小児固形がん

type13

担当診療科
小児科

腫瘍について

腫瘍について詳しくは「がん対策情報センター」でご紹介しています。下記のボタンからリンクします。

1.診療体制

小児科で取り扱っているがん

小児固形がんとは小児期に発症するあらゆる種類のがんのことを言います。具体的には神経芽腫、肝芽腫、横紋筋肉腫、ユーイング肉腫、腎芽腫、骨肉腫、奇形腫、脳腫瘍などがあり、他にも非常にまれな腫瘍もあります。小児科では、あるゆる小児固形がんに対応していますし、発症した部位に応じて、専門的な外科(主に小児外科が多いですが、脳腫瘍なら脳外科、筋肉や骨から発症した腫瘍なら整形外科など)と連携して診療にあたっています。鹿児島大学小児科は日本小児がん研究グループ(Japan Chidren’s Cancer Group:JCCG)に属しており、小児固形がんの専門医が多数いますので、診断から治療までを世界標準で行う体制ができています。JCCGからの最新の情報を日常の診療に生かしています。
小児固形がんの診療をする上で、血液検査や抗がん剤の投与に使用する中心静脈カテーテルは重要です。小児外科との連携で、必要に応じて最適な時期にカテーテルを挿入しています。
小児固形がんは昔と比べると治るようになりましたが、病気は治っても合併症の治療が必要だったり、最初の病気とは違うがん(二次がん)が発症してしまったりする可能性があります。鹿児島大学小児科では毎週火曜日の午後に長期フォローアップ外来を開いて、そのような方々の診療にあたっています。

小児固形がんとは?

2.診断

小児科における診断体制

小児固形がんを診療するためには、まず、正しい診断を行うことが重要です。そのためには固形がんの組織の一部を取り出して、詳しく検査をする必要があります。固形がんの一部を取り出すためには手術(生検術)が必要です。固形がんが発症した部位に対応した専門的な外科(主に小児外科が多いですが、脳腫瘍なら脳外科、筋肉や骨から発症した腫瘍なら整形外科など)にお願いして生検術を行い、病理の先生と共に診断しています。最近では日本小児がん研究グループ(Japan Chidren’s Cancer Group:JCCG)に登録して、中央病理にも依頼をし診断しています。また、染色体検査や遺伝子検査も可能なものは行い、診断をより正確に行うとともに、重症度(リスク)の判別を行っています。
腫瘍の種類によってはその腫瘍が産生する特有の物質があり、腫瘍マーカーと言われています。腫瘍マーカーを測定することで、診断の助けになったり、治療効果判定ができたり、再発の予測ができたりします。
診断と重症度が分かったら、それに応じた適切な抗がん剤の投与(化学療法)を小児科で行います。
同じ腫瘍でも、腫瘍の進展度(Stageとも言います)によってもリスクが違います。CT、MRI、PET検査などを行い、正確にStageを決めて、適切な治療を行っています。

診断体制

3.治療

小児科で取り扱う治療(手術・集学的治療等)

小児固形がんの診療では正しく診断することが重要です。腫瘍の発生部位や大きさによっては最初から完全摘出できることもありますが、周りの血管や筋肉、神経などの合併症の関係から完全摘出できないことが多いです。そのような場合は、正しく診断するためにまずは腫瘍の一部を切除して病理診断を行う生検術が行われます。診断確定後に抗がん剤による治療を開始し、腫瘍をできるだけ小さくした後に安全に腫瘍を切除します。このような手術方法をsecond look operationと言います。
小児がんは体のあらゆる部位に発症します。腫瘍の部位により小児外科、脳神経外科、整形外科、耳鼻咽喉科、泌尿器科などと協力して生検術、完全切除術を行います。
リスクの高い小児固形がんの場合、通常の化学療法では治癒の可能性が低い場合があります。そのような腫瘍に対しては、超大量化学療法を併用した自家末梢血幹細胞移植を行います。鹿児島大学小児科の病棟には移植可能なお部屋が準備されており、毎年移植が行われています。

4.薬物治療

小児科で取り扱う治療(薬物治療)

抗がん剤による治療を化学療法と言います。小児固形がんの種類により効果のある抗がん剤が決まっています。そのため、正しく診断をすることはとても大切です。
抗がん剤単剤での治療は効果に乏しいため、いくつかの抗がん剤を組み合わせて治療を行う事がほとんどです。このような治療方法を多剤併用化学療法と言います。多剤併用化学療法を行うことで、腫瘍の完全摘出が可能になったり、摘出後の再発率が低下したりします。鹿児島大学小児科は日本小児がん研究グループ(Japan Chidren’s Cancer Group:JCCG)に属しており、現時点で最も標準的と考えらえる多剤併用化学療法を行っています。
抗がん剤には吐き気や口内炎、脱毛、血球減少など、様々な副作用もあります。副作用を減らす予防的治療をしたり、発生した副作用に対する治療を行ったりしながら、予定した化学療法が安全に行われるようにしています。
リスクの高い小児固形がんの場合、通常の化学療法では治癒の可能性が低い場合があります。そのような腫瘍に対しては、超大量化学療法を併用した自家末梢血幹細胞移植を行います。鹿児島大学小児科の病棟には移植可能なお部屋が準備されており、毎年移植が行われています。

薬物治療

5.放射線治療

小児科で取り扱う治療(放射線療法)

小児固形がんの種類によっては放射線療法に効果があるものもあります(脳腫瘍の一部や神経芽腫、ユーイング肉腫、横紋筋肉腫など)。そのような腫瘍に対しては放射線療法を行います。直接の放射線療法は放射線科の先生が行いますが、小さいお子さんは放射線療法中にじっとしていることができません。そのような時は小児科と放射線科で協力して、お薬を使用し眠っている間に放射線療法を行っています。

6.先進医療、臨床研究、治験

治療を行う上でお子さんが痛みを伴ったり、家族がつらい思いをしたりすることもあります。
鹿児島大学には緩和ケアチームがあり、精神科医や看護師など様々な職種の方が属しています。
緩和ケアチームと一緒にがん緩和治療を行っています。

緩和ケア

先進医療、臨床研究、治験

小児科でおこなっている高度医療、最新の治療、研究等

日本小児がん研究グループ(Japan Chidren’s Cancer Group:JCCG)は2014年12月にNPO法人として設立されたオールジャパンに立脚する小児がんの臨床研究グループです。小児固形がんに対する臨床試験を行っており、全国で統一されたプロトコールに則り、安全性と有効性を吟味しながら研究が進められています。

鹿児島大学小児科で行っている主な臨床試験は以下の通りです。

  • AHEP0731:高リスク肝芽腫に対するイリノテカン、ビンクリスチン、テムシロリムス併 用療法の有効性に関する国際共同臨床試験
  • 進行性固形がんを対象としたサバイビン反応性増殖型アデノウイルスベクター(Surv.m-CRA-1)の腫瘍局所投与による第Ⅰ相試験
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