3月23日(木)に、放射線治療装置 ETHOS(イーソス)を用いた鹿児島大学病院における新しい放射線治療について、報道機関向けに説明会を開催しました。
放射線治療装置 ETHOSは、即時適応放射線治療(Adaptive Radiation Therapy)を行うことができる装置で、全世界で2019年から、日本では2022年から治療開始となりました。まだ新しい放射線治療装置で、全世界で100台程度しか設置されておらず、日本国内においては3台しか設置されていない装置です(鹿児島県1号機)。
即時適応放射線治療とは、腫瘍の形状や位置の変化、および周辺臓器の生理的形状変化などを毎回の治療で考慮し最適化する、治療の過程を通して生じる患者さんの反応や変化に合わせ、より効率的に「がん」をねらい撃ちするように調整する、治療アプローチのことです。
放射線治療においては、治療期間中に体重減少や治療の効果による腫瘍の縮小が起きることがあり、それに応じて照射方法などを再度検討することがあり、これを適応放射線治療と呼びます。通常は、この作業に数日を要する場合がありますが、ETHOSでは、それらを加味した調整を治療のたびごとに行い、適切な放射線治療を提供することができるものです。
本院では、1日20件程度の治療を実施しており、全世界で見ても、症例実績においてリードしている状況にあります。そのような状況下で、2022年12月12日にETHOS Therapyによる即時適応放射線治療「100症例目」を達成しました。
説明会では、放射線科の 伊藤宗一朗 先生から症例を用いた説明が行われ、「ETHOSは、がん病巣に照射する際、周囲の正常組織をしっかりと避け、標的には線量を確実に集中させることができ、医師として妥協することなく治療を行うことができる装置と言えます。患者さんの負担を少しでも和らげ、より確実な治療を進めていけるよう、これからも安心・安全な放射線治療を提供していきたいと思います。」と、今後の抱負が述べられました。
当日は、発売元の株式会社バリアンメディカルシステムズ様から動画の提供もあり、非常に有意義な説明会となりました。
鹿児島大学病院は、鹿児島県における医療の「最後の砦」を守るためにも、引き続き一致団結して医療に取り組んでまいります。



豊田 雅彦 副診療放射線技師長