甲状腺・副甲状腺がん

type03

担当診療科
乳腺・甲状腺外科

腫瘍について

腫瘍について詳しくは「がん対策情報センター」でご紹介しています。下記のボタンからリンクします。

1.診療体制

乳腺・甲状腺外科で取り扱っているがん

乳腺・甲状腺外科では甲状腺・副甲状腺に関するすべての甲状腺癌・副甲状腺癌の診断・治療を行っています。

外来診療 当科の外来診療は2名の専任医師で行っていますが、初診日・再診日ともに毎週 月曜日と水曜日です。外来診療は初診・再診ともに予約制とさせていただいております(鹿児島大学病院初診受付:099-275-5168)。ある程度の待ち時間は必要ですが、採血や画像検査(頸部超音波検査やCT)のほとんどは、その日のうちに結果説明まで行っています。
入院治療 手術が必要な場合にはまず手術日を決めて、外来で術前検査(採血、レントゲン、超音波検査やCT、シンチグラムなどの画像検査など)を行った後、基本的に手術2日前に入院していただいております。ほとんどの疾患は術後2~5日程度での自宅退院が可能です。病棟では、専任医師2名を含む数名の主治医団で手術を含む診療を行います。また、放射線科と連携した術後の放射線内照射(アイソトープ治療)や外照射治療、分子標的薬を用いた抗がん剤治療も行っています。

2.診断

乳腺・甲状腺外科における診断体制

甲状腺乳頭癌 甲状腺癌の80%以上を占める乳頭癌の場合、外来での頸部超音波検査(エコー)および吸引針細胞診で確定診断が可能です。確定診断後に、CTやPETなどを行います。
甲状腺濾胞癌 甲状腺濾胞癌は、悪性度の高い広汎浸潤型と低悪性度の微少浸潤型に分類されます。広汎浸潤型濾胞癌の場合は画像診断と細胞診(乳頭癌の除外)により術前診断が可能です。一方、微少浸潤型濾胞癌は術前に良性の濾胞腺腫と鑑別するのがほとんど不可能であるため、濾胞癌と濾胞腺腫をまとめて濾胞性腫瘍として術前診断します。3㎝以上の濾胞性腫瘍については、診断と治療を兼ねた手術を行うことをお勧めしており、手術後の病理診断で8%程度が濾胞癌と診断されています。
甲状腺低分化癌 頸部超音波検査時の吸引針細胞診で診断可能な場合もありますが、術前には乳頭癌や濾胞性腫瘍と診断され手術後の病理検査で低分化癌に診断が変更されることもあります。
甲状腺未分化癌 急速増大や自覚症状(嗄声、痛みなど)が出現し、エコーガイド下針生検で確定診断です。確定診断後は、CTやPETなどの画像検査で癌の広がりを診断します。
甲状腺髄様癌 甲状腺の傍濾胞細胞という特殊な細胞から発生するがんで、画像診断に加えて、血液中の腫瘍マーカーによる診断が有効です。細胞診や針生検で確定診断されます。
甲状腺リンパ腫 多くは橋本病に合併し、頸部超音波検査で検出しやすいがんです。針生検で最終診断を行います。
副甲状腺癌 副甲状腺がんの術前診断も難しい場合があります。副甲状腺疾患の場合は、針細胞診や針生検による播種(穿刺針による腫瘍細胞の散布)が起こるため穿刺は行いません。画像診断や血液検査、シンチグラム等で術前診断を行います。 ただ、摘出後の病理検査で初めてがんと診断される場合もあります。

3.治療

乳腺・甲状腺外科で取り扱う治療(手術・集学的治療等)

甲状腺がん 甲状腺がんのほとんどは手術により治癒可能です。術前の進行度に合わせた手術を行います。当科の最大の特徴は、先進医療である内視鏡下甲状腺悪性腫瘍手術を行っていることです。これは整容性とがんの根治性を両立した最新の手術法です(図参照)。開創手術にしても内視鏡手術でも、質の高いリンパ節郭清を基本理念とした手術を行っています。
また、乳頭癌や濾胞癌、低分化癌などの進行癌については、術後に放射線内照射(アイソトープ治療)まで行っています。 甲状腺髄様癌も手術が基本治療です。髄様癌では放射線内照射は行いませんが、新しい分子標的薬の開発が進んでいます。甲状腺リンパ腫については、手術をしなくても放射線治療もしくは抗がん剤治療で多くの場合は根治可能です。未分化癌は手術(可能であれば)・放射線外照射・分子標的薬を組み合わせた集学的治療を行います。
副甲状腺がん 副甲状腺がんについては、手術が基本治療です。副甲状腺癌の場合、副甲状腺腫瘍として摘出された後の病理検査でがんと診断されることも多く、状況によっては周囲甲状腺やリンパ節の追加切除を行う場合もあります。

4.薬物治療

乳腺・甲状腺外科で取り扱う治療(薬物治療)

甲状腺がんに対する有効な抗がん剤は最近まで存在していませんでしたが、2014年から新しい分子標的薬が使用できるようになり、治療成績が向上しています。遠隔転移を伴うような切除不能の進行再発甲状腺がんについては、放射線治療に加えて、この分子標的薬による腫瘍の縮小化を目指します。

5.放射線治療

乳腺・甲状腺外科で取り扱う治療(放射線療法)

乳頭癌や濾胞癌などの甲状腺分化癌と低分化癌で甲状腺全摘を行った場合は、術後の再発予防として放射線内照射(アイソトープ治療)を行っています。進行度により、入院せずに通院で治療する場合と、2泊3日程度の入院で行う場合があります。未分化癌や甲状腺リンパ腫には放射線外照射を行います。

6.先進医療、臨床研究、治験

腫瘍に伴う痛みや嘔気などの症状に対しては、緩和治療の専門医師や看護師と連携して、患者さんの肉体的・精神的な苦痛を和らげる薬物治療を積極的に導入しています。

先進医療、臨床研究、治験

乳腺・甲状腺外科でおこなっている高度医療、最新の治療、研究等

当科では、先進医療である甲状腺悪性腫瘍手術を積極的に行っています。これは頸部に大きな切開創を置かずに前胸部や腋窩などの服で隠れる部分から手術を行う術式です。内視鏡の拡大視効果を生かした質の高いリンパ節郭清が可能で、高い整容性とがんの根治性を両立した最新の手術法です(図参照)。当科は全国に6施設ある先進医療認定施設のなかのひとつですので、民間の医療保険に付加されてる先進医療特約が適応されます。

内視鏡下甲状腺悪性腫瘍手術

Back to Top