鹿児島大学病院の医療情報部体制のあゆみ ー2人から42人へー
医療情報部の沿革
1984年 | 医療情報室設置 |
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1989年 | 医療情報部発足 |
2012年 | 現在に至る |
医療情報部を取り巻く環境の変化
2003年 | DPCの導入 | → 急性期入院医療 |
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2003年 | 新臨床研修医制度の導入 | → 医師の偏在による医師の業務負担の増 |
2004年 | 国立大学法人化へ移行 | → 経営基盤の強化 |
2006年 | 地域がん登録の開始 | → がんの予防と医療の進歩 がん医療の均てん化に寄与する地域がん登録の開始 |
2008年 | 医療クラークの導入 | → 医師事務補助作業の確立及び院内体制の整備 |
2人から3人へ/HIS開発の黎明期
オーダリングシステムの開発・導入
- 膠着化した病院機能の改善 → 3時間待ちの3分診療の解消
- 診療報酬請求漏れの防止
- 院内コミュニケーションツールの確立
- リエンジニアリング
- 病院経営改善
- 医療安全促進
- 電子患者記録の実現
更なる効率化と質保証
- 我が国のHIS開発のパイオニア的役割を果たしてきた。
- おおよそ5~6年のサイクルでシステムレベルアップを繰り返してきた。
- 大型汎用コンピュータからクライアントサーバ方式へ。
- 院内イントラネットの高速化
3人から37人へ/時代のニーズとともに変わる医療情報部の役割
医療クラークの管轄で重要な点
- 医療クラークが医師事務補助業務を短期間で確実にできるようにする。
- 最小限の人数で最大の効果を上げる。
- 医療クラークの人件費の財源を確保する。
- 医療クラークを病棟や外来に固定配置にしない。
- 曜日や時間帯によって業務量に差が生じた場合は、医療情報部の判断で適正配置を行う。
- 導入当初から,医療情報部と診療科で話合いを持ち、徐々に業務拡大を図った。
- 医療ICTによる医療クラークの業務支援機能の開発を行った。
DPCナレッジシステム
- 医師が決定したDPCに対して、HISの医事、病名、各種オーダリングシステムのデータベースを参照して、可能性があるDPCを根拠とともに提示するという機能。
- 医療クラークが活用し主治医に報告及び代行入力を行う。
患者の転科あるいは退院時、月末のレセプト作成時など、限られた時間で正確なDPCコーディングを確実に行うための支援ツール。
医学管理料なびシステム
- 医学管理料ごとの算定要件を設定した医学管理料チェックマスタに基づいて、該当患者の過去の診療内容(投薬・検査等)や疾患との関係、算定履歴、時間軸によるチェックを行い、算定可能性のある医学管理料の候補を洗い出すという仕組み。
37人から42人へ
DPC精度管理
- DPCコーディングの精緻化について医師を支援する。
- 適切なDPCデータを厚生労働省に提出する。
- DPCコーディング委員会を年2回以上開催する。
電子クリニカルパスの導入及び品質管理
- 電子クリニカルパスの安定的な運用を支援する。
- 医療安全や病院経営の健全化に貢献することを目的としてパスの品質管理を行う。
診療データ管理
- 電子カルテに入力されているサマリ等の監査。
- 登録病名のチェック(ICD10コーディング、電算レセプト標準マスタの未コード化傷病名のチェック等)を行う。
- 様式調査やレセプト審査等に関連する医師の業務負担の軽減を図る。
がん登録
- 1.都道府県がん診療連携拠点病院として、精度の高いがん登録が遂行できるよう、医師を支援する。
診療録管理
- 電子カルテ以前の紙媒体の診療録管理を行う。
- 診療科、部門からの閲覧要望に迅速・正確に対応する。
- 診療録管理委員会で決められた保存期間を過ぎた診療録の安全な廃棄を行う。
おわりに
医療情報部の役割拡大とそれに伴う組織改変について報告した今後の課題として
- 医療クラークの直接雇用の実現。
- 診療情報管理部門の業務推進に伴い、診療情報管理士を漸次増やしていく計画である。
時代のキーワードは「変化(change)」である
- 「変化」を意識できる医療情報部を目指す。
- 「変化」のスピードや方向に追いついていける医療情報部を目指す。