル以内のもの)(その他のもの) 28 3.29 4.71 0.00 73.93
当科では、消化管(食道、胃、十二指腸、小腸、大腸)、肝臓、胆道(胆のう、胆管)、膵臓など消化器全般の診療を行っている。症状や病態に応じて内視鏡検査、腹部超音波検査、CT、MRI、血管造影検査、消化管造影検査などの画像診断を組み合わせ、各種消化器疾患に適切な治療を行えるよう対応している。
1位の血管塞栓術は、肝細胞癌に対し行う血管内治療のことである。癌に栄養を供給している血管を詰まらせ、同時に化学療法を選択的に投与することができる。
2位の内視鏡的胆道ステント留置術は、胆膵領域疾患の内視鏡治療のことである。胆管がんや膵臓がんによる胆管の狭窄や、胆石が詰まって生じる閉塞性黄疸に対し内視鏡的に胆管にステントを留置するもの。また、一般的な方法で胆管ステント留置術が行えない患者に対しても最新の超音波内視鏡を用いて黄疸の改善を行うことができる。
3、4位の治療は、内視鏡的に早期の大腸がん(良性の比較的大きい腺腫を含む)、胃がん、十二指腸がんに対して内視鏡的に治療を行うもの。内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は、病変の下に局注液(液体成分)を入れて浮かせ粘膜下層を電気メスで剥離し、一括で切除するもの。安全に開腹をせずに内視鏡で早期の癌を切除することができる。また、今後がんに成長する可能性のある良性の腫瘍・ポリープについても、スネア(金属の輪っか)を使用し、より安全に内視鏡的に切除することができる。
5位のラジオ波焼灼療法は、肝細胞癌に対して行う治療のことである。病変の部分に電極針を挿入し、ラジオ波電流を流すことにより、電極周囲に発生させた熱にて病変を凝固させ死滅させる。
心臓血管外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5612ロ ステントグラフト内挿術(腹部大動脈) 36 3.00 11.06 11.11 76.17
K5612イ ステントグラフト内挿術(胸部大動脈) 26 4.04 17.04 15.38 66.62
K5551 弁置換術(1弁のもの) 18 4.72 22.89 27.78 58.44
K5522 冠動脈、大動脈バイパス移植術(2吻合以上) 11 3.27 27.18 18.18 66.91
K6153 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(その他のもの) 11 3.45 8.00 18.18 76.36
腹部大動脈瘤または胸部大動脈瘤と診断され、腹部大動脈瘤のサイズが45~50mm以上、腸骨動脈瘤は30mm以上、胸部大動脈瘤では55~60mm以上の場合、破裂の危険が高いので手術が必要となる。現在、人工血管置換術とステントグラフト内挿術の二つの選択肢がある。
・K5606 大動脈瘤切除術(腹部大動脈瘤)
全身麻酔と硬膜外麻酔下に、20-25cmほどお腹を開けて、大動脈瘤を切除して人工血管と置き換える手術である。一般的には4~5時間で手術を行う。体型(肥満の有無)、お腹の中の癒着の程度、大動脈瘤の範囲、人工血管を吻合する箇所数などによって、所要時間は変わってくる。人工血管は合成繊維(ポリエステル)でできており、耐久性には問題はない。
腹部大動脈瘤や腸骨動脈瘤に対する人工血管置換術は安全確実であり、第一の選択と言える。多くの場合、手術室で目を覚まし、抜管して元の病棟に帰る。手術のリスクが高い方は、ICUへ入室し状況を見てから、だいたい術翌日に一般病棟へ戻る。術後2、3週間の間に自宅退院できる。
・K5612、K5611 ステントグラフト内挿術(腹部大動脈瘤、胸部大動脈瘤)
患者の年齢、体力、併存疾患等を考慮した場合、一般的な腹部(胸部)大動脈瘤人工血管置換術でも、体に与えるダメージ(手術侵襲)が大きいことが問題となることがある。このような場合は、”低侵襲”なステントグラフト内挿術を選択する。
人工血管に金属製のバネを縫い合わせたもので、これを血管の中に入れて大動脈瘤の中に血液が流れ込まないようにして、大動脈瘤の破裂を防止する治療法である。足の付け根の血管(大腿動脈)からステントグラフトを充填した細い管を、動脈瘤の部分まで運び、X線透視装置を用いて、血管造影を行いながら留置位置を確かめながら治療する。腹部(胸部)大動脈ステントグラフト内挿術の場合、通常2時間ほどかかる。術後約1週間で自宅退院が可能。大きくお腹(胸)を開けたり、心臓を止めたりする必要が無いため、体の負担が少ないこと、開腹術に比べて手術による合併症を起こす割合が低いこと、術中の出血・輸血量が少ないこと、術後の集中治療室(ICU)滞在時間が短いこと(または不要)、開腹術に比べて回復が早く、入院期間が短くなり、術後の”生活の質”が大きく損なわれることが少ないことが特徴である。
・K5551 弁置換術(1弁のもの)
人工弁には、カーボン類似材質からなる機械弁と、動物の弁を加工した生体弁がある。両者は1長1短がある。機械弁の場合は、弁に血栓が形成されると開閉しなくなったり、血栓が脳へ飛んだりして命に関わる事態になる。そのため、ワーファリンという抗凝固剤を終生内服し、血液が固まり難い状態を維持しなければならない。また、効きすぎると逆に出血し易い状態になり危険である。よって、飲み忘れ等が予想される高齢者には向かないと言える。
その代わり、弁としての耐久性は優れている。他方、生体弁は、同じ動物の組織であり、生体に馴染み易く、ワーファリン内服は不整脈が無ければ術後3ヶ月で中止する。ただし、昔から耐久性に問題があったため、70歳未満では再手術を懸念し敬遠されることがあった。現在では、加工技術の改善等で、生体弁はかなりの長期耐久性が期待される。以前は70歳以上に生体弁、70歳未満は機械弁を使用していたが、65歳、あるいはもっと若い年代の患者に対しても生体弁を使用する例が増えてきている。
・K6154 血管移植術、バイパス移植術(下腿、足部動脈)
糖尿病を合併する閉塞性動脈硬化症の患者が増加してきており、その特徴として膝から末梢の下腿動脈病変による足部血流障害がある。突然、重症虚血肢(壊疽や潰瘍形成)をきたし、未治療だと下肢切断を免れない状態となる。そのため、下肢切断回避目的で施行される手術がバイパス術(K6145)で、足部バイパスと言われる。手術できる施設は鹿児島県内でもほぼなく、多くの症例を当科で行っている。救肢率(下肢切断回避率)は93%程度である。心臓、脳血管に術前から異常がある患者も多く、足の創処置を行う必要があり、やや入院期間が長くなっている。
整形外科リウマチ外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K1426 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。)(椎弓形成) 30 5.03 15.77 66.67 68.67
K0821 人工関節置換術(股) 29 4.41 18.28 86.21 64.59
K1421 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。)(前方椎体固定) 28 5.79 22.18 67.86 65.29
K1422 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。)(後方又は後側方固定) 22 9.32 22.41 77.27 71.36
K1423 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。)(後方椎体固定) 22 6.41 16.82 86.36 65.32
当科では脊椎変形の疾患(思春期の背骨の弯曲や中高齢者の腰の弯曲)に対して、椎弓形成術や脊椎固定などを多く行っている。
変形性股関節症や大腿骨頭壊死に対する人工股関節置換術を多く行っており、骨移植を必要とするような変形の強い症例が多いのが特徴。リハビリプログラムで連携した医療機関に転院してスムーズな社会復帰を目指している。
心臓血管内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他のもの) 108 1.52 2.69 4.63 68.76
K5951 経皮的カテーテル心筋焼灼術(心房中隔穿刺又は心外膜アプローチを伴うもの) 86 1.23 3.79 0.00 62.95
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術 72 1.54 3.53 13.89 72.83
K570-3 経皮的肺動脈形成術 29 3.76 4.76 0.00 67.48
K5463 経皮的冠動脈形成術(その他のもの) 24 1.00 2.29 4.17 69.58
1位は心臓を栄養している冠動脈の閉塞あるいは狭窄を風船で拡張し、ステントと呼ばれる金属を留置する治療。
2位は不整脈の原因となっている部分をカテーテルを用いて高周波電流で焼き切る治療。
3位は四肢血管の閉塞あるいは狭窄を拡張する治療。
乳線・甲状腺外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K4763 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術(腋窩部郭清を伴わないもの)) 31 2.29 9.42 3.23 65.94
K461-21 内視鏡下甲状腺部分切除、腺腫摘出術(片葉のみの場合) 30 2.30 4.33 3.33 47.87
K4765 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術(腋窩鎖骨下部郭清を伴うもの)・胸筋切除を併施しないもの) 25 3.88 11.68 12.00 59.04
K463-21 内視鏡下甲状腺悪性腫瘍手術(切除) 20 2.10 5.45 10.00 57.70
K4632 甲状腺悪性腫瘍手術(全摘及び亜全摘) 19 2.21 9.47 0.00 58.95
甲状腺腫瘍の手術は2016年に良性腫瘍に、2018年からは悪性腫瘍に対しての内視鏡下手術が保険収載された。当院でも、日本内視鏡外科学会が認定する内視鏡外科技術認定医(甲状腺部門)を擁して内視鏡下手術を導入している。疾病毎の適応を吟味し、整容性に優れた内視鏡下手術を行っている。
乳腺悪性腫瘍手術については、腫瘍の大きさ、個数、存在場所、広がり等をしっかり評価して術式を決定している。当科では、乳腺担当チーム内に女性医師2名を擁し、外科治療のみならず化学療法や外来通院等、きめ細やかな治療や観察を心がけている。
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術(その他のもの) 103 6.00 30.76 23.30 57.33
K171-21 内視鏡下経鼻的腫瘍摘出術(下垂体腫瘍) 42 1.69 11.71 2.38 57.10
K609-2 経皮的頸動脈ステント留置術 11 3.91 18.27 9.09 71.55
K1742 水頭症手術(シャント手術) 11 6.55 22.45 18.18 46.55
K1781 脳血管内手術(1箇所) - - - - -
脳腫瘍の治療として頭蓋内腫瘍摘出術が行われる。これにより診断確定され、良性であればとれ具合にもよるが、術後は特に治療は必要なく、定期的な外来通院で経過をみていくことがほとんどである(K1692)。悪性であれば腫瘍による摘出以外に、放射線治療、化学治療が必要となりますが、その場合は開頭して摘出術を行う場合(K1692)と、腫瘍の一部を切開して調べる方法(定位脳腫瘍生検術、K154-3)がある。術後に後療法が必要になる場合は、入院期間が長くなる。
下垂体腫瘍は内視鏡を使った手術が行われている。良性であることがほとんどであるため、入院期間も短くなっている。
頚部内頸動脈狭窄症はMRI検査,頚部超音波検査により指摘されることが多く,心臓や末梢血管の検査の一環として発見されることもしばしばである.症候性,無症候性に対する治療のエビデンスが確立していることから,症例数が増えている手術である(K609-2).
シャント手術は特発性の正常圧水頭症や、脳腫瘍・くも膜下出血後の水頭症に対して行われている。
脳血管内手術(K1781)には脳動静脈奇形に対する塞栓術,未破裂脳動脈瘤に対するコイル塞栓術,急性期脳梗塞に対する血栓回収術が含まれ,症例が増えている治療である.
泌尿器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K843-4 腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いるもの) 41 1.66 8.88 4.86 70.07
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用のもの) 36 2.39 5.53 11.11 73.92
K773-2 腹腔鏡下腎(尿管)悪性腫瘍手術 25 2.12 8.20 20.00 68.56
K7811 経尿道的尿路結石除去術(レーザーによるもの) 16 2.25 4.25 0.00 49.88
K754-2 腹腔鏡下副腎摘出術 15 2.80 7.73 13.33 52.40
前立腺がん、腎がん、腎盂尿管がん、膀胱がんなど、がんの腹腔鏡下手術や内視鏡手術を多く行っている。
前立腺がんの腹腔鏡下手術は、H29年1月よりロボット支援手術に移行している。
また、副腎疾患や小児泌尿器疾患に対する腹腔鏡下手術も多く行っている。
皮膚科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0072 皮膚悪性腫瘍切除術(単純切除) 51 1.39 7.04 11.76 78.63
K0052 皮膚,皮下腫瘍摘出術(露出部)(長径2㎝以上,4㎝未満) 15 0.67 1.73 0.00 39.87
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2センチメートル未満) 12 7.25 4.42 16.67 67.58
K0062 皮膚,皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径3㎝以上,6㎝未満) - - - - -
K0051 皮膚,皮下腫瘍摘出術(露出部)(長径2㎝未満) - - - - -
高齢化に伴って、皮膚科でも悪性腫瘍が増えている。良性腫瘍は整容的な目的で手術を行う場合もある。
紅斑症など慢性の皮膚疾患では内臓疾患が原因となっている場合があるため、全身の検査を行う。その際に大腸内視鏡検査でポリープが見つかることがあり、そのような場合はポリープを切除し(K7211)、病理組織学的検査(顕微鏡による検査)を行う。
婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K879 子宮悪性腫瘍手術 63 2.90 13.94 4.76 54.25
K8882 子宮附属器腫瘍摘出術(両側)(腹腔鏡によるもの) 41 2.56 5.37 2.44 39.34
K867 子宮頸部(腟部)切除術 40 1.20 1.88 7.50 47.35
K8881 子宮附属器腫瘍摘出術(両側)(開腹によるもの) 36 3.42 7.75 2.78 44.22
K889 子宮附属器悪性腫瘍手術(両側) 33 2.55 10.94 9.09 58.94
子宮頸部、体部に対する子宮悪性腫瘍手術が上位を占めています。子宮頸部切除術(円錐切除術)も、子宮頸部腫瘍に対する手術です。卵巣腫瘍に対する手術も当科では数多く行っていますが、良性の場合は腹腔鏡下に行いますが、卵巣癌の場合は開腹手術が標準術式のためほとんど開腹術です。当科では、4人の婦人科腫瘍専門医、3人の内視鏡外科技術認定医を有しており、子宮頸癌、体癌に対しては、腹腔鏡支援下に加えてロボット(ダヴィンチ・サージカルシステム)支援下の悪性腫瘍手術を提供できる国内でもまれな施設です。事実、ダヴィンチXi・サージカルシステムによる手術は国内唯一(平成30年7月現在)の手術見学認定術者(認定証を発行できる)施設であり、子宮体癌の保険適用手術を提供できている九州で唯一の施設(平成30年9月現在)のため、県外からも多くの患者が紹介されます。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 0 0.00
異なる 2 0.02
180010 敗血症 同一 14 0.11
異なる 7 0.05
180035 その他の真菌感染症 同一 0 0.00
異なる 1 0.01
180040 手術・処置等の合併症 同一 70 0.53
異なる 4 0.03
この指標は、DIC(播種性血管内凝固症候群)や敗血症などの感染症、および、手術・術後の合併症の発生率を表したものである。
入院契機が同一の症例とは、感染症や合併症に対する治療を目的に入院した症例のことで、入院契機が異なる症例とは、感染症や合併症以外の治療を目的に入院したが、入院中に感染症や合併症の治療が主になった症例のことを表している。
当院では「180010敗血症」と「180040手術・処置等の合併症」が多い。
当院の敗血症患者は、緊急入院の患者が約90%を占めており、そのうち、救急搬送で運ばれてくる患者が約70%を占めている。
手術・処置等の合併症では、術後の創部感染や人工関節のゆるみ・感染による人工骨頭の再置換術等が約35%を占めている。いったん挿入した人工異物においては、すべてにおいて避けられないものである。
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