医療ICTと医療情報部門の役割
現在の当院における医療情報部の主な役割
- 病院情報システム(THINK)の開発、運用、メンテナンス全般
- 病院情報システムに係る知識及び技術の普及に関すること
- 病院情報システムに蓄積されたデータ利用による病院経営分析支援
- 診療情報管理士による診療情報の精度管理
- 医療クラーク(医療秘書)の教育、管理
- その他(よろず処理承り)
院内のクラーク、補助業務の整理・統合へ
目的
- 最小限の人数で最大の効果をあげる。
- 医療技術の進歩,診療報酬改定などの医療制度改革に対応できるよう、クラークや補助者が適宜,教育指導を受けられるようにする。
- クラークや補助者と病院職員が常に良い緊張関係を維持する。
方法
- クラークは診療科や病棟に固定配置ではなく、医療情報部づけにした。
- 主な業務部署として診療科や病棟に配置した。
- 曜日や時間帯によって業務量に差が生じた場合は、医療情報部の判断でクラークの適正配置が可能という運用を実現した。
- 診療科からの抵抗も見られたが、派遣法上の理由やクラークが休みを取得した場合の対応のためにも必要であるという理由で理解を求めた。
- 導入当初から、医療情報部と診療科が定期的に話し合いを持ち、クラークに行ってもらいたい業務について検討を行いながら、徐々に業務拡大を図っていった。
- 基本的に現場(診療科・病棟・医務課等)からのクラークに関する要望・クレームは医療情報部が受け、必要に応じて、医療情報部から委託業者あるいはクラーク本人に指導を行っている。
- クラークの出退勤・休みなどの管理は医療情報部で行い、早退・休み等で業務に支障が出た場合は、医療情報部で全体業務量を把握し、応援体制が取れるように調整している。
- 月1回の割合で外来・病棟別にクラークを集め、定例会を開催し、クラークの意見・要望等を収集し、必要に応じて診療科や病棟へ伝えている。
今では
クラーク及びクラークの業務もすっかり定着し、クラークを活用した次なる取り組みを目指している。
クラーク導入による対費用効果
しかし、クラークの導入が病院にどのようなメリットをもたらすか未知数の状態からのスタートであった。
クラーク導入に要する経費を上回る増収を達成する
外来クラークに対しては医学管理料の請求漏れ防止、病棟クラークに対してはDPCの精緻化と適正な診療報酬の実現。
クラーク導入に要する経費を上回る増収を達成する
目標値を設定し、常に成果を数値で測定する。診療報酬の改善は、病院職員の安心に繋がり、クラークの更なる動機づけに繋がっている。
おカネの次は・・・
電子カルテ(e-kanja記録システム)を利用した診断書作成支援。退院時サマリ作成支援、入院診療計画書作成支援など、医師の指示の下にクラークが代行入力を行い、医師の事務作業の補助領域を拡大していく。
クラークが生き生きと働ける職場環境は
クラーク自身が知的作業に関与でき、自分の役割が病院経営改善に貢献できているという自負心が更なる向上の動機づけに繋がっている。ある者は診療情報管理士、ある者は医療事務の通信教育を始めるなど、クラークとして働き始めたことが契機となり、自己能力開発に積極的に取り組み始めた。