眼部がん

type01

担当診療科
眼科

腫瘍について

腫瘍について詳しくは「がん対策情報センター」でご紹介しています。下記のボタンからリンクします。

1.診療体制

眼科で取り扱っているがん

眼科では、眼の中のがんだけでなく、眼瞼(まぶた)、結膜(白目)、眼窩(眼球の周り)、涙道などのがんに対し、診断、治療を行っております。眼内、眼の周りは様々な組織で構成されており、そこから発生する腫瘍には多くの種類があります。

2.診断

眼の中のがん

脈絡膜悪性黒色腫 眼球内にある脈絡膜にできる悪性腫瘍です。眼底検査で黒く、増大傾向のある腫瘤を認めた場合、この腫瘍を疑います。MRIやPETなどの画像検査で精密検査を行います。
眼内悪性リンパ腫 眼の中が濁って見えにくくなります。他の病気でも濁りが出ることもありますが、ステロイド治療で効果がない場合にこの腫瘍を疑います。採血、眼内液の採取を行い、IL-10/IL-6濃度などを測定して診断します。
網膜芽細胞腫 乳幼児に見つかることの多い腫瘍です。眼底に白く隆起した病変を認めた場合に、この腫瘍を疑います。CT、MRIなどの精密検査を行います。

眼の外のがん

眼瞼・結膜悪性腫瘍 まぶたにできる代表的ながんには、基底細胞癌、脂腺癌、扁平上皮癌があります。腫瘍の周りのまつ毛が抜けていたり、形がいびつであったり、出血したりする場合に悪性腫瘍を疑います。また、白目の部分(結膜)にも扁平上皮癌や悪性黒色腫などができることがあります。腫瘍の一部を採取(生検)し、病理組織学的検査で診断します。腫瘍が大きい場合は、CTやMRIで周囲への伸展がないか確認します。
眼窩悪性リンパ腫 眼球の周りにも悪性リンパ腫ができることがあります。上まぶたの腫れやしこりを自覚されて発見されることが多いです。大きさや形をCTやMRIで確認するとおおよその診断はできますが、診断は生検を行い、病理組織学的検査で確定します。
涙腺癌 上まぶたの外側には涙を分泌する涙腺があり、ここに腫瘍ができると上まぶたが腫れたり、しこりを触れたりします。CTやMRIで悪性腫瘍が疑われる場合は、手術で全摘出して、病理組織学的検査で診断を確定します。

3.治療

眼科で取り扱う治療(手術・集学的治療等)

眼の中のがん

脈絡膜悪性黒色腫 大きさによっては眼球ごと腫瘍を摘出せざるを得ない場合があります。摘出後は、義眼を作成します。
眼内悪性リンパ腫 硝子体手術を行って眼内を洗ったり、血液内科と連携して化学療法や放射線治療を行ったりします。
網膜芽細胞腫 転移しやすい腫瘍であるため、眼球摘出を選択することが多いです。摘出した後には義眼を挿入します。

眼の外のがん

眼瞼・結膜悪性腫瘍 腫瘍の範囲よりさらに広い範囲を切除して、取り残さないようにします。欠損したまぶたは周りの皮膚や、上下や反対側のまぶたを用いて再建します。
眼窩悪性リンパ腫 診断を目的に生検を行いますが、小さい腫瘍の場合は全摘出することもあります。
涙腺癌 悪性が疑われる、または将来悪性化する可能性が高い腫瘍の場合は、眼の周りの骨を外して腫瘍を摘出します。

基底細胞癌

基底細胞癌

基底細胞癌

腫瘍切除手術+下眼瞼再建手術後

腫瘍切除手術+下眼瞼再建手術後

脂腺癌

脂腺癌

脂腺癌

まぶたの裏側

まぶたの裏側

腫瘍切除手術+上眼瞼再建術後

腫瘍切除手術+上眼瞼再建術後

4.薬物治療

眼科で取り扱う治療(薬物治療)

眼の中のがん

脈絡膜悪性黒色腫 眼球以外に転移が生じた場合は、他科と連携して化学療法や放射線治療を行います。
眼内悪性リンパ腫 当院血液内科と連携して、抗がん剤の局所投与や全身投与を行うこともあります。
網膜芽細胞腫 眼球をできるだけ残すために、局所治療、化学療法、放射線治療などを組み合わせて治療を行います。

眼の外のがん

眼瞼・結膜悪性腫瘍 腫瘍を切除した後、再発や転移があった場合は、化学療法を行うことがあります。また、結膜の悪性腫瘍に対しては、マイトマイシンCなど抗がん剤の点眼薬やインターフェロンの局所注射を行うこともあります。
眼窩悪性リンパ腫 診断を目的に生検を行いますが、治療は当院血液内科と連携して化学療法や放射線療法を行います。

5.放射線治療

眼科で取り扱う治療(放射線療法)

眼科で放射線治療の対象となるものには、悪性リンパ腫、脂腺癌、脈絡膜悪性黒色腫、転移性腫瘍などがあります。血液内科や放射線科と連携して治療方針を決定します。眼球は、角膜や水晶体、結膜、網膜、視神経といった放射線の影響を受けやすい組織で構成されているため、眼球およびその周辺への放射線照射によって、さまざまな有害事象が発生する可能性があります。治療後すぐでは、眼の表面の炎症によって痛みや流涙、目ヤニなどの症状が出ます。治療後しばらく経ってからは、放射線白内障、緑内障、角膜潰瘍、結膜炎などが出てくる可能性があります。また、照射量が多い場合には、放射線網膜症が発症し、視力が低下することもあります。有害事象は、治療から数年経ってから出現するものもあります。

悪性リンパ腫

悪性リンパ腫

放射線治療後

放射線治療後

6.先進医療、臨床研究、治験

各診療科、緩和ケア部門と連携して行います。

先進医療、臨床研究、治験

眼科でおこなっている高度医療、最新の治療、研究等

現在の診断や治療は、現時点で最善と考えられているものが行われています。しかし、これまでの治療成績を省みて本当に最善の方法といえるのか、また新たな診断法、治療法の有用性について、常に検討する必要があります(臨床研究)。
新たに開発された薬剤は、これまでの薬剤と比較してより効き目があるのか(有用性)、重篤な副作用を起こさないか(安全性)、などを評価する必要があります。これらの評価は、基礎実験、動物実験を行って十分に検討されたのち、さらに実際の患者さんに投与して確認を行います(治験)。その結果、国の承認を得られたものが市場に出ることになります。眼部がんに対する治験は現在行っておりません。もし治験を行うことになれば、鹿児島大学倫理委員会による審査を受け、さらに患者さんに十分に説明を行って同意を得られた場合に実施されます。

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