■β-ラクタマーゼ産生菌 |
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■β-ラクタマーゼ |
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β-ラクタム系抗菌薬(ペニシリン系、セフェム系、カルバペネム系、モノバクタム系)の母核構造中のβ-ラクタム環を分解する細菌酵素。現在200以上のβ-ラクタマーゼが知られている。 |
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■Extended-spectrum
β-lactamases (ESBLs)産生菌 |
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1.基質(特異性)拡張型β-ラクタマーゼ(Extended-spectrum β-lactamase:ESBL) |
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Class A β-ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)であるにもかかわらず、第三世代セフェム系抗菌薬を分解する(分解する基質が拡張)。 セファマイシン系やオキサセフェム系は分解しない。カルバペネム系は分解しない。 β-ラクタマーゼ阻害薬による阻害を受ける。 Class D β-ラクタマーゼに属するESBLもある。 |
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2.ESBLs産生菌種 |
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ESBL遺伝子はR-プラスミドによって菌種をこえて伝播しうる。 Class C β-ラクタマーゼをコードする遺伝子が染色体上に存在する菌種はESBLの検出が困難である。そのためClinical Laboratory and Standards Institute(CLSI)はそれらの菌種をESBL産生菌検出対象菌種から除外している。すなわちCLSIがESBL産生菌の検出対象としているのは、肺炎桿菌、大腸菌、Klebsiella oxytoca、Proteus mirabilisの4菌種である。 肺炎桿菌、大腸菌、Klebsiella oxytoca、Proteus mirabilis以外にも、エンテロバクター、サイトロバクター、セラチア、緑膿菌などからESBL産生菌が検出されている。 |
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3.感染対策 |
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ESBLs産生菌に汚染された場合、腸管内に保菌し、院内感染における集団発生の原因となりやすい。 ESBLs産生菌の伝播様式は基本的には手指または医療器具による接触経路であるので、接触予防策を実施することが重要である。吸痰、陰部清拭、尿路カテーテル処置などでは接触予防策を徹底する。 可能なかぎり個室隔離が望ましいが、2〜4人部屋では、手指衛生はもちろん、器具の専用化・予防具の着用、よく触れる部位のアルコール消毒・清拭を行う。 ESBLs
産生株であっても薬剤感受性以外の基本的な性状は非産生株と同様と考えてよいので、それぞれの菌種の特徴を考慮した対策を加える。 同一の第三世代セフェム薬の長期使用は避ける。 |
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4.ESBLs産生菌感染症の治療薬 |
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第三世代セフェム薬であるセフォタキシム、セフタジジムなどに耐性を示すが、セファマイシン系(セフメタゾール)やオキサセフェム系(フロモキセフ)も感受性を示す。 セファマイシン系やカルバペネム系に過度に頼ることなく、あくまでも感受性試験結果を参考に、広域β-ラクタム薬以外の抗菌薬も選択肢に入れ、適正な化学療法を実施すべきである。 |
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5.ESBLの検出と連絡体制 |
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ESBLs産生の疑いがある株が検出された場合、検査室ではESBL診断用検査で確認する。ESBLと判定されたら、細菌検査室はICTメーリングリストで連絡する。 |
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1.カルバペネマーゼ |
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カルバペネム系を含むほとんど全てのβ-ラクタム薬に耐性を示すため最も危険なβ-ラクタマーゼと考えられており、また多剤耐性化しやすい。本邦では欧米に比べメタロβ-ラクタマーゼ産生菌の分離が多い。 |
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2.メタロβ-ラクタマーゼ産生菌種 |
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緑膿菌、アシネトバクター、セラチア、肺炎桿菌、大腸菌、Proteus vulgaris、シトロバクター、エンテロバクターなどから検出されている。 |
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3.感染対策 |
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伝播様式は基本的には手指または医療器具による接触経路であるので、接触予防策を実施することが重要である。吸痰、陰部清拭、尿路カテーテル処置などでは接触予防策を徹底する。 それぞれの菌種の特徴を考慮した対策を加える。 カルバペネム系抗菌薬を濫用しない。 病室内手洗い場の排水口は、1日2回0.1%次亜塩素酸ナトリウムで30分間消毒する。 |
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4.カルバペネマーゼ産生菌感染症の治療薬 |
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個々の抗菌薬感受性試験結果や併用薬剤感受性試験結果を参考に抗菌薬を選択するべきであり、治療に際しては感染制御部へ相談する。 |
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5.メタロβ-ラクタマーゼの検出と連絡体制 |
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カルバペネマーゼ産生の疑いがある株が検出された場合、検査室ではカルバペネマーゼ診断用検査・(実施可能な場合は遺伝子検査)で確認する。カルバペネマーゼ産生と判定されたら、細菌検査室はICTメーリングリストで連絡する。検出者に対しては個室隔離等特に厳密な接触予防策を実施する。 |