食道がん
1.診療体制
消化器外科(Ⅰ)で取り扱っているがん
鹿児島大学病院消化器外科(Ⅰ)の食道グループでは主に食道がんの手術を担当しています。
食道に発生する腫瘍の治療をしています。
進行がん
表在がん
2.診断
消化器外科(Ⅰ)における診断体制
当科の特徴としては、上部消化管内視鏡検査、超音波内視鏡検査や食道透視、頚部腹部超音波などの術前検査を自ら行っている点です。
その他、頚胸腹部CT、PET-CT検査をほぼ全例に行い、特に食道癌の予後を左右するリンパ節転移診断の精度の向上に努めております。検査結果を詳細に吟味し、患者さんに合った治療方針を検討することでその後の手術を含めた治療に反映させています。
超音波内視鏡による転移リンパ節診断
3.治療
消化器外科(Ⅰ)で取り扱う治療(手術・集学的治療等)
食道がんに対しては病気の進行度により手術(内視鏡治療と外科切除)を行っています。
近年は胸腔鏡、腹腔鏡手術に加え縦隔鏡手術を積極的に導入し、患者さんに負担の少ない治療を目指しています。
縦隔鏡手術(藤原ほか:消化器外科(Ⅰ) 38:1119,2015)
化学放射線治療
食道ステント
4.薬物治療
消化器外科(Ⅰ)で取り扱う治療(薬物治療)
切除不能・再発食道がんに対しては主に化学療法(抗癌剤治療)を行っています。術後再発リスクの高い症例に対しては、術前に化学療法または化学放射線治療を併用し、腫瘍を縮小させてから外科切除を行う治療も臨床試験として行っています。さらに近年注目されている免疫療法も治験として行っています。
5.放射線治療
消化器外科(Ⅰ)で取り扱う治療(放射線療法)
局所進行食道がん、再発食道がんに対しては、抗がん剤に加えて放射線療法も併用して治療を行っています(化学放射線療法)。放射線治療と陽子線治療を組み合わせた治療も臨床試験として行っております。
6.先進医療、臨床研究、治験
腫瘍に伴う痛みや嘔気などの症状に対しては、当院の緩和専門の医師や看護師と密接に連絡を取り、患者さん本人と相談をしながら肉体的・精神的な苦痛を和らげる薬物治療を積極的に導入しています。切除不能で通過障害により著しくQOLが低下する場合には、食道ステント治療も行っております。
先進医療、臨床研究、治験
消化器外科(Ⅰ)でおこなっている高度医療、最新の治療、研究等
- 臨床病期IB/II/III食道癌(T4を除く)に対する術前CF療法/術前DCF療法/術前CF-RT療法の第III相比較試験(JCOG1109:NExT試験)
- 臨床病期IB-III (T4を除く) 食道癌に対するS-1術後補助療法の第II相臨床試験 (JCOG)
- 食道癌患者を対象とした術後補助療法としてのS-588410がんペプチドワクチン療法第3相多施設共同プラセボ対照二重盲検無作為化比較試験
- ONO-4538 第Ⅲ相試験 食道がん又は食道胃接合部がん切除後患者に術後補助療法としてニボルマブ又はプラセボを投与する多施設共同第Ⅲ相無作為化二重盲検試験
- 切除不能または再発食道癌に対するCF(シスプラチン+5-FU)療法とbDCF(biweeklyドセタキセル+CF)療法のランダム化第III相比較試験(JCOG1314)
- 消化管・肝胆膵原発の切除不能・再発神経内分泌癌(NEC)を対象としたエトポシド/シスプラチン(EP)療法とイリノテカン/シスプラチ(IP)療法のランダム化比較試験(JCOG1213)
- 胸部食道癌に対する化学放射線療法陽子線ブースト照射のパイロット試験(多施設共同研究)