子宮体がん

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担当診療科
産科・婦人科

腫瘍について

腫瘍について詳しくは「がん対策情報センター」でご紹介しています。下記のボタンからリンクします。

1.診療体制

産科・婦人科で取り扱っているがん

子宮は、「体部」と「頸部」に分かれています。前者は妊娠で赤ちゃんが入っている部分、後者はお産の時に赤ちゃんが通って出てくる部分です。子宮体がんは、体部の内膜組織にがんが生じる病気で、子宮内膜がんとも言われます。
子宮体がんの後発年齢は閉経後であり、症状としては不正性器出血が多くみられます。子宮体がんの多くは肥満、糖尿病などの生活習慣病を背景にしていることが多く、エストロゲンという女性ホルモンが関与していると言われています。このような特徴を持つタイプはⅠ型といい、主な組織型は類内膜腺癌で子宮体がんの9割を占めます。また、生活習慣病とはあまり関連がない高齢女性で、エストロゲンも関連しないタイプをⅡ型といい、主な組織型は漿液性腺癌や明細胞腺癌で、Ⅰ型と比較して予後が不良です。

2.診断

産科・婦人科における診断体制

患者さんそれぞれに最良の治療を行うために、治療前の正確な診断を行うことは非常に重要です。
子宮体がんは、子宮内膜細胞診・組織診にてがんの確定診断を行います。この検査は子宮の内腔に細い管状の器具を挿入し、細胞や組織を採取します。通常外来にて行いますが、頸管狭窄などで内腔に器具が挿入できない場合や、診断が困難な場合は、入院して麻酔下に子宮内膜組織を採取することもあります(子宮内膜全面掻爬術)。また、内診、直腸診といった婦人科的な診察、さらには超音波検査、CT、MRI、レントゲンなどの画像診断があります。血液検査による腫瘍マーカーの測定も行います。
当科では複数の婦人科腫瘍専門医がおり、患者さんごとに最適な治療が受けられる様に診断を行なっています。

3.治療

産科・婦人科で取り扱う治療(手術・集学的治療等)

子宮体がんに対する治療法には、手術や抗がん剤による治療(化学療法)などがありますが、病気の進行や患者さんの状態に応じて治療法を決定します。通常、子宮体がんの場合は手術を行うことが多く、病気の進行の程度に応じて術後化学療法が行われます。
手術の方法にはいくつかの種類がありますが、手術前の進行期に応じて手術法を決定しています。子宮体がんⅠA期に対しては、内視鏡(腹腔鏡、ロボット支援)によって子宮、卵巣、卵管、骨盤内のリンパ節を切除する、子宮全摘出術+両側付属器(卵巣と卵管)摘出術+骨盤リンパ節郭清を行っています。内視鏡手術は開腹手術と比較して、創が小さく体の負担が少ないため術後の回復が早く、早期の退院が可能です。子宮体がんⅠB-ⅢC期に対しては、開腹による子宮全摘出術+両側付属器(卵巣と卵管)摘出術+骨盤リンパ節郭清+傍大動脈リンパ節郭清を行っています。
手術後の病理検査の結果に応じて、手術後に2種類の抗がん剤(パクリタキセルとカルボプラチン)を組み合わせるTC(ティーシー)療法が追加されることがあります。

4.薬物治療

産科・婦人科で取り扱う治療(薬物治療)

子宮体がんに対する薬物療法は、抗がん剤治療、ホルモン療法があります。IV期の患者さんに対しては根治的な手術適応がなく抗がん剤治療あるいは緩和治療が行われることがあります。また、手術後の病理検査の結果に応じて、手術後に抗がん剤治療が追加されることがあります。使用される薬剤はパクリタキセル、カルボプラチン、アドリアマイシン、シスプラチン、ドセタキセルなどがあります。また、進行・再発癌に対してホルモン療法を行うこともあります。

5.放射線治療

産科・婦人科で取り扱う治療(放射線療法)

手術後の治療の多くは抗がん剤治療を行いますが、年齢や合併症によっては放射線治療を行うこともあります。再発癌に対しては、再発部位や個数などにより放射線治療を行うことがあります。また、緩和療法として放射線治療を選択することもあります。

先進医療、臨床研究、治験

産科・婦人科でおこなっている高度医療、最新の治療、研究等

当科では子宮体がんに関する様々な臨床試験を行なっています。当施設独自の臨床試験以外にも、国内臨床試験などを行なっています。全ての臨床試験は、当院の倫理委員会へ申請を行い、承認されています。
また、対象となる患者さんそれぞれに説明をして、同意をいただいています。
当施設独自の臨床試験としては、子宮体がんⅠA期の患者さんを対象に、術後の下肢リンパ浮腫を軽減するためのセンチネルリンパ節生検(骨盤リンパ節郭清を行なわずにセンチネルリンパ節のみを摘出して術中病理診断を行なう)を行なっております。また先進医療として、子宮体がんⅠB期以上の患者さんを対象に、腹腔鏡による子宮全摘出術+両側付属器(卵巣と卵管)摘出術+骨盤リンパ節郭清+傍大動脈リンパ節郭清の臨床試験を行っています。
このように、常に最新・最良の治療を患者さんに提供できるよう心がけています。

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