部門紹介

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鹿児島大学病院薬剤部では業務内容に応じて部門制を敷くことで各部門が責任を持った業務を展開し、さらに部門間の連携をとることで柔軟かつ強固な組織作りを構築しています。

薬剤部職員数

教授・薬剤部長 1名
准教授・副薬剤部長 1名
副薬剤部長 3名
薬剤主任 11名
薬剤師 39名
薬剤助手 15名
契約助手 12名
合計 82名

(2025年6月1日現在)

調剤部門・注射薬調剤部門

調剤部門
注射薬調剤部門

調剤部門では内服薬および外用薬、注射薬調剤部門では点滴などの注射薬の調剤を行っています。県内唯一の特定機能病院ということもあり、多くの薬剤(約1650品目:内服薬約800品目、外用薬約200品目、注射薬約650品目)を管理、調剤しています。
薬の専門家の目で、処方された薬剤の用法・用量が適切か、飲み合わせや配合に問題がないかなどの確認を行って、調剤しています。一つの処方せんを複数の薬剤師が確認する体制をとっており、処方に対し疑義のある場合には、医師によりよい薬物療法を提案しています。休薬が必要な薬剤については、休薬期間の確認が重要であり、患者さん毎に薬歴を記録・確認し、適切な投与スケジュールにて薬剤が使用されるよう安全な薬物療法を支援しています。
調剤部門、注射薬調剤部門ともに、医薬品バーコード認証システムや全自動払出機器を取り入れ、正確性、効率性の高い調剤を行っています。また、看護師などの他職種が電子カルテから調剤の進捗を確認できる、調剤進捗管理システムを導入することにより、情報共有の効率化を図っています。更に、薬剤の取り揃えや事務的業務の補助を行う調剤助手を多く起用することで、薬剤師は専門性を活かした業務に集中して調剤業務に取り組んでいます。
処方監査、調剤、薬剤管理を適正に行うことにより、患者さんにとって、より安全で効果的な薬物治療を提供しています。

使用機器および薬剤業務支援システム

〈共通〉

  • 医薬品バーコード認証システム
  • 調剤進捗管理システム

〈調剤部門〉

  • 全自動PTPシート払出装置
  • 散薬調剤ロボット
  • 全自動錠剤分包機
  • 散薬/水剤鑑査システム

〈注射薬調剤部門〉

  • 注射薬自動払出システム
  • 注射返品薬自動仕分け機

無菌製剤部門

無菌製剤部門

無菌製剤部門ではクラス10,000の無菌室を保有しています。また、クリーンベンチ2台を保有し、患者さんに提供する経静脈高カロリー輸液(IntraVenous Hyperalimentation:IVH)、中心静脈栄養(Total Parenteral Nutrition:TPN)、末梢静脈栄養法(Peripheral Parenteral Nutrition:PPN)や抗がん剤を無菌的に調製することで安全・安心な医療を提供しています。

製剤部門での働き方改革、DXへの取り組み

  • 薬剤助手の登用

がん化学療法管理部門

がん化学療法管理部門
がん化学療法管理部門

がん化学療法部門は、安全かつ効果的ながん薬物療法の提供を目的として、薬剤師が中心となり運営に関わっている部門です。私たちは、化学療法の実施に際して、薬剤に関する高度な知識と専門性を活かし、医療チームの一員として患者さん一人ひとりに寄り添ったサポートを行っています。
主な業務内容は以下のとおりです:

・ レジメン(治療計画)の管理とチェック
院内で運用されるがん化学療法レジメンを整備・更新し、各診療科と連携しながら治療計画の標準化を図っています。治療前には、吐き気止めやアレルギー予防薬などの支持療法を含めた薬剤の組み合わせや投与量が適切かどうかを、患者さん個々の状態(体重、腎機能、肝機能、併用薬など)に基づいて薬剤師が確認しています。

・ 抗がん剤のミキシング(調製)業務
治療に使用される抗がん剤は、無菌的に調製される必要があります。薬剤師が専用の設備内で、処方内容を厳密に確認した上で、安全・正確にミキシングを行っています。調製ミスや曝露リスクを防ぎ、医療従事者と患者双方の安全を守る体制を整えています。

•院内のがん治療情報の収集・管理
使用薬剤の動向、副作用情報、レジメンの使用実績などを定期的に収集・分析し、医師や看護師と情報を共有。薬剤師の視点から、がん治療の安全性向上に貢献しています。また、新薬やガイドライン改訂などの最新情報にも常に目を配り、臨床に反映させるよう努めています。

これらの活動を通じて、がん化学療法における「薬の専門家」としての役割を果たし、チーム医療の中で質の高い治療を提供することを目指しています。

がん化学療法管理部門での働き方改革、DXへの取り組み

  • 抗がん薬混合調製ロボット
  • 薬剤助手の登用

病棟薬剤業務管理室

病棟薬剤業務管理室
病棟薬剤業務管理室

鹿児島大学病院18病棟のすべてに薬剤師業務を配置し業務できるよう展開しています。病棟業務を通じて医師、看護師などの多職種と協働して安全な薬物療法に取り組んでいます。内服薬、注射薬、外用薬など入院患者さんが使用する全ての薬について、適切に使用されているかを各種検査値などのデータをもとに確認しています。また、患者さんのベッドサイドにて薬の効果・飲み方・副作用・相互作用・注意事項などについて指導を行っています。

主な業務内容は以下のとおりです:

  • 持参薬の確認とその評価に基づく処方設計と提案
  • 患者状況の把握(相互作用の有無の確認、副作用モニタリングなど)
  • 医薬品の情報収集と医師への情報提供等
  • 多職種、他院との連携(カンファレンスの参加、退院指導など)
  • 病棟における医薬品の管理状況の確認

病棟薬剤業務室での働き方改革、DXへの取り組み

  • 次世代型薬剤識別システム
  • 薬剤助手の登用

医薬品情報部門

医薬品情報部門

医薬品情報部門(Drug Information室、DI室)は、医療現場における安全かつ適正な薬物療法の実現を支える重要な部門です。私たち医薬品情報部門は、日々進化する医薬品に関する情報を収集・評価し、医師や薬剤師をはじめとする医療従事者に対して、正確で信頼性の高い情報を提供しています。

主な業務内容は以下のとおりです:

  • 医薬品に関する情報収集及び情報発信
    添付文書改訂、安全性情報、使用上の注意点などをまとめた「DIニュース」を発行しています。
    病棟薬剤師と定期的に情報共有し、医療スタッフへの情報提供と啓発を行っています。
  • 医薬品に関する質疑への対応
    医薬品に関する様々な問い合わせについて、情報収集と情報提供を行っています。
  • 副作用情報の収集
    院内で起きた副作用情報を収集し、厚生労働省に報告するサポートを行っています。
  • 薬事委員会の運営
    院内の採用薬について審議する薬事委員会の申請受付、審議に必要な情報の収集・資料作成等を行っています。
    年に1回常用医薬品集を発行し、薬事委員会毎に院内採用薬一覧を更新しています。
  • 電子カルテに関する医薬品情報の整備
    電子カルテ上で医薬品をオーダする際に必要な医薬品マスターを整備・更新し、医薬品名、規格単位、投与制限日数、併用禁忌等の情報を最新の状態に保つことで、処方支援を行っています。
    医薬品を安全に使用するために必要となる臨床検査値の院外処方箋への記載基準を整備・管理し、院外処方箋を調剤する際に安全確認がスムーズに行えるよう支援しています。
    電子カルテ上で医薬品情報を閲覧するシステムのメンテナンスを行っています。

これらの業務を通じて、患者さん一人ひとりの安全な薬物治療を支える大切な存在です。今後も、エビデンスに基づいた情報提供とシステム整備を通じて、チーム医療の一翼を担っています

薬物血中濃度測定部門

薬物血中濃度測定部門

服用したお薬の体内の濃度を測定することで副作用が起きる濃度になっていないか、濃度が低すぎないか、適切な濃度を保っているかを測定し、安全かつ有効な投薬設計を支援しています。薬物血中濃度の測定はすべての薬物に行うものではなく、治療域の狭い薬物、血中濃度と副作用発現が相関性を持つ薬物、服用した量と血中濃度が飲む量に応じて変化する薬物などを対象にしています。このような業務は治療薬物モニタリング(TDM;Therapeutic Drug Monitoring)と呼ばれており、薬物治療をサポートする上で非常に重要です。血中濃度測定を外部の検査会社に依頼すると結果がでるまでに数日かかるため、仮に高い血中濃度を推移していた場合には処置が遅れる場合があります。当院では、病院内でリアルタイムに測定することで、 副作用を採用減に効果を最大限に引き出すよう取り組んでいます。確率統計の手法を用いて、次に投薬する量や方法を設計することで、臨床でデータを基にした安心・安全な治療を提供しています。

測定対象薬物

  • 抗てんかん薬:フェニトイン、フェノバルビタール、カルバマゼピン、バルプロ酸
  • 免疫抑制剤:タクロリムス、シクロスポリン
  • 抗MRSA薬:バンコマイシン、テイコプラニン、アルベカシン
  • アミノグリコシド系抗生物質:ゲンタマイシン、トブラマイシン
  • 抗真菌薬:ボリコナゾール
  • 葉酸代謝拮抗剤:メトトレキサート
  • 造血幹細胞移植前治療薬:ブスルファン(小児科と共同研究)
  • 分子標的薬:アファチニブ、オシメルチニブ(呼吸器内科と共同研究)
  • 強心配糖体:ジゴキシン
  • キサンチン系気管支拡張剤:テオフィリン

測定機器

  • ARCHITECT® アナライザー i1000SR(Abbott Japan)
  • EXL2000(SIEMENS)
  • High Performance Liquid Chromatography: HPLC (島津)
  • LC-MS/MS (島津-SCIEX社)

薬務

業務の円滑な遂行のため、院内各部署との連絡・連携を図っています。また、職員、学生などの研修や教育に関する業務も行っています。

麻薬・薬品管理部門

鹿児島大学病院では内服薬・外用薬・注射薬を含めて約1,800種類の医薬品を扱っています。医療の発展に伴い、国内で承認・販売される医薬品は新しい医薬品が続々生まれてくると同時に後発医薬品(ジェネリック医薬品)も多く生まれています。その中では多くの患者が服薬する医薬品もあれば稀な病気にしか使用しない稀少な医薬品も扱っています。薬品管理部門では、病院で使用する膨大な医薬品の発注と在庫を管理しています。

麻薬管理責任者として薬剤師がその任を勤めています。麻薬管理部門では、緩和ケア領域や手術時に使用される麻薬の管理、保管、廃棄等を行っています。同時に緩和ケアのチーム医療に携わる薬剤師が管理することで、シームレスな麻薬管理を行っています。また、麻薬施用に関する教育を行っています。

治験薬管理部門

“治験“は新しい「薬」を開発するための臨床試験のことです。新しい「薬」が使えるようになるまでには、先ず、動物や細胞等を使用した基礎研究にて新しい候補の「薬」を選びます。そして、動物での有効性や安全性を調べる非臨床試験、最後に人に対する有効性や安全性を検討する試験が行われます。これらの試験において有効性や安全性のデータを収集しなければ新しい「薬」として使用できません。最終的に安全で効果があると判断された薬のみが、厚生労働省に医薬品として承認されて、いよいよ使用できるようになります。

臨床研究管理センター治験管理部門は、治験事務、事前ヒアリング、CRC、治験薬管理及び治験調整事務局の各業務を担当し、治験審査委員会事務も兼ねています。現在、治験薬管理者1名、CRC 8名(兼任含む)、特任専門員(事務)3名が中心となり、SMOのCRCも参画して、すべての治験をサポートしています。最近では国際共同治験が多く、「治験」の国際化に十分対応できる質の高い治験の実施や「医師主導治験」の治験調整事務局の運営などに積極的に取り組んでいます。

周術期薬剤管理部門

患者さんが安全に手術を受けられるように、術前から術中~術後を通して他職種と連携しながら薬学的管理を行っています。
主な業務内容は以下のとおりです:

  • 入院前の薬剤師面談で常用薬、健康食品などの使用状況、抗凝固薬などの術前休止薬の有無を確認し、麻酔科医、主治医へ情報提供を行う。
  • 手術で使用する薬剤による悪心・嘔吐やせん妄のリスクを術前に評価し、制吐剤などの薬剤の使用を提案する。
  • 手術中に使用する麻薬、麻酔薬等の薬品管理や使用量の確認、また緊急時に使用する薬剤の準備等を行う。
  • 手術中に生じたアナフィラキシーショックなどのイベントや、術後疼痛に対する鎮痛薬使用などの情報を把握し、ICU薬剤師や一般病棟薬剤師へ速やかな情報提供を行う。