■標準予防策(スタンダードプレコーション) |
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標準予防策とは、すべての人は伝播する病原体を保有していると考え、患者および周囲の環境に接触する前後には手指衛生を行い、血液・体液・粘膜などに曝露するおそれのあるときは個人防護具を用いることである。 |
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■湿性生体物資をすべて感染性があるものとして扱う |
血液 汗以外の体液(唾液、鼻汁、喀痰、尿、便、腹水、胸水、涙、母乳など) 傷のある皮膚 粘膜 |
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■感染症の有無にかかわらず、すべての患者に適用される |
これらの湿性物質との接触が予想されるときには予防具を用い、処置の前後には手洗い・手指消毒を行うことが、すべての院内感染対策の基本である。 |
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■個人防護具 |
湿性物質との接触が予想されるときには予防具を用いる。 湿性物質に触るとき→手袋 口・鼻の粘膜が汚染されそうなとき→マスク 衣服が汚れそうなとき→プラスチックエプロン・ガウン 飛沫が目に入りそうなとき→アイシールド・ゴーグル 顔、目、口、鼻の粘膜が汚染されそうなとき→フェイスシールド |
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■患者ケアに使用した器材の取り扱い |
1)
血液、体液、分泌物、排泄物などで汚染した使用済み器材は、皮膚、衣服、他の患者、環境を汚染しないよう取り扱う。 2)
血液、体液、分泌物、排泄物などで汚染した器材を取り扱う時は、手袋やエプロンなど個人防護具を装着する。 3)
再使用可能な器材は、他の患者ケアに安全に使用できるように、適切な洗浄・消毒・滅菌方法を選択し、確実に処理をしてから使用する。 4)
使い捨ての物品は適切に廃棄する。 5)
汚染された器材や環境に接触したあとは手指衛生の励行に努める。 |
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■環境管理 |
1)
患者周囲の高頻度接触表面(よく触れる部分)を日常的に清掃する。 2)
壁や床などの環境表面は血液や喀痰等の特別な汚染がない限り消毒は不要である。 3)
床などに付着した血液・喀痰等は、手袋を着用しペーパータオルで拭き取った後にその部位を次亜塩素酸ナトリウムで清拭消毒する。 |
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■リネン・洗濯 |
1)
血液、体液で汚染されたリネン類は皮膚との接触、衣服の汚染、他の患者や環境への汚染を予防するため、黄色のビニール袋もしくは水溶性ランドリーバッグに密封して搬送し、熱水洗濯機を使用して80℃、10 分間以上の消毒をする。 2)
感染症患者に使用したものは、ブルーのビニール袋に入れる。 3)
汚染されたリネン類が熱処理できない場合、洗濯前に消毒処理する。 |
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■患者の蘇生時の対策 |
救急処置時は、適切な防護用具を使用する。 |
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■患者配置 |
患者配置は感染性微生物の伝播の可能性を考慮して決定する。特に、環境を汚染するような患者、また適切な衛生環境を維持することに協力が得られない患者は個室への収容を検討する。 |
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■腰椎穿刺時の対策 |
脊柱管や硬膜下腔にカテーテルを留置したり、注射する際(ミエログラム、腰椎穿刺、脊髄くも膜下麻酔または硬膜外麻酔)には、術者はサージカルマスクを装着する。 |
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■安全な注射手技 |
1)
非経口薬剤の準備や投与の際は、無菌技術を適応する。 2)
各々の注射には滅菌の単回使用の使い捨て注射針および注射器を用い、注射器材および薬剤の汚染を防ぐ。 3)
点滴バッグ、チューブ、コネクターは一人の患者のみに使用し、使用後は適切に処分する。 4)
できるだけ単回量バイアル製剤を用いる。 |