診療科案内(医科診療科)

心臓血管外科

心臓血管外科の紹介

私達の仕事は心臓と大小の血管の病気のなかで、内科的には治療困難な病気を手術によって治療することです。日本心臓血管外科学会の基幹施設として、ここ鹿児島で先天性心疾患から成人心疾患(狭心症、弁膜症、不整脈など)、さらに大動脈瘤や末梢血管の病気に至るまで、心臓血管内科や小児科との連携を密にし、常に新しい技術、知識を取り入れつつ、それぞれの患者さんのニーズに応えられるように、日々切磋琢磨し ております。

医師紹介

  氏名 職名 専門分野
部門科長 曽我 欣治 教授 心臓血管外科、虚血性心疾患、弁膜症
外来医長 松本 和久 講師 心臓血管外科、虚血性心疾患、弁膜症
スタッフ 今釜 逸美 助教 末梢血管外科、静脈疾患
スタッフ 豊川 建二 助教 心臓血管外科、大動脈瘤治療、ステントグラフト手術
医局長 向原 公介 助教 心臓血管外科、虚血性心疾患、弁膜症
病棟医長 上田 英昭 助教 心臓血管外科、虚血性心疾患、弁膜症
スタッフ 川津 祥和 助教 心臓血管外科、ステントグラフト手術
スタッフ 川井田啓介 助教 心臓血管外科、末梢血管外科
スタッフ 立岡 修治 助教 心臓血管外科、虚血性心疾患、弁膜症
スタッフ 藏元 慎也 医員 心臓血管外科
スタッフ 白桃 雄太 医員 心臓血管外科
スタッフ 寺園 和哉 医員 心臓血管外科
スタッフ 永冨 脩二 医員 心臓血管外科
スタッフ 植村 翼 医員 心臓血管外科

診療曜日・時間表

※専門外来は、初診・再診どちらも曜日指定があります。

初診診療曜日 月:大血管
火:心臓、大血管、末梢血管
初診の方は、紹介医により医務課外来予約担当 (電話 099-275-5168、FAX 099-275-6698) にて予約をとり、紹介医からの紹介状をご用意下さい。
なお、予約(紹介状)のない場合でも、受付を行います。
・心臓部門:先天性心疾患、後天性心疾患(虚血性心疾患、弁膜症、他)
・大血管部門:大動脈瘤、大動脈解離等、ステントグラフト
・末梢血管部門:閉塞性動脈硬化症、静脈瘤、その他
※現在、新型コロナウイルス感染防止のため、予約・紹介状による診療のみ行っております。
再診診療曜日 月:大血管
火:心臓、大血管、末梢血管
木:心臓(予約制)
受付時間 8:30~11:00
予約の方は、予約10分前には診療部門科受付へおいでください。
診療時間 8:30~17:00
休診日 土曜日・日曜日・祝祭日・年末年始(12月29日~1月3日)
※診療部門科の都合により、診療日が変更になることもあります。

実績

私達の目標は、難易度の高い心臓と血管の手術をいかに安全・確実に行い、患者さんへの身体的負担を軽くし、術後の社会復帰をスムーズに促すかです。 また心臓血管外科の領域では病気が急に発症し、生命の危機が突然訪れることも少なくありません。このような患者さんに対する緊急手術も、県内の各病院との横の連携や手術室、ICUスタッフの協力で、大学病院としては異例の迅速さで、夜間・休日であっても行える体制を整えております。

診療科で扱った主な手術や処置の件数 過去5年(平成29年度~令和3年度)

虚血性心疾患(冠動脈バイパス術を含む) 137例
弁膜症手術 329例
複合手術(弁膜症とバイパスなど) 123例
先天性心疾患 391例
胸部大動脈疾患 263例
腹部大動脈瘤 339例
末梢血管・静脈疾患 290例
その他 42例

先天性心疾患

小児の心臓病の手術は2011年から本格的に始まりました。手術対象となる年齢は新生児から成人までと幅広く、年間の症例数は100例強を数えます。現在は、鹿児島市立病院と連携の上、手術を行っています。

小児科は鹿児島大学病院だけでなく、鹿児島市立病院、鹿児島生協病院、鹿児島医療センター、鹿児島市医師会病院など多数の病院の小児科、新生児科との間にしっかりとした協力関係ができ、様々な疾患に対応できるようになりました。近年増加傾向にある成人先天性心疾患も、当院心臓血管内科に専門外来が新設され、連携しながら診察を行っています。

先天性心疾患の手術では外科のみならず小児科、新生児科、心臓血管内科、麻酔科、ICU、など多くの部署と様々な職種のスタッフが一つのチームとして機能することが不可欠ですが、現在私達のチームはさらなる成長とパワーアップを目指して頑張っています。

虚血性心疾患

狭心症や心筋梗塞など、冠動脈の狭窄・閉塞により生じる病気で、主として行われる手術は冠動脈バイパス手術です。時に緊急手術になることもありますが、循環器内科や集中治療室と協力し合っていつでも対応できるような体制をとっています。

最近では透析や重症糖尿病を持った患者さん、あるいは心筋梗塞後で心臓の働きが極端に落ちた患者さんなどで冠動脈バイパス手術が増えております。このような重症例においては多くの診療科の専門家がそろっている大学病院は患者さんにとっての大きな利点と言えます。

心筋梗塞後に心臓の動きが極端に落ちたため、僧帽弁がゆがんで逆流した場合には、バイパスに加えて僧帽弁に対する手術を、左室が拡大しすぎている場合には、適応があればバイパスに加えて左室形成術を同時に行い、予後の改善を得ています。

弁膜疾患

昔はリウマチ性の病気が多かったのですが、現在は内容的にすっかり様変わりしています。つまり、動脈硬化性や先天性2尖弁による大動脈弁狭窄症と変性疾患などによる僧帽弁閉鎖不全症という、2つのグループの占める割合が非常に大きくなっています。

それぞれの特徴として、1.大動脈弁狭窄症では高齢者が多く、治療には生体弁を用いた人工弁置換術が行われるということ、2.僧帽弁閉鎖不全では比較的若年者が多く、治療には自分の弁を修理する僧帽弁形成術が多く行われるということです。

僧帽弁形成術は以前はあまり盛んではありませんでしたが、術後の心機能や遠隔期の生存率などの検討から優れた効果が期待できるとして世界的に多く行われるようになりました。当科でも変性疾患による僧帽弁閉鎖不全症に対しては、ほとんど全ての症例で形成術を行い、良好な結果を得ています。

また、2014年より「MICS(ミックス/低侵襲心臓手術)」も導入しました。約7~8cmの切開と鉗子や内視鏡を挿入する小さな穴を2~3箇所開けて行います。手術跡が小さく、出血も少ないため手術後の回復が早いです。右乳房の少し下を切り、肋骨の間を広げて骨を切らない手術もあり、この場合、女性は乳房に隠れてほとんど傷は目立ちません。症例により、右の脇の下、または胸の真ん中の右寄りを小さく切り、肋軟骨を2本切ったりすることもあります。ただし動脈硬化の激しい場合は対象外になる等、条件があります。

その他、大動脈基部拡大を伴う大動脈弁閉鎖不全に対しては、適応があれば自己弁温存大動脈基部置換、大動脈弁形成を行っています。

2018年4月より、心臓血管内科と連携してTAVR(経カテーテル的大動脈弁置換術)を導入しております。重症大動脈弁狭窄症の患者さんが対象となり、各種検査の後、適した術式をご提案しております。

大動脈瘤・大動脈解離

大動脈瘤破裂や急性大動脈解離は、一刻も早く治療を行わないと死に至る重篤な病気です。24時間、365日対応できるように手術・治療体制を整えています。

胸部および腹部の大動脈治療には、人工血管置換術を第1選択としています。胸部大動脈瘤では、人工心肺という機械を使用して体に血液を流しながら、心臓や 脳などを十分に保護して手術を進めます。

高齢化が進む中、心臓、呼吸器、腎臓や脳などに複数の病気を持っている患者さんが増えています。人工血管置換術の際に体が受けるダメージに耐えられず、術後の生活の質が低下してしまうこともあるため、体にかかる負担が少なくなるような治療=ステントグラフト内挿術な どの血管内治療も積極的に取り入れています。

複数の病気を持ち(例えば透析など)心臓血管手術が必要な患者さんに対しては、他の診療科の協力を得て安全に治療が行えるようにしています。その他、外傷に伴う大血管の損傷に対する治療や、感染性大動脈瘤に対するホモグラフト(凍結同種大動脈)の使用など、治療が困難な症例に対しても積極的に対応しています。

末梢血管・静脈疾患

足の血管が狭くなったり閉塞したりすることによって、歩くと足が痛くなり、さらに悪化すると壊死してしまう病気があります。患者さんの病状に応じて、血管を 風船で膨らませる治療や、人工血管あるいは自分の静脈を用いて、狭くなったところを迂回して足の先に血液を流すバイパス手術を行っています。

比較的太い血管は当然のことながら、足先に近い細い血管に対しても積極的に治療を行い、壊死に陥った場合でも、なるべく足を切断しなくて済むようにし、患者さんの生活の質が低下しないように努力しています。

脚の静脈に逆流が起こり、血管(静脈)が怒張し、足のむくみ、だるさ、難治性の皮膚炎などを起こす病気があります(下肢静脈瘤)。当科では体への負担が少ない手術を行い、2泊3日で治療が終わるようにしています。

場所

3階フロア 心臓血管外科

※正面玄関は午前6時から午後6時まで(土・日・祝祭日は除く)

よくある質問

  心臓の手術というのは心臓を止めてするそうですが、大丈夫なのですか?

心臓は全身への血液のポンプです。このポンプを止めて修復する時には代わりに血液を送るために人工心肺という機械を用います。身体から戻ってくる血液をチューブで誘導し肺の代わりに血液に酸素を与えてから機械のポンプで全身に送ります。このシステムを体外循環といいます。また、心臓にも酸素が必要です。停止している心臓の酸素は少なくてすむのですが、冷却したり冠動脈から薬液を注入するなどして心筋を保護します。このような処置にて安全に手術が行われます。心臓を止めなくても手術できる事があります。当科では心臓のバイパス手術は90%以上が心臓を止めずに行っています。詳細は遠慮なくお尋ねください。

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