令和6年能登半島地震における被災地の医療支援のため、日本医師会より医療支援の要請があり、日本医師会災害医療チーム(JAMT)※1として、本院から医師2名を1月29〜2月1日の日程で派遣しました。
本院からの医師2名は、鹿児島市医師会病院スタッフ(看護師2名、業務調整員1名)とともに、石川県輪島市門前地域での本部運営および避難所巡回診療、発熱外来等の活動を行いました。本部運営では、輪島市門前総合支所の役所の方々や保健師の方、JMAT以外に支援で入っている災害派遣医療チーム(DMAT)や災害時感染制御支援チーム(DICT)などの他の医療チームとの情報共有や業務連携を行いました。また、地域の開業医の業務軽減のため、発熱患者を診察する発熱外来の運用/診察や、約30箇所もある一次避難所において、医療ニーズがある方への訪問診療等を行いました。門前地域は輪島市近郊で、被害も大きく、交通アクセスもスムーズではない地域であり、まだまだ多くの方が一次避難所の厳しい環境で身を寄せて避難をされておりました。避難生活も長期化することが予想され、急性期の疾患だけでなく、今後高齢者施設での褥瘡や密集空間での感染症の蔓延といった新たな問題が懸念されます。医療ニーズは経時的に変化すると思いますが、継続的な支援が必要になってくると思います。
一日も早い復旧・復興をJMAT隊、鹿児島大学病院職員一同お祈り申し上げます。
<JMAT派遣医師のコメント>
政所 祐太郎 医師(救急・集中治療部)
1ヶ月ほど経過した段階での被災地入りでしたが、まだまだやるべきことはたくさん残っているな、というのが第一印象でした。JMATは、地域の開業医や保健師、行政で医療が完結できるようなところまで医療支援を続けることが目的ですので、本当に多くの方々とコミュニケーションをとって支援を行いました。短期間の活動で目に見える効果があったわけではないですが、鹿児島から送り出して頂いた多くの方の気持ちを込めて精一杯支援を行いました。我々の活動報告により、鹿児島から被災地へさらに支援の輪が広がって欲しいと思います。
中村 壮史 医師(救急・集中治療部)
被災された方々は厳しい環境の中で長期間生活されており、JMATとして数日間ではありましたが、医療面で少しでも役に立てるよう支援活動を行いました。被災地生活における問題点、住民の方や他職種で支援されている方との関係性づくりは、実際に現地で活動してみて初めて分かる部分も多くありました。早期の復興のためには、意見を共有しながら被災者及び支援者が一丸となり同じ方向を向いて進んでいくことが大切だと感じました。これからも支援活動は続きますが、今回の経験を伝えることで被災地へより多くの支援の意識が生まれることを願っています。
※1 JMAT(日本医師会災害医療チーム:Japan Medical Association Team)
被災者の生命及び健康を守り、被災地の公衆衛生を回復し、地域医療の再生を支援することを目的とする災害医療チーム。
(写真①)市役所支所関係者らとのミーティング
(写真②)他県JMATやDICTとのミーティング
(写真③)避難所での医師による診察
●関連リンク (鹿児島大学病院からのお知らせ)
令和6年能登半島地震に係る日本医師会災害医療チーム(JMAT)医師を被災地へ派遣しました