■接触予防策・監視培養 |
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直接接触または器具や環境へ間接的に接触することにより感染する。 |
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予防策 |
・カテゴリーAの薬剤耐性菌、角化型疥癬、C.difficile、感染性胃腸炎、流行性角結膜炎といった個室隔離が必 要病原体の場合、入室時にプラスチックエプロン、手袋を装着する。 *ただし、耐性アシネトバクター、2DRA、MDRAはプラスチックエプロンではなくガウンを装着する ・カテゴリーBの場合、患者への接触度に応じてプラスチックエプロンや手袋を装着する。 ・MRSAの場合、MRSA隔離基準フローチャートに基づき、個室隔離が必要な場合は入室時にプラスチックエプロン、手袋を装着する。大部屋で可能な場合は患者への接触度に応じてプラスチックエプロンや手袋を装着する。 ・ゾーニングを守り、患者ゾーンから病原体を持ち出さないよう注意する。 入退室時に手指衛生を厳守する 手指消毒薬ポシェットは、患者や環境に接触しないようプラスチックエプロンで覆い、エプロン着用中は使用しない。 器具(聴診器、血圧計、体温計)を専用化する。 患者がよく触れるベッド柵やドアノブは医療用アルコールクロスで消毒する。 Clostridioides (Clostridium) difficile、感染性胃腸炎、流行性角結膜炎、多剤耐性アシネトバクター患者の周囲環境には次亜塩素酸ナトリウムを用いる。 環境清拭は1日2回行う。 環境整備チェックリスト 退院時・転室時には患者に使用したカーテンを交換する。 |
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個室隔離の基準 |
リスク表に基づきカテゴリーAの薬剤耐性菌・C. difficile・感染性胃腸炎・流行性角結膜炎・角化型疥癬は個室隔離とする。
l カテゴリーAの耐性菌 1) MDRP; 多剤耐性緑膿菌 2) MDRA; 多剤耐性アシネトバクター 3) CPE; カルバペネマーゼ産生腸内細菌目細菌 4) VRE; バンコマイシン耐性腸球菌 5) VISA/VRSA; バンコマイシン低感受性・耐性黄色ブドウ球菌 6) 2DRP: 2剤耐性緑膿菌 7) 2DRA; 2剤耐性アシネトバクター 8) キノロン耐性アシネトバクター 9) (腸内細菌目以外の)カルバペネマーゼ産生菌 l カテゴリーBの薬剤耐性菌検出例は多床室で接触予防策を実施とする 1) ESBL産生菌 2) Non-CPE CRE; 非カルバペネマーゼ産生カルバペネム耐性腸内細菌目細菌 3) (1系統の)耐性緑膿菌 l MRSA は下記フローチャートに基づき判断する。 |
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接触予防策実施期間・解除基準 |
解除後も手指衛生や湿性物質と接触が予想される場合の個人防護具着用などの標準予防策は厳守する。 再入院時は接触予防策継続の必要性について患者基本情報を確認する。 Ø MRSA 検出から3ヶ月後に前回検出部位または鼻腔での監視培養を実施し、菌陰性化を確認できれば接触予防策を解除する。検出された場合は、接触予防策を継続し、さらに3ヶ月後に監視培養を行う。 Ø カテゴリーAの耐性菌 入院中は接触予防策継続を原則し、再入院時に前回検出部位または便(VRSA, VISAはMRSA監視培養オーダーで鼻腔)での監視培養を実施する。 抗菌薬治療を受けていない患者において、患者周囲環境を汚染する咳嗽・下痢・排膿等の症状が落ち着いている場合、監視培養での菌陰性化または検出菌の薬剤感受性化を1週間以上の間隔で3回以上確認した場合、接触予防策解除を感染制御部と検討する。 Ø カテゴリーBの耐性菌 患者周囲環境を汚染する咳嗽・下痢・排膿等の症状がある期間接触予防策を実施する。 Ø C. difficile 下痢が消失して48時間(2日間)を経過するまで、もしくは治療期間終了まで接触予防策を実施する。 陰性化を確認するためのCDトキシン検査は不要である。 Ø 感染性胃腸炎 嘔吐や下痢の主要症状がおさまって2日経過するまで接触予防策を実施する。 Ø 流行性角結膜炎 発症後2週間接触予防策を実施する。 Ø 角化型疥癬 治療開始後2週間を目途に接触予防策を実施する。 |
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■監視培養検査 |
監視培養を行う際は、Think細菌検査の「*5監視培養」のタブを利用する。
費用は病院負担として保険請求しないため、患者への費用の請求は生じない。また、監視培養検査を行う場合は、患者に別紙の説明書「監視培養検査に関する説明とお願い」を用いてあらかじめ説明を行う(Thinkの文書作成システムによりカルテ記載・印刷が可能である)。説明者は、医師でも看護師でもかまわない。 この項目は一部の耐性菌に限った検査であり、その他の菌は検出対象とならない。その他の菌も含めて感染症の原因菌検索を希望する場合は、通常の培養同定検査で保険診療としてオーダーする。 |