風疹

飛沫予防策を行う。先天性風疹症候群患児の場合、接触感染防止対策も必要である。

潜伏期は概して1618日であり、最短14日から最長23日である。

発症数日前から発疹出現後57日間、感染力がある。

風疹の臨床診断は困難なことが多いので、罹患歴は参考にしない方がよい。経産女性は母子健康手帳で風疹抗体の有無をチェックする。

病棟内で風疹が発生した場合

1ただちに病棟医長または病棟師長に連絡し、病棟医長または病棟師長は感染制御部に連絡する。(夜間は翌朝で可)

2)発症した患者

@       先天性風疹症候群以外の患者は可能なら退院し、外来管理とする。退院できない場合、飛沫予防策を発疹出現後7日間行う。

A       先天性風疹症候群患児に対しては接触予防策も追加する。先天性風疹症候群患児のウイルス排泄は長期間続くので、各症例でウイルス排泄の有無を確認する。

患者発生時の届出票

3)接触者の取り扱い

@       当該部署のリスクマネージャーは発疹出現の7日前から発症者と密接な接触や近くで会話をした感受性者(風疹HI 16以下)をリストアップする。同室の患者、職員、付き添い者、さらに検査移動などで明らかに当該患者と接触した他の患者、あるいは他部門の医療者も対象とする。

A       また当該部署のリスクマネージャーは所属職員・実習学生等の免疫状態を確認し、感受性職員との接触をさける。

B       ワクチン2回接種歴がある場合、免疫があるものとして扱う。風疹への免疫が確認できない場合は、風疹抗体検査(HIまたはIgG EIA法)を行う。

C       免疫のない接触者は接触の721日目までは、無症候性にウイルスを排泄する可能性がある。 風疹に免疫がない(感受性がある)患者は、発症予想日まで入院する患者は隔離を行う。風疹に免疫がない職員・実習生は勤務・実習を停止とし、特に妊婦との接触を避ける。

D       リンパ節腫脹などがあれば、風疹発症を疑い対応する。

E       風疹ワクチン接種による予防のエビデンスはないが、理論上は曝露後72時間以内であれば効果が期待できるとされている。今後の曝露の可能性も考えてワクチン接種が推奨されている(Red book 2012)。ただし、妊婦や免疫不全患者には予防接種は禁忌である。

外来に風疹患者が受診した場合

1)     外来特殊診察室に誘導し、優先診療を行う。

2)     1m以内で接触した患者のリストを作成し罹患歴と予防接種歴を確認する。

3)     感受性がある患者には、1421日後に発症する可能性があることを説明し、発症時は医療機関受診を勧める。

職員・実習生が風疹を発症した場合

リスクマネージャーへ報告する。発疹出現後7日までは勤務・実習を停止する。