医療情報部は、総合病院情報システムTHINK(Total Hospital INformation system of Kagoshima university)の運営・管理を行っている部門です。

トータルな病院情報システム 「オーダリングシステム」は鹿児島大学発

医療情報部長 宇都 由美子
医療情報部長 宇都 由美子

2001年、我が国においてはIT革命と知識創発型社会への移行を目指して、「e-Japan戦略」を掲げられました。2006年には、e-Japan戦略の目標を大きくクリアしたとして、u-Japan計画に引き継がれました。これまで情報技術の利活用は、情報化の遅れた分野を後押しするための取り組みが中心でしたが、今後は21世紀の我が国の社会課題を解決するためにICT(Information and Communication Technology)を積極的に利活用する段階に移行するとしました。

実は、医療におけるIT化は、政策として打ち出される以前に1980年頃から国立大学病院を中心に展開していました。「3時間待ちの3分診療」という膠着化した病院機能を改善するために、旧帝大を皮切りに大型汎用コンピュータが次々に導入されました。当院において病院情報システムが産声をあげたのは1984年です。初代電子計算機推進委員会委員長の井形昭弘教授(旧3内科教授、病院長、学長)の類稀なリーダーシップのもと、古くからある国立大学病院において、初めて発生原入力方式によるトータルな病院情報システムの構築が始められました。今では一般名称のように使われている「オーダリングシステム」という呼称は、鹿児島大学発なのです。その後、朝倉哲彦病院長(脳神経外科教授)、田中弘允病院長(旧1内科教授、学長)、熊本一朗病院長(医療システム情報学教授)に引き継がれ、今日に至っています。

 

その間、わが国における病院情報システム開発のパイオニア的役割を果たしながら、常に新しい機能やシステム開発にチャレンジしてきました。そして今、「サブシステムの塊」から「Total Hospital Information System」を目指すべく、電子指示システムの開発を主軸に、チーム医療を推進し、医療安全、病院経営、医学研究へ寄与するシステム構築に着手しています。

 

一方、医療情報部の役割は、時代のニーズとともに変わってきています。初期の頃は、病院の機能改善のための現状分析やシステム開発という役割がとても重要でした。その後、標準化、パッケージ化の流れの中で、安定した運用支援、さらに蓄積データの二次利用に関する支援が求められるようになりました。また、病院経営上の意思決定に必要なデータの抽出や編集加工が、不可欠な役割として加わってきました。また、当院におきましては、2009年4月に、すべての外来・病棟に医療クラークが導入され、その教育・管理などを医療情報部が引き受けるようになりました。このように、マンとマシーンの「コミュニケーション」(共同)性を具体的に進めようと、さまざまな取り組みを行っています。

 

医療情報学は学際的な学問であり、他の専門領域との共同や応用など多様性に富んでいます。医療情報学が社会的に認知されるようになってきた今、次のステップとして取組むべきは、実学としての医療情報学を意識し、実証を繰り返して、その役割を模索していきたいと考えます。

 

 

医療情報部長 宇都 由美子

 

 

 

 

 

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