乳がん

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担当診療科
乳腺・甲状腺外科

腫瘍について

腫瘍について詳しくは「がん対策情報センター」でご紹介しています。下記のボタンからリンクします。

1.診療体制

乳腺・甲状腺外科で取り扱っているがん

  • 原発性乳がん
  • 再発乳がん(乳がんの再発)
  • 転移性乳がん(転移した乳がん)
  • 乳腺葉状腫瘍
  • 乳腺悪性葉状腫瘍

(良性疾患として乳輪下膿瘍、陥没乳頭、女性化乳房症、良性乳腺腫瘍、乳腺症)

2.診断

乳腺・甲状腺外科における診断体制

乳がんの診断目的で以下の検査を外来にて実施しています。

  1. 視触診
  2. 乳房マンモグラフィ検査
  3. 乳房トモシンセシス
  4. 乳房超音波検査
  5. 乳房超音波ガイド下細胞診、針生検
  6. 超音波下吸引式組織生検
  7. マンモグラフィガイド下吸引式組織生検
  8. 乳房CT, 乳房MRI
  9. 局所麻酔下乳房腫瘤摘出術

日本乳癌学会乳腺専門医・指導医1名(女性医師)、日本乳癌学会専門医1名(男性医師)、外科専門医1名(男性医師)、医員(女性医師)が外来を担当し、がんの診断、治療にあたっています。

3.治療

乳腺・甲状腺外科で取り扱う治療(手術・集学的治療等)

早期乳癌に対する、乳房温存療法や、腋窩リンパ節を温存するセンチネルリンパ節生検を実施しています。進行乳癌に対して、術前薬物療法(化学療法、内分泌療法)後に手術を実施しています。
乳房切除時の一次乳房再建(ティッシューエキスパンダー挿入による一次再建)のほか、自家組織を用いた一次乳房再建、二次乳房再建を実施しています。自家組織を用いた乳頭乳輪形成術を実施しています。

4.薬物治療

乳腺・甲状腺外科で取り扱う治療(薬物治療)

  • 内分泌療法
  • 化学療法
  • 分子標的治療

(保険適応となっている治療、乳癌診療ガイドラインで推奨されている標準療法を実施しています。)

先進医療、臨床研究、治験

乳腺・甲状腺外科でおこなっている高度医療、最新の治療、研究等

1.外科治療に関する臨床研究1「整容性を考慮した日本人女性に適した乳癌手術の研究

乳がんに対する標準治療のほか、術後の生活に配慮した手術を臨床研究として実施しています。乳がんの切除と乳房の形をきれいに整える形成手術を同時に行う手術を「オンコプラスティック・サージャリー」と呼ばれています。日本では、2013年に日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会が設立されたばかりで、非常に新しい治療分野です。鹿児島大学乳腺甲状腺外科では、このオンコプラスティックサージャリーに早くから着目をし、がんを確実に取り除く根治性と乳房の見た目の美しさを両立できる方法として研究を続けています(2004年より実施)。

乳がんの手術には、乳房を全摘する場合と、がんの部分だけを取り除く温存術があります。温存する場合でも、できるだけきれいに乳房を残すように手術が進められますが、腫瘍のある部位や大きさ・癌の広がり具合によって手術後に乳房そのものが変形したり、左右の大きさや乳頭の位置が不釣り合いになることがあります。できるだけ小さく切除を行って変形を少なくする必要がありますが、整容性を気にするあまり癌を取り残すような手術を実施していては、追加切除手術が必要になったり、手術後に局所再発をする可能性が高くなったりします。

オンコプラスティック・サージャリーでは、がん組織をきちんと取り除いたうえで、乳房の変形や左右差が生じないよう乳房を美しい形で残すことの両方を重視します。形成外科手術の手法を採り入れているのが特徴です。 鹿児島大学では、乳房温存手術の際に癌を取り除く手術ともに、背中や腹部の脂肪や筋肉を用いて乳房の形を整える補てん術を2004年から採り入れてきました。 さらに2006年に、日本ではあまり実施されていなかった乳房縮小術を乳癌手術に導入しました。乳房縮小術は元来乳房の大きな欧米を中心に発展してきた術式で、大きな乳房を小さく、また形よく修正する美容外科的要素の強い術式です。これを乳癌手術時に応用する場合、乳がんのできた乳房の患部を切除する際に、余剰な皮膚や組織も切除します。さらに乳頭の位置を修正すると、乳房そのものの形を整えることが可能となります。左右対称性を得るために、反対側の乳房の手術を実施する場合もあります。加齢によって下垂した乳房を引き上げることも可能で、乳房の左右対称性や見た目の美しさが保たれます(保険適応外手術、院内倫理委員会承認研究)。

これらの 手術は、患者のがんの広がり具合や乳房の形、乳頭の位置、体型などに合わせて、綿密に計画されます。癌を遺残しない手術を確実に実施するには、がんの広がりを正確に診断することと、手術前に患者さんの状態を十分に把握することが重要です。CTやエコーなど病変を評価するために検査したときと手術のときの体位が異なる場合、とくにサイズの大きな脂肪性の乳房の場合には、切除するべき目的の場所がずれてしまう可能性があります。手術の前日もしくは前々日に1時間ほどかけて、手術で乳房をどのような形に仕上げるかを決めていきます。患者さんと新しい乳房の大きさはこれくらいで、乳頭の位置はここくらいで、傷はどこに残って…などの説明をしながら、可能な限り患者さんの希望を取り入れた手術ができるように準備をします。

臨床研究として実施しているため、手術後数年間は整容性評価やQOLに関するアンケート調査を実施しています。乳癌手術後の治療や経過観察目的での再診時に実施しますので、研究対象として別の機会に来院していただいたり煩雑な検査をしたりする必要はありません。

2.臨床研究2「蛍光物質を用いた術中の癌細胞イメージング」

近年、癌細胞を可視化するイメージング技術が向上しています。癌手術においては、手術中に全ての癌細胞を取り除く必要があります。そのため、癌細胞イメージング技術は手術の質を向上させ、より良い治療を生み出す可能性を持っています。
東京大学の浦野泰照教授はgGlu-HMRGという新しい蛍光物質を開発し、数分という短時間で癌細胞を可視化することに成功しました。本技術を用いて、九州大学病院、うえお乳腺外科のグループは手術で摘出した乳腺内の小さな乳癌組織を可視化することを示しました。
当研究室でもこれらの技術を用いて、癌手術の質を向上を目指して研究を行っています。

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