重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ウイルス

 

SFTSとは

2011年に初めて特定された、ブニヤウイルス科のSFTSウイルスによる感染症であり、ウイルスを保有しているマダニ(フタトゲチマダニ等)による咬傷により感染する。ただし咬傷痕は確認できないことが多い。

本疾患は東アジア(中国・韓国・日本)に分布するマダニ媒介性ウイルス性出血熱に分類され、致死率が高いこと、重症例では出血症状が認められること、発症した人や動物の血液・体液(尿,便,呼吸器分泌物)に接触した者が感染すること、などの特徴がある。

 SFTSウイルスは一般的な消毒剤(消毒用アルコールなど)や台所用洗剤、紫外線照射等で急速に失活する。

SFTSの臨床的特徴

潜伏期間は614日。発熱,消化器症状(嘔気,嘔吐,腹痛,下痢,下血)を主徴とし,時に,頭痛,筋肉痛,神経症状,リンパ節腫脹,出血症状などを伴う。血液所見では,血小板減少(10/m立方メートル),白血球減少(4000/m立方メートル未満),血清酵素(ASTALTLDH)の上昇が認められる。

保健所への相談と届出

臨床的特徴からSFTSが疑われる場合は保健所へ相談し、血液・咽頭拭い液・尿の検体を用いたPCR検査を依頼する。

PCR検査が陽性の場合や血清抗体検査でSFTSと診断された場合は、感染症法の4類感染症として医務課を通じて直ちに24時間以内に)保健所へ届出を行う。(届出票)(休日の場合は鹿児島市保健所保険予防課099-258-2392FAXを行い翌平日に届け出を行う。)届出用紙はカルテにもスキャンする。

入院・外来での対策

個室管理とする。血液を介した医療従事者の感染報告があるため、血液に接触するリスクのある処置を実施する際には十分に注意する。

対応する職員は手袋・長袖ガウン・マスク・ゴーグルまたはフェイスシールドの個人防護具を着用し、接触・飛沫感染予防策を行う。出血症状や激しい嘔吐・下痢がある場合、エアロゾル発生手技を行うときは、2重手袋とN95マスクを追加する。

患者に発熱、出血や消化器症状がなく患者状態が安定した場合は標準予防策で対応する。

SFTSと診断された患者が入院した場合や、当院入院後患者からSFTSウイルスが検出された場合は感染制御部へ連絡する。職員間では電子カルテの患者基本情報でSFTSウイルス検出に関する情報共有を行う。

職員に針刺し・粘膜曝露や気管挿管時のエアロゾル発生手技などで適切な防護具を着用していない等、高リスク曝露があった場合はリバビリンの予防内服を検討する。