手洗い場・洗浄用シンクの管理

手洗い場や洗浄用シンク等の水回りは薬剤耐性菌の温床となりやすい。シンクや排水溝が汚染されることで、手洗い後の手指や洗浄後の物品が再汚染されることが考えられる。特に、栄養豊富な母乳やミルクを流す調乳室のシンクでは薬剤耐性菌や環境菌の繁殖が懸念される。一般的な水回り環境の管理に加え、調乳室の管理について記載する。

 

水回り環境の管理

1.     手洗い場は毎日業者による清掃が行われる。洗浄用シンクは各部署で洗浄することが多く、毎日実施されるよう取り決める。

2.     年1回グラム陰性薬剤耐性菌を対象に環境調査を実施し、その結果をもとに追加洗浄を検討する。

3.     薬剤耐性菌等は湿潤環境を好むことから、シンク周囲の水分は拭き取り、可能な限り乾燥させる。

4.     物品の乾燥・保管は水回りから1m以上離し、水跳ねしない場所で行う。

5.     ペーパータオルを平置きしない。

6.     石鹸手洗い後は、薬剤耐性菌等が排水溝から跳ね返り、手指が再汚染することを防ぐために手指消毒まで実施する。

7.     次亜塩素酸ナトリウム等で物品の消毒をする場合は、毎日次亜塩素酸ナトリウムを交換し、浸漬容器の蓋を確実に閉め、適正な濃度管理のもと、消毒物品は全体を十分に浸漬する。

 

調乳室の管理

<感染リスク>

1.     哺乳瓶には、唾液など感染性のある湿性物質が含まれ、患者環境で使用することから、その表面は患者保有の病原体が付着していることが考えられる。

2.     栄養豊富な母乳やミルクが排水溝に貯留することで、薬剤耐性菌や環境菌の繁殖が懸念される。

3.     同じシンクで他物品(個人用の哺乳瓶、乳首等)の洗浄消毒が行われ、排水溝からの跳ね返りによる物品の再汚染が考えられる。

<感染対策>

1.     母乳やミルクの廃棄、使用後の哺乳瓶を濯ぐときは、これらが排水溝に貯留しないよう流水で十分に流し切る。

2.     シンクは毎日洗浄する。

3.     排水溝は年1回業者による洗浄を行う。

4.     シンクと排水溝は年1回環境調査を実施し、その結果をもとに追加洗浄を検討する。

5.     個人用の哺乳瓶や乳首等をミルトン® 消毒する場合、ミルトン®は毎日交換し、蓋を確実に閉め、適正な濃度管理のもと、全体が十分に浸漬されるよう消毒する。感染制御部で残留塩素濃度を定期的に測定し評価する。