アウトブレイク時の対応

 

多剤耐性菌によるアウトブレイクを疑う基準

1)      一例目の発見から4週間以内に、同一病棟において新規に同一菌種による感染症の発病症例が計3例以上特定された場合

2)      一例目の発見から4週間以内に、院内で同一菌株と思われる感染症の発病症例(抗菌薬感受性パターンが類似した症例等)が計3例以上特定された場合

ただしカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)、多剤耐性緑膿菌(MDRP)、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)および多剤耐性アシネトバクター属、さらに2剤耐性緑膿菌・アシネトバクター・カルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌等の上記5 種類の多剤耐性菌に類似する薬剤耐性菌は保菌を含めて1例目の発見をもってアウトブレイクに順じ対応を行う。また、共通する薬剤耐性遺伝子を含有するプラスミドを有すると考えられる細菌が保菌例を含め同一病棟で2例以上発見された場合も同様の対応を行う。

 

ウイルス感染症のアウトブレイクを疑う基準

インフルエンザや流行性嘔吐下痢症(ノロウイルス、ロタウイルスなど)・流行性角結膜炎は、入院患者3名以上が1週間以内に同一病棟で発症した場合とする。検査診断による判定が望ましいが、検査陰性の場合でも同一症状を呈している場合は、同一疾患の可能性があると考えて対応する。

 

病院長への報告

アウトブレイクが疑われる場合は、感染制御部はすみやかに病院長に報告する。

またトリインフルエンザ、SARSなどの感染症法一・二類および指定感染症が疑われる時は直接病院長に緊急報告する。

 

アウトブレイク対応・鹿児島市保健所・九州厚生局への届出

アウトブレイクが疑われると判断した場合、感染制御部はコアICTを中心に速やかに必要な疫学的調査を開始し、厳重な感染対策を実施し、臨時ICTスタッフ会議又は感染症対策委員会を開催し、1週間以内を目安にアウトブレイクに対する院内感染対策を策定かつ実施する。

感染対策を実施した後、新たな感染症の発病症例(上記の5 種類の多剤耐性菌とその類似薬剤耐性菌は保菌者を含む)を認めた場合には、院内感染対策に不備がある可能性があると判断し、鹿児島市保健所と九州厚生局に連絡・相談の上、速やかに鹿児島感染制御ネットワークに感染拡大の防止に向けた支援を依頼する。また感染症対策委員会で協議の上、必要に応じて国公立大学附属病院感染対策協議会等の外部機関にも調査を要請する。

院内感染対策を講じた後、病院内で同一菌種による感染症の発病症例(上記の5 種類の多剤耐性菌とその類似薬剤耐性菌は保菌者を含む)が多数にのぼる場合(目安として10名以上)または当該院内感染事案との因果関係が否定できない死亡者が確認された場合は、鹿児島市保健所と九州厚生局に速やかに報告する。

また、このような場合に至らない時点においても、必要に応じて鹿児島市保健所と九州厚生局に連絡・相談する。