B.10 胆道感染症 |
道感染では、大腸菌・腸球菌の分離頻度が最も高く、次いで・クレブシエラ属・緑膿菌・エンテロバクター属・嫌気性菌などが続く。当院で検出される大腸菌はSBT/ABPCやキノロン系に感受性が低下していることから、胆道感染症でのEmpirical therapyとしての使用は推奨しない。 致死的感染症であり、敗血症性ショックでは1時間以内に、それ以外の患者でも診断後6時間以内に抗菌薬を投与する。治療としては超音波ガイド下ドレナージや手術などの外科的処置を必要とすることが多く、これに抗菌化学療法が併用されはじめて適切な治療法が成立する。 血液培養および胆汁培養はGrade Iの胆嚢炎で短期間のみ抗菌薬投与を行う場合を除き、どのような処置にも先駆けて行う。胆嚢切除の際に得られた胆汁や組織も培養検査に提出する。 急性胆管炎・胆嚢炎の経験的治療における推奨抗菌薬 細菌検査の結果でde-escalationを行う。胆管空腸吻合術の既往のある患者に対しては、嫌気性菌の内Bacteroides
fragilis groupのカバー(メトロニダゾールの併用またはTAZ/PIPC)を行う。 推奨される抗菌薬の投与期間 市中発症胆嚢炎Grade I, II :胆嚢摘出が行われた場合は24時間以内に終了 ただし、術中に穿孔・気腫性変化・壊疽が存在した場合には4~7日間の投与を推奨 市中発症胆管炎Grade I, IIおよび市中発症胆嚢炎・胆管炎Grade III・医療関連感染 :いったん感染巣が制御されたら、4~7日間の投与を推奨 腸球菌・レンサ球菌などのグラム陽性菌による菌血症の場合は2週間以上の投与を推奨 胆管に結石または閉塞があり、それが解決されない場合は解剖学的にそれが解決するまで投与を継続 Ø 肝膿瘍が合併した場合には臨床的・検査上・画像上膿瘍が完全に消失するまで継続 |