肝臓がん
1.診療体制
消化器内科で取り扱っているがん
肝臓に発生する腫瘍の治療をしています。肝臓腫瘍には良性と悪性がありますが、主に肝臓がんに対する内科的治療や化学療法を行っています。
2.診断
消化器内科における診断体制
当科では、肝癌に対して「診断」から「治療」まで、幅広く診療しています。
外来では慢性肝炎・肝硬変の患者さんを含めて、年間約4,000件の腹部超音波検査を主に肝臓内科医が行っています。入院した患者さんに対しては造影超音波による精密検査を行い、造影CT/MRIと合わせてより正確な診断を心がけています。
3.治療
消化器内科で取り扱う治療(手術・集学的治療等)
肝癌に対する「治療」は、患者さんの状態によりさまざまですが、当科ではどの病期の患者さんに対しても適切な治療が行える体制が整っています。
現在まで当院で治療された初回登録患者さんは約900名にのぼります。
肝癌に対する治療として、経皮的ラジオ波焼灼術(RFA)やカテーテルによる治療(肝動注化学塞栓療法)、内服や点滴による全身化学療法を行っています。
RFAに関しては従来のCool-tip(センチュリーメディカル社製)に加え、バイポーラRFAシステム(CelonPOWERR、オリンパス社製)も導入しています。バイポーラRFAシステムは、複数針でRFAを行いますが、肝癌を直接穿刺することなく焼灼が可能で、これまで内科的治療が困難で手術に頼っていた肝表面や脈管に近接する肝癌に対しても有効です。
カテーテル治療として、「肝動注化学塞栓療法」を行っていますが、新規治療法として、近年、薬剤溶出性球状塞栓物質(drug-eluting bead;DEB)が使用可能となりました。DEBは抗がん剤を含浸(しみ込ませる)させる事で、抗がん剤の徐放作用が期待でき、かつ塞栓効果も期待できる事から現在注目されています。
4.薬物治療
消化器内科で取り扱う治療(薬物治療)
点滴による全身化学療法に加え、肝癌に対する治療効果に関するエビデンスが確立した治療法として「分子標的治療薬」による治療も行っております。2009年から本邦においてもソラフェニブが使用可能となり多くの患者さんに治療で用いられてきましたが、2017年6月よりレゴラフェニブが新規に使用可能となりました。ソラフェニブ無効の患者さんに対する新たな治療の選択肢として治療に貢献できるのではないかと考えております。
5.放射線治療
消化器内科で取り扱う治療(放射線療法)
RFAが困難な部位に存在する肝癌に対しては、放射線科とも協力し「放射線治療」として定位放射線療法(Stereotactic Radiotherapy;SRT)も行っております。同治療はRFAが困難な部位に存在する肝癌に対する局所療法として非常に有用であることが確認されつつあります。
鹿児島大学病院消化器内科では、従来の治療のみならず新規治療法も積極的に取り入れ、うまく組み合わせる事で、肝癌に対する幅広い治療選択が可能です。
また、肝癌のみならず、その病気の原因となった背景の肝疾患に対する治療も積極的に行っていることが、消化器内科医の強みであると考えます。
これからも患者さんにとってより良い治療方法を提案して行きたいと思いますので御相談頂ければと思います。