外陰がん

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担当診療科
産科・婦人科

腫瘍について

腫瘍について詳しくは「がん対策情報センター」でご紹介しています。下記のボタンからリンクします。

1.診療体制

産科・婦人科で取り扱っているがん

外陰とは性器の外側で主には陰唇、陰核、前庭、会陰部のことを示します。外陰がんとはこれらの部位にできる悪性腫瘍の総称です。そのほとんどが上皮性の扁平上皮癌であり子宮頸癌同様にヒトパピローマウイルスとの関連が指摘されています。外陰がんは産婦人科が取り扱う悪性腫瘍の中でも3-4%と稀な疾患です。当院には複数の婦人科腫瘍専門医が診療に携わっており、患者ごとに最適な治療が受けられる様に診療を行なっています。

2.診断

産科・婦人科における診断体制

腫瘍が大きくなってからの診断は容易ですが、早期の病変では肉眼的にはわかりにくい場合もあり、少しでも疑われれば生検を行います。
生検を行い病理学的に診断が確定した場合、次に腫瘍の大きさや腫瘍の広がりを視診、内診、触診を行い評価します。さらに、CT、MRI、PET/CTの画像診断でリンパ節転移や遠隔転移の評価を行います。

3.治療

産科・婦人科で取り扱う治療(手術・集学的治療等)

病気の拡がり方は主に、

  1. 直接的に膣、尿道や肛門などの近くの臓器に進展する
  2. リンパ節に転移する、頻度は低いですが
  3. 肺、肝臓、骨へ転移する経路があります。

これらの拡がり具合によりステージ(病期)を推定し、治療方針を決定します。
現在の治療は切除不能が予想される場合や遠隔転移がある場合を除き外科手術が第一選択となります。しかしながら、外陰がんの患者さんは高齢で他の病気を合併していることも多く、放射線治療が選択される場合も少なくありません。
外陰がんの治療は原発巣の治療(局所制御)が非常に重要です。手術療法に関して、従来は画一的に病巣を広い範囲で切除する広汎外陰部切除に鼠径部のリンパ節摘出が行われてきましたが、最近では縮小と個別化が考慮されてきています。初期の場合、病巣の摘出は根治的局所切除術や部分切除術を行います。広汎外陰部切除術は、十分な正常組織をつけて広い範囲で切除する術式であり、必要に応じて形成外科的な再建が行われます。鼠径部のリンパ節郭清は病巣の部位、大きさや深さにより郭清範囲を決定します。
外陰がんの手術は高齢者が多いこともあり、総じて創部感染などの合併症の頻度が高いことが問題でした。近年、術式の工夫や再建の個別化等により合併症の軽減、QOLの向上が得られるようになってきています。

4.薬物治療

産科・婦人科で取り扱う治療(薬物治療)

化学療法は主に進行例や再発癌に対して行われます。摘出困難例に、縮小してから手術を行う(術前化学療法)目的で化学療法を行う場合もあります。また、治療効果の上乗せを図るため放射線治療に併用する場合もあります。
しかしながら、化学療法は他の婦人科癌ほどの効果は期待できず、世界的に標準治療が確立していないのが現状です。

5.放射線治療

産科・婦人科で取り扱う治療(放射線療法)

放射線治療は主に術後の補助療法として用いられます。骨盤や鼠径部リンパ節転移がある場合、手術後に再発リスクを下げる目的で外照射を行います。
外陰がんの治療は手術が基本ですが、高齢者は合併症により必ずしも手術ができる体調とは限りません。そのような患者さんは放射線治療(+化学療法)が主な治療となります。放射線治療専門医と一緒に治療を行います。

6.先進医療、臨床研究、治験

がんの進行に伴って出現する様々な症状を軽減するのが緩和ケアです。治療に伴う不安や疼痛に対して治療開始時より介入を行います。外陰がんでは原発巣である外陰の腫瘍により引き起こされる症状が問題となるケースが多いです。原発巣のコントロールが難しい場合は疼痛、出血、悪臭などの症状が増強しQOL(生活の質)を下げる原因となります。対応に苦慮する場合もあり、次項目で述べる軟膏などを用いて症状の軽減を図っています。必要時は、院内の緩和ケアチームと協力して治療を行います。

先進医療、臨床研究、治験

産科・婦人科でおこなっている高度医療、最新の治療、研究等

外陰がんは症例が少ないため、他のがんのような信頼性のある研究が少ない(組めない)のが現状です。個々の症例について十分な検討を行い治療しています。
当科では治癒を目指した治療を積極的に行っていますが、時に再発や増悪する場合もあります。そのような場合は、局所の疼痛、出血や悪臭のコントロールが問題となります。当院では、世界に先駆けてMohs’ paste(モーズ軟膏)を腫瘍に塗布し、これらの症状の軽減を図る方法を開発し報告しました。臨床で使用し良好な治療効果を得ております。

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