がんの部位から探す

小児血液がんとは小児期に発症する白血病、悪性リンパ腫のことです。白血病、悪性リンパ腫と言っても、細胞の種類や重症度（リスク）など様々なタイプがあり、それぞれのタイプを的確に診断し、それに合った適切な治療を行うことが治療成績に大きく影響します。鹿児島大学小児科は日本小児がん研究グループ（Japan Chidren’s Cancer Group：JCCG）に属しており、小児血液がんの専門医が多数いますので、診断から治療までを世界標準で行う体制ができています。JCCGからの最新の情報を日常の診療に生かしています。
小児血液がんの診療をする上で、血液検査や抗がん剤の投与に使用する中心静脈カテーテルは重要です。小児外科との連携で、必要に応じて最適な時期にカテーテルを挿入しています。
小児血液がんは昔と比べると治るようになりましたが、病気は治っても合併症の治療が必要だったり、最初の病気とは違うがん（二次がん）が発症してしまったりする可能性があります。鹿児島大学小児科では毎週火曜日の午後に長期フォローアップ外来を開いて、そのような方々の診療にあたっています。

白血病や悪性リンパ腫の診断をするためには血液検査、骨髄検査、髄液検査が必要です。血液検査は中心静脈カテーテル挿入後はカテーテルから採血しますので、痛みを感じることなく検査することができます。骨髄検査は骨の中にある骨髄から骨髄液を採取して行う検査で、髄液検査は脳脊髄液を採取して行う検査です。いずれの検査も鎮静（お薬を使用して眠ること）のもとに行いますので、お子さんが痛い思いをせずに安全に検査をすることができます。採取した血液や骨髄液、脳脊髄液で免疫学的診断や染色体検査、遺伝子検査を含めた様々な検査を行い、白血病や悪性リンパ腫のタイプを正確に診断しています。最近では日本小児がん研究グループ（Japan Chidren’s Cancer Group：JCCG）に登録して、中央診断のもとに正確な診断をしています。

血液検査、骨髄検査、髄液検査で正確に診断したら、重症度に合った適切な治療を行います。抗がん剤による治療を化学療法と言いますが、抗がん剤単剤での治療は効果に乏しいため、いくつかの抗がん剤を組み合わせて治療を行う事がほとんどです。このような治療方法を多剤併用化学療法と言います。多剤併用化学療法を行うことで治療成績が改善しています。鹿児島大学小児科は日本小児がん研究グループ（Japan Chidren’s Cancer Group：JCCG）に属しており、現時点で最も標準的と考えらえる多剤併用化学療法を行っています。
抗がん剤には吐き気や口内炎、脱毛、血球減少など、様々な副作用もあります。副作用を減らす予防的治療をしたり、発生した副作用に対する治療を行ったりしながら、予定した化学療法が安全に行われるようにしています。
白血病や悪性リンパ腫の中には重症なものや治療に抵抗性を示すもの、再発するものもあります。その場合には通常の抗がん剤治療では治癒することが難しいため、造血幹細胞移植を行います。鹿児島大学小児科の病棟には移植可能なお部屋が準備されており、毎年移植が行われています。

治療を行う上でお子さんが痛みを伴ったり、家族がつらい思いをしたりすることもあります。鹿児島大学には緩和ケアチームがあり、精神科医や看護師など様々な職種の方が属しています。緩和ケアチームと一緒にがん緩和治療を行っています。