針刺し・切創・粘膜曝露への対応

 

針刺しが起きたら

患者が特定できる

患者の承諾

患者が特定できない

医師がいないとき

職員以外の事故

学生針刺し曝露時のフローチャート

ウインドウピリオド

 

患者検査陽性時の説明文書

病院以外の桜ヶ丘地区職員針刺しマニュアル

 

 

針刺し・切創・粘膜曝露が起きたら

1.         創部を流水と石けんで洗い流す。可能なら消毒薬(ポビドンヨードなど)を使用する。(血液の絞りだしは推奨されていない)

2.          担当部署のリスクマネージャーに連絡

3.         医務課[平日8301700 は、医務課受付(5150, 5163)、それ以降は事務当直(5195, 5196]に電話連絡し受傷者のカルテを作成する。

(歯科職員は、歯科医務課6055に連絡してカルテを作成、患者と同様に検査を行う。結果は歯科のWebで確認する。

歯科部門の針刺し検査体制

4.         患者、受傷者ともにTHINKで検査オーダー(主保険を特全校に変更)。

5.         患者と受傷者の検体にラベルを貼って検査部に持参する(針刺し事故であることを伝える)

6.         検査室は、HIV検査はできるだけ迅速に行う。HBVの検査は翌日が休日でも、曝露後少なくとも24時間以内に行う。

7.         患者・職員の採血結果から、必要な対応をマニュアルで確認する。

8.         感染制御部に報告(5708

9.         受傷者は落ち着いてからTHINKで報告書入力する(情報系システム→インシデント・アクシデント→針刺し・切創報告書入力または皮膚粘膜汚染報告書入力)。

患者が特定できる場合

1.  患者の検査

     患者の承諾を得て、以下の検査をTHINKでオーダーする(針刺し用)

     HIV抗体、HBs抗原、HCV抗体、HTLV-I抗体

      時間外は緊急検査室へ持参し、HIV抗体のみ緊急で行う)

リスクマネージャーまたは主治医は検査結果を患者へ説明する。

2.  受傷者の検査

     以下の検査をTHINKでオーダーする(針刺し用)

     HIV抗体、HBs抗原、HBs抗体HCV抗体、HTLV-I抗体、肝機能検査(AST, ALT

ウインドウピリオドがあるため、患者の検査結果によらずすべての検査が望ましいが、検査項目の選定は強制するものではない。

     ただし前値としての検査が行われていない場合、労災認定に支障が出る可能性がある。

検査結果をTHINKで確認

3.  患者のHIV抗体が陽性の場合

感染性体液による針刺し、鋭利物の受傷、正常でない皮膚・粘膜への曝露があった場合、HIV「血液・体液曝露時の対応」に基づき、できるだけ速やかに(可能であれば2時間以内)に薬剤部へ「同意書ならびに薬剤交付票」を提出し、抗HIV薬を内服する。

*感染性体液の例:血液/血性体液、精液・膣分泌液、脳脊髄液・関節液・胸水・腹水・心嚢液・羊水

(便・唾液・鼻水・痰・汗・涙・尿は外観が非血性であれば感染性なしと考える)なお、HIVスクリーニング検査では偽陽性の可能性があるため、結果説明の際は確認検査が必要であることを説明する。

労災申請については、労務管理係に相談し、以後は外来で1か月、3か月、6か月、12か月後に検査を行う。

4.  患者のHBs抗原が陽性で、受傷者のHBs抗体が10mlU/ml未満の場合

48時間以内にHBワクチンとHBVガンマグロブリンの接種が必要となるため、感染制御部へ相談の上、消化器内科を受診する。

時間外は翌朝上記医師と連絡をとり、消化器内科を受診する。

労災申請については、労務管理係に相談し、以後は外来で1か月、3か月、6か月、12か月後に検査を行う。

5.  患者のHCV抗体が陽性の場合

特に予防法がないため、感染制御部1か月、3か月、6か月、12か月後に検査を行う。労災申請については、労務管理係に相談する。感染制御部は、必要に応じて消化器内科に相談する。

6.  HTLV-I抗体が陽性の場合

特に予防法がないため、外来で3か月後と6か月後に検査を行う。労災申請については、労務管理係に相談する。基本的に、感染制御部医師が対応し、受傷者のHTLV-I抗体が陽転化するなど問題がある場合は、血液膠原病内科外来を受診する。

7.  患者の検査がいずれも陰性の場合

検査が陰性でもウインドウピリオドである可能性もあるため6か月後に各種検査を行うことができるため、必要時感染制御部と相談する。

<患者の血液検査が陽性の場合の説明文書>

血液検査で患者のウイルス検査陽性が新たに判明した場合は、再検査など今後の対応が必要となるため、下記の説明文書を用いて医師が説明を行う。

説明文書HBV, HCV, HIV, HTLV-I

説明文書の作成方法

検査についての患者の承諾

入院時の誓約書に下記の文章を掲載し、針刺し・曝露時に患者のウイルス検査をさせていただくことについて入院時に了承をとっている。したがって、針刺し・曝露時に文書による同意書をとったり、手術前にあらかじめ同意書をもらう必要はない。しかし、針刺し・曝露時には患者に検査が必要であることをあらためて説明し了承を得る必要がある。また手術中は承諾を得られないので、手術前にあらかじめ説明しておく。

入院時誓約書と入院案内における協力のお願い

「医療行為の途中で、患者様の血液が付着した針を職員が誤って自分の皮膚に刺した場合などに、職員の感染予防のために患者様のウイルス検査(B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、後天性免疫不全症候群ウイルスHIV、成人T細胞白血病ウイルスHTLV-I)をすることがありますのでご了承お願い申し上げます。なお、検査結果の報告については個人情報保護法を遵守し、その際の検査費用は本院が負担いたします。」

 

外来手術の際の説明(外来手術中の職員針刺し時のウイルス検査のお願い

 外来手術では針刺し・切創・粘膜曝露がおきた際のウイルス検査の説明をあらかじめおこなっておく必要がある。

 

外来患者の針刺し・切創・粘膜曝露の場合(職員針刺し時のウイルス検査のお願い(外来)

 4種ウイルス検査についてその必要性を説明し検査をお願いするが、HIVについては同意書をとる。

患者が特定できない場合

1.  受傷者の検査

     以下の検査をTHINKでオーダーする(針刺し用)

  HIV抗体、HBs抗原、HBs抗体HCV抗体、HTLV-I抗体、肝機能検査(AST, ALT

ウインドウピリオドがあるため、患者の検査結果によらずすべての検査が望ましい。

検査結果をTHINKで確認し、その後の対応については感染制御部と、労災申請については労務管理係に相談する。

2.  HIV陽性血液による針刺し・曝露の可能性がある場合(患者が特定できる場合を参照)

3.   受傷者のHBs抗体が10mlU/ml未満でHBs抗原陽性血液の曝露の可能性がある場合(患者が特定できる場合を参照)

検査の12番→針刺し専用検査項目 通常の生化学検査用の容器を用いる

 

 

職員以外の針刺し・切創・曝露の対応

1.  実習生、部外研究生、外部委託職員(ビルサービス等)など職員以外の従事者が針刺し・曝露にあった場合は、ただちに事故発生部署のリスクマネージャーに報告する。

2.  リスクマネージャーは、職員の場合と同様にカルテを作成し、受傷者と患者のウイルス検査を行い、その結果に基づき適切な処置をとる。

3.  リスクマネージャーは、感染制御部(5708)、労務管理係(6695)に報告する。

4.  リスクマネージャーは、情報系システムの針刺し・切創事故等報告書を入力する。

5.  内科受診の必要がある場合は、該当診療科または感染制御部が調整する。

6.  部外研究生や診療従事許可を得た大学院生は、総務課企画・広報係(6692)に相談する。

7.  「鹿児島大学病院災害補償規則」の補償対象者は、大学院生・部内研究生・部外研究生・研修登録医のうち診療従事許可を受けている者に限る。

8.  外部委託職員(ビルサービス等)や派遣職員(病棟クラーク等)の検査費用等は、明らかに本院に非がある場合は、病院負担とする。そうでない場合は,派遣会社が労災手続きを行う。

学生の針刺し・曝露時の対応

大学病院の場合

学外の場合

ウインドウピリオド

 ウイルス感染が起きてから抗体が陽性になるまでの期間。平均してHIV 22日、HBV 59日、HCV 82日とされている。おおむねHIV 1か月、HBV 2か月HCV 3か月と考えられる。曝露源である患者の検査結果が陰性でも、ウインドウピリオド期間であれば見かけ上陰性となるため、体調管理に留意する。受傷者は病院負担による検査で確認することができる。