鹿児島大学病院では、4月3日(月)に「令和5年度新規採用者辞令交付式」を行いました。
新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、看護職員以外の職種は代表者に出席いただき、坂本 泰二 病院長から1人ずつ辞令が交付されました。
辞令交付の後、病院長講話があり、坂本病院長から「鹿児島大学病院の一員として、自覚と責任ある行動が求められますが、ひとつひとつの積み重ねは、自信と誇りに繋がります。鹿児島県における医療の『最後の砦』として、一致団結して医療に取り組んでいきましょう。皆さんは仲間であり、鹿児島大学病院の財産です。高度で先進的な医療を提供する鹿児島大学病院で働き、共に成長していきましょう。これからの活躍を期待しています。」と挨拶が述べられました。
鹿児島大学病院は、これからも患者さんの権利を尊重しながら、安心・安全・高度な医療の提供に尽力してまいります。
鹿児島大学病院における新しい放射線治療について、報道機関向けに説明会を開催しました
3月23日(木)に、放射線治療装置 ETHOS(イーソス)を用いた鹿児島大学病院における新しい放射線治療について、報道機関向けに説明会を開催しました。
放射線治療装置 ETHOSは、即時適応放射線治療(Adaptive Radiation Therapy)を行うことができる装置で、全世界で2019年から、日本では2022年から治療開始となりました。まだ新しい放射線治療装置で、全世界で100台程度しか設置されておらず、日本国内においては3台しか設置されていない装置です(鹿児島県1号機)。
即時適応放射線治療とは、腫瘍の形状や位置の変化、および周辺臓器の生理的形状変化などを毎回の治療で考慮し最適化する、治療の過程を通して生じる患者さんの反応や変化に合わせ、より効率的に「がん」をねらい撃ちするように調整する、治療アプローチのことです。
放射線治療においては、治療期間中に体重減少や治療の効果による腫瘍の縮小が起きることがあり、それに応じて照射方法などを再度検討することがあり、これを適応放射線治療と呼びます。通常は、この作業に数日を要する場合がありますが、ETHOSでは、それらを加味した調整を治療のたびごとに行い、適切な放射線治療を提供することができるものです。
本院では、1日20件程度の治療を実施しており、全世界で見ても、症例実績においてリードしている状況にあります。そのような状況下で、2022年12月12日にETHOS Therapyによる即時適応放射線治療「100症例目」を達成しました。
説明会では、放射線科の 伊藤宗一朗 先生から症例を用いた説明が行われ、「ETHOSは、がん病巣に照射する際、周囲の正常組織をしっかりと避け、標的には線量を確実に集中させることができ、医師として妥協することなく治療を行うことができる装置と言えます。患者さんの負担を少しでも和らげ、より確実な治療を進めていけるよう、これからも安心・安全な放射線治療を提供していきたいと思います。」と、今後の抱負が述べられました。
当日は、発売元の株式会社バリアンメディカルシステムズ様から動画の提供もあり、非常に有意義な説明会となりました。
鹿児島大学病院は、鹿児島県における医療の「最後の砦」を守るためにも、引き続き一致団結して医療に取り組んでまいります。
令和4年度 鹿児島大学病院 看護師特定行為研修センター 看護師特定行為研修 修了式について
鹿児島大学病院看護師特定行為研修センターで、3月16日(木)に、令和4年度看護師特定行為研修修了式が行われました。
同センターは、平成28年8月に九州の国立大学で初めて、厚生労働省が定める看護師特定行為研修の「指定研修機関」として厚生労働省から指定を受けました。本院の看護師特定行為研修センターで所定の研修を修了した看護師は、医師から出された手順書に示された病状の範囲内で、特定行為(医行為)を実施することができるようになります。
今年度は、第7期生17名の看護師が研修を修了し、現在までに延べ80名を超える修了生を輩出しました。
修了式では、坂本泰二病院長、垣花泰之看護師特定行為研修センター長、鹿児島県看護協会の八田冷子会長からお祝いの言葉が述べられ、修了生からは、この研修により看護師としての質の向上ができたことへの謝辞や地域医療への貢献など、今後の抱負が述べられました。
鹿児島大学病院WEBサーバーのメンテナンスについて(お知らせ)
以下の日時において、病院WEBサーバーのメンテナンスを実施します。
なお、メンテナンスの時間帯において、10~30分程度、鹿児島大学病院のホームページが
閲覧不能となりますのでお知らせします。
日時 : 令和5年3月22日(水) AM 6:00 ~ AM 8:00
被ばく傷病者対応訓練を実施しました
2月11日(土)に、川内原子力発電所の放射線管理区域内で発生した汚染を伴う負傷者に対する被ばく傷病者対応訓練を実施し、約40名の教職員が参加しました。
当日は「午前7時に大規模地震が発生。川内原子力発電所の放射線管理区域内で、所員2名がパトロール中に負傷。2名とも放射性物質による汚染があり、左下腿創傷の1名は済生会川内病院へ搬送、右上肢解放骨折の1名は鹿児島大学病院へ救急車で搬送。」との想定で訓練が行われました。
この訓練は、平成29年11月1日付けで、鹿児島県から「原子力災害拠点病院」の指定を受けたことにより、関係機関と協力しながら本院で実施しているもので、被ばく傷病者の汚染部分の除染と治療の訓練を行いました。
また、鹿児島県から初めて「ホールボディカウンタ等搭載車(放射能測定車)」の参加があり、設置場所や病院敷地内の走行経路の確認も併せて行われました。
今回の訓練では、オンラインにより、鹿児島県からの要請を受けた長崎大学高度被ばく医療支援センターの専門家の協力を受けるなど、連絡体制や搬送経路の再確認も行い、関係機関の連携強化を図ることができました。
今後、訓練結果を検証し、原子力災害医療対応マニュアル等の見直しを行う予定です。
ロボット手術センター開設を記念し市民公開講座が開催されました
1月21日に郡元キャンパスの稲盛会館で、ロボット手術センターの開設を記念した市民公開講座が開催され、100名を超える一般市民の方々にご参加いただきました。
開会挨拶をかねて、ロボット手術センター長の 小林裕明 産科婦人科教授から、ロボット手術の特徴について「3次元カメラを通して医師が遠隔で操作するロボット支援手術では、手ブレがない上に、自分の手のように直感的かつ繊細に鉗子を動かすことができる。」等と動画を使って説明が行われました。
佐野学長からの挨拶の後、ロボット手術を担当する5診療科(泌尿器科・榎田英樹 教授、消化器外科・大塚隆生 教授、小児外科・家入里志 教授、呼吸器外科・上田和弘 特任准教授、産科婦人科・戸上真一 准教授)から各診療科におけるロボット手術の現状説明が行われ、消化器外科の大塚教授は「まだ発展途上だが、将来ロボット手術は一般的な治療法になると思われる。」等と述べられました。
引き続き、ロボット手術センター副センター長の榎田教授から、センター設立の経緯等について説明が行われ、最後に、参加者から事前に受け付けた質問に各先生方が答えるパネルディスカッションが開かれました。
閉会の挨拶では、坂本病院長が参加者の笑いを取りながら、しっかり当院のレベルや良さをアピールされ、患者リクルートにとっても、非常に有意義な公開講座となりました。
鹿児島大学病院は、鹿児島県における医療の「最後の砦」を守るためにも、引き続き一致団結して医療に取り組んでまいります。
婦人科で世界初の「ヒノトリ」手術を行いました!
鹿児島大学病院では、2022年12月2日以降、国産初の手術支援ロボット「ヒノトリ」を用いた世界初の婦人科手術が種々行われ、1月12日に記者発表いたしました(図1)。
本院では、2017年から米国製の手術支援ロボット「ダヴィンチ」が稼働していましたが、2022年11月に、「ヒノトリ」を新たに導入し、12月から婦人科領域への保険適用が開始されたことに伴い、1)12月2日に世界初の婦人科手術、2)12月26日に世界初のセンチネルリンパ節生検を併用した子宮体がん手術、3)2023年1月18日に世界初の仙骨腟固定術(婦人科領域)を行いました。
3つの手術を執刀した小林裕明 産科婦人科教授は、婦人科にヒノトリ手術を安全に普及させるための初代指導者としてヒノトリ製造会社のメディカロイド社から依頼を受け、共同研究の一環として今回、当院にヒノトリが導入されました。2022年10月19日に世界第1号のヒノトリ婦人科術者認定を受け、その後12月には新たにヒノトリ手術を始める施設からの婦人科医師が訪れる世界初の見学手術認定執刀者となりました(図2)。
2022年12月2日に世界初のヒノトリ婦人科手術(同日、神戸大学も初症例)を無事に終えた後、12月26日に子宮体がん手術に世界で初めてヒノトリで併用したセンチネルリンパ節生検は、当院産科婦人科がかねてより取り組んできた臨床試験です。(図3左)のように子宮体がん病巣から最初にリンパ節転移をするリンパ節を“センチネル(見張り)リンパ節”と言いますが、これを手術中に見つけて摘出(生検)し、顕微鏡検査で転移があれば通常通り骨盤リンパ節を全部摘出(郭清)しますが、転移がなければ一切、他のリンパ節を取りません。郭清すると2割前後の患者さんに下肢リンパ浮腫(図3右)が生じ、これは女性患者さんにとっては大変つらい合併症となります。実際、ロボット手術が適用される比較的初期の体がん患者さんはほとんどリンパ節転移はありませんので、センチネルリンパ節生検で郭清を回避できると、下肢のリンパ浮腫はほぼ生じません。小林教授は国内で初めてこのセンチネルリンパ節生検をロボット手術に導入した婦人科医で、県外からも多くの患者さんがこの臨床試験を希望して来院されます。
2023年1月18日には骨盤臓器脱に対して、婦人科領域では世界初のヒノトリによる仙骨腟固定術が行われました。骨盤臓器脱とは骨盤内臓器を支える筋や腱、靭帯が加齢や出産を契機に弱くなり、腟内に骨盤臓器(子宮、膀胱、直腸など)が下降、脱出する疾患です(図4上段左)。従来の仙骨腟固定術は子宮を部分摘出後、短冊状のメッシュを残存させた子宮頸部に縫合し、対側を仙骨前面に固定して骨盤臓器が下垂しないように吊り上げる手術です(図4上段右)。しかし人工物であるメッシュを使用することによるメッシュのびらん、腟内への露出、それらに起因する感染や腟の痛みなどの合併症がしばしば問題となります。当院産科婦人科では人工メッシュの代わりに子宮を支持している患者さん自身の組織(円靱帯:図4下段左)を加工して用いる仙骨腟固定術の臨床試験を行っており、良好な治療成績を得ています(図4下段右)。この自家組織を用いた感染トラブルの少ない新たなロボット仙骨腟固定術式は世界に類を見ないもので、通常はメッシュが使えない糖尿病など感染を起こしやすい患者さんも、この臨床試験への参加を希望して来院されます。
産科婦人科学教室は現在、ダヴィンチの資格認定医を15名、hinotoriの資格認定医を5名輩出する国内有数のロボット手術のメッカで、他大学からも多くの国内留学者、手術見学者が訪れています。小林教授は「私たちは保険適用外ではありますが、子宮頸がん患者に将来の妊娠を可能にする妊孕性温存手術や進行子宮体がんに対する大きな手術を小さな傷跡で済ませるロボット手術にも取り組んでいます。今回の2台目ロボット導入に伴い、当病院ではロボット手術センターを他診療科とともに設立しました。これにより今まで以上に、県民の皆様を“体に優しい安全なロボット手術”にご案内するだけでなく、高度かつ先進的なロボット手術も提供できるように努力してまいります。」と述べました。
鹿児島ユナイテッドFCから小児病棟へ クリスマスプレゼントの贈呈がありました
12月22日に、日本プロサッカーリーグ「鹿児島ユナイテッドFC」の 田上 裕(たのうえ ゆたか)応援リーダーから、小児病棟に入院中の子供たちへクリスマスプレゼントの贈呈がありました。
コロナ禍のため、病室で子供たち1人1人へ直接手渡すことは叶いませんでしたが、小児科の 岡本康裕 教授らが代表して受け取り、小児病棟のスタッフから子供たちへ手渡しました。
クリスマスプレゼントは、ユナイテッドFCの選手たちが実際に着用しているユニフォームのほかDVDや文具類等で、今回で7回目の贈呈になります。
岡本教授からお礼が述べられた後、「来年以降もクリスマスプレゼントの贈呈を続けたい。来シーズンに向け、チーム・スタッフ一同、J2昇格へ向けて準備してまいりますので、ご声援よろしくお願いします。」と、田上応援リーダーから力強いメッセージをいただきました。
(写真左から) 岡本 康裕 小児科教授、田代 由美子 小児病棟看護師長、
稲葉 泰洋 小児病棟医長、田上 裕 鹿児島ユナイテッドFC応援リーダー
※ 写真撮影時のみ、マスクを外しました。
(一財)親和会より小児玩具一式が贈呈されました
一般財団法人 親和会(島森 俊光 理事長)より小児玩具一式(小児用電子ピアノやプラレール、知育教材等)の寄附の申し出があり、12月21日に寄附受納式が行われました。
現在に至るまで、親和会から3年間で車椅子を29台寄贈いただき、患者さんが不自由することなく利用しています。また、小児病棟のプレイルームに令和元年度は絵本、2年度は玩具、3年度はDVD等を寄贈いただいており、入院中の小児患者さんに大変喜ばれています。
寄附受納式では、(一財)親和会の 島森 俊光 理事長 から 坂本 泰二 病院長へ贈呈が行われ、島森理事長から「医療の最前線で、先の見えない新型コロナウイルスの治療・看護にご尽力されている医療従事者の方々に、深く敬意を表します。患者さんやご家族の方々が安心して大学病院を利用できるよう、また、クリスマスも間近で入院している子供たちに少しでも楽しい時間を過ごしていただけるよう、これからも病院環境のサービス提供に努めてまいります。」と挨拶がありました。
引き続き、坂本病院長から島森理事長へ、「本院へのご理解とご協力に、深く感謝申し上げます。医療関係者以外の方から、このように寄贈していただけることは非常にありがたく、身の引き締まる思いです。大切に使わせていただきます。そして、このご厚意を生かしながら、引き続き健全な病院運営に努めてまいります。」と謝辞が述べられました。
「ロボット手術センター」を設置しました
鹿児島大学病院では、12月1日より手術支援ロボットを用いた「ロボット手術センター」が設置され、12月20日に記者発表を開催しました。
手術支援ロボットは、患者さんの体に開けた小さな穴から手術器具を入れ、執刀医が3次元画像を見ながらコントローラーで遠隔操作する腹腔鏡手術の支援システムで、出血量が少なく、術後の回復が早いなどの特徴があります。
本院では、2017年から米国製の手術支援ロボット「ダヴィンチ」が稼働していましたが、本年11月に、国産初の手術支援ロボット「ヒノトリ」を新たに導入し、職種の垣根を越えた技術の共有や連携の強化を図り、患者さんの体に優しい安全な手術を目指しています。
既に、11月22日には、泌尿器科で九州としては2施設目の前立腺全摘出術が行われ、12月2日には、産科婦人科で10月に世界第1号のhinotori婦人科認定術者となった 小林裕明 産科婦人科教授が、世界初の子宮全摘出術を執刀しました。
小林センター長からは「鹿児島県は多くの離島を抱えており、ロボットを使った遠隔手術の研究も、センターの重要な役割と考えています。」と挨拶があり、その後、各報道機関からのインタビュー取材を受けました。
今回設置されたセンターは、産科婦人科、泌尿器科、小児外科、消化器外科、呼吸器外科の5診療科で構成され、勉強会などを通して連携を図るとともに、今後は保険適用手術がある耳鼻咽喉科や心臓血管外科の参加も見込んでいます。
鹿児島大学病院は、鹿児島県における医療の「最後の砦」を守るためにも、引き続き一致団結して医療に取り組んでまいります。