鹿児島大学病院からのお知らせ

令和6年能登半島地震に係る日本医師会災害医療チーム(JMAT)活動報告

 令和6年能登半島地震における被災地の医療支援のため、日本医師会より医療支援の要請があり、日本医師会災害医療チーム(JMAT)※1として、本院から医師1名を2月24〜2月27日の日程で派遣しました。
 本院からの医師1名は、社会医療法人聖医会サザン・リージョン病院スタッフ(医師1名、看護師2名、業務調整員1名)とともに、JMAT金沢以南調整支部に所属し、金沢市内と金沢市の南にある白山市の避難所巡回診療の活動を行いました。
 金沢市内を担当した際は、金沢市保健所での保健師とのミーティングの後、二次避難所である金沢市内のホテルを巡回しました。被災者の方のお部屋を訪問し、血圧などの健康チェックを行い、医療機関受診の必要性やJMATや保健所での今後のフォローについて検討しました。
 白山市を担当した際は、白山連峰の麓にある保健所でミーティングを行った後、学生が集団避難されている自然の家や避難者のいる山荘を巡回しました。白山市には静岡の保健所チームが派遣されており、必要に応じて、静岡保健所チームと一緒に巡回し、情報共有を行いました。発熱患者にはインフルエンザチェック等を行い、家族単位で被災されている方の健康観察や内服薬チェックを保健所チームと行いました。
 急性期の医療ニーズは減ってきている印象ですが、避難生活はまだまだ続くことが予想され、保健所を中心とした保健福祉的な活動の必要性はさらに高まっていると感じました。

<JMAT派遣医師のコメント>
下野 謙慎 医師(救急・集中治療部)
今回の派遣で鹿児島からのJMAT派遣は一旦、終了となります。金沢市以南地域に関しては、病院は機能しており、避難者も緊急での医療介入の必要性は少なくなっている印象でした。しかし、今後、被災された方の避難生活が続くことが予想される中で、もっと出来ることはなかったかと後ろ髪を引かれる思いで避難所を後にしました。この気持ちを忘れることなく、被災地への想いを繋いで行きたいと思います。

※1 JMAT(日本医師会災害医療チーム Japan Medical Association Team )
被災者の生命及び健康を守り、被災地の公衆衛生を回復し、地域医療の再生を支援することを目的とした医療支援チーム

(写真①)石川県医師会災害対策本部にて
(写真②)白山市の山荘の前にて

●関連リンク (鹿児島大学病院からのお知らせ)
令和6年能登半島地震に係る日本医師会災害医療チーム(JMAT)医師を被災地へ派遣しました

鹿児島大学病院 外来診療棟・病棟(A棟)竣工記念式典・祝賀会を挙行しました

 鹿児島大学病院では、「21世紀に輝くヒューマントータルケア病院」を目指し、平成17年度から病院再開発計画に着手してまいりました。
 このたび、令和2年3月より着工した外来診療棟・病棟(A棟)が令和6年1月に竣工したことを記念して、3月9日(土)に竣工記念式典・祝賀会を挙行しました。
 同棟は、鉄骨鉄筋コンクリート造 免震構造の地下1階・地上8階建てで、本院の敷地のほぼ中央に位置し、手術部のある中央診療棟や救急集中治療棟、病棟 (B棟・C棟)等との連携を図り、病院機能を強化する役割を担います。
 記念式典は、佐野 輝学長の挨拶により開会し、ご来賓の方より祝辞を賜った後、坂本 泰二病院長より再開発概要の報告と謝辞が述べられました。続いて、テープカットが行われ、出席者約120名が新棟の完成を祝いました。
 式典後には、同棟の施設見学が行われ、特色である重症ユニットHCU(高度治療室)や一般内科・外科外来などを実際にご覧いただきました。
 祝賀会は、SHIROYAMA HOTEL kagoshima(城山ホテル鹿児島)に会場を移して行われ、病院長挨拶、来賓祝辞の後、田頭 吉一鹿児島大学財務・施設担当理事の乾杯で始まり、和やかな雰囲気に包まれる中、佐野学長の謝辞にて閉会となりました。
 鹿児島大学病院は、外来診療棟・病棟(A棟)竣工を新たなスタートとし、次の50年へ向けて、使命と情熱を持って、信頼され安心して受診いただける病院を目指して参ります。

(写真①)学長挨拶
(写真②)病院長挨拶
(写真③)竣工記念動画放映時の会場の様子
(写真④)テープカット
(写真⑤)さっつん(鹿児島大学マスコットキャラクター)
(写真⑥)外来診療棟・病棟(A棟)の機能紹介
(写真⑦)施設見学

令和5年度 鹿児島大学病院 看護師特定行為研修センター 看護師特定行為研修 修了式を行いました

 3月8日(金)、令和5年度 鹿児島大学病院 看護師特定行為研修センター 看護師特定行為研修 修了式を行いました。
 同センターは、平成28年8月に九州の国立大学で初めて、厚生労働省が定める看護師特定行為研修の「指定研修機関」として厚生労働省から指定を受けており、所定の研修を修了した看護師は、医師から出された手順書に示された病状の範囲内で、特定行為(医行為)行うことが出来ます。
 今年度は、第8期生として12名の看護師が研修を修了しました。
 修了式では、坂本 泰二病院長より研修生へ修了証書が授与された後、看護師特定行為研修センター 垣花  泰之センター長、鹿児島県看護協会 八田 冷子会長よりお祝いの言葉が贈られました。続いて、修了生を代表して、鹿児島徳洲会病院 中山 史織さんより謝辞が述べられました。

(写真①)修了証書授与
(写真②)坂本病院長式辞
(写真③)修了生代表謝辞
(写真④)出席者による記念撮影

中学生の訪問学習受入を実施しました

 3月5日、鹿児島市立鹿児島玉龍中学校の1年生5名が訪問学習のため来院し、消化器内科にて受け入れを行いました。
 同中学校は総合的な学習の時間の一環として校外学習活動を実施しており、本院では、「健康で安全な街づくり」のテーマに基づき、病院職員へのインタビューを目的とした訪問学習が行われました。
 当日は、消化器内科 馬渡 誠一 医局長へ「患者さんの安全を守るために心がけていること」や「他の部署との連携はどのように行っているか」などの質問があり、時折、笑顔を交えながらも、真剣にメモを取る姿が印象的でした。

(写真)インタビューを行う中学生と馬渡医局長の様子

鹿児島キワニスクラブ様よりキワニスドールを寄贈いただきました

 鹿児島キワニスクラブ様より本院小児科へキワニスドール寄贈のお申し出をいただき、3月4日、贈呈式を行いました。
 キワニスクラブは、子どもたちのための奉仕活動に力を入れている民間の三大国際奉仕団体の1つです。
 今回、寄贈いただいたキワニスドールは、木綿生地にポリエステル綿を詰めた身長約40cmの無地の人形です。小児科の医師が人形に内臓の絵を描いて治療の説明をする等、恐怖心を取り除きながら診療・治療を進める際に使用します。
 贈呈式には、鹿児島キワニスクラブ 堂岡敏彦 会長、山中憲幸 副会長、小西正則 様にご出席いただき、堂岡会長の挨拶の後、キワニスドール30体を寄贈いただきました。
 引き続き、坂本病院長より御礼の言葉が述べられ、感謝と敬意を表し、鹿児島キワニスクラブ様へ感謝状が贈られました。

(写真①)坂本病院長(左)と堂岡会長(右)
(写真②)寄贈いただいたキワニスドール
(写真③)左より 前列:坂本病院長、堂岡会長、岡本小児科部門科長
後列:川村小児科病棟医長、山中副会長、小西様、田代小児科看護師長

令和5年度第2回桜ヶ丘地区消防訓練を実施しました

 2月29日に令和5年度第2回桜ヶ丘地区消防訓練を実施しました。
 この訓練は、火災発生時の防火体制の確立を目的に、本院を含む鹿児島大学桜ヶ丘キャンパスの教職員全体を対象に毎年行われているものです。
 今回は、火災発生場所を明らかにせず実施するブラインド訓練として、非常放送による状況の把握から通報、初期消火、一時避難、避難誘導、火災対策本部への状況報告まで、教職員が一連の手順を確認しながら、連携して訓練に臨みました。
 訓練実施後には、指導いただいた鹿児島市消防局脇田分遣隊より講評があり、火災発生時における役割や避難場所について、助言をいただきました。
 今後も本院では患者さんの安全・安心の確保のため、職員の防火・防災の意識向上および防火体制の強化に努めて参ります。

(写真①)模擬患者を搬送する様子
(写真②)患者(乳児)避難の訓練を行う看護師
(写真③)火災対策本部において情報収集を行う様子

看護部職員が救命措置を行い、感謝状を授与されました

 本院看護部所属の職員2名が鹿児島市消防局より救急功労者として表彰され、感謝状を授与されました。授与を受けた職員は、看護部 地域医療連携センター所属の荒田 友紀さん、救急病棟所属の有川 夏美さんです。贈呈式は1月24日、消防局でありました。
 令和5年10月、有川さんが鹿児島市内を友人と車で走行していたところ、歩道で倒れている男性を発見し、すぐに車を降りて声掛けを行いました。その後、通りかかった荒田さんと連携して、心臓マッサージなどの救命措置や119番通報を実施しました。通報から5分程経過した後に、救急車が到着し、男性は救急隊により搬送されました。一時は意識を失った男性でしたが、無事に回復され、社会復帰を果たされたそうです。
 有川さんは、「本院でBLS(一時救命処置)研修を受けて間もない時だったので、何をすべきか手順や注意事項を思い出しながら、処置を行うことが出来た。現在、救急病棟に所属しているので、日頃から迅速かつ適切な看護を行えるよう努力していきたい。」と話されました。

(写真①)感謝状を授与された有川さん
(写真②)鹿児島市消防局より贈られた感謝状

令和6年能登半島地震に係る日本医師会災害医療チーム(JMAT)医師を被災地へ派遣しました

 令和6年能登半島地震被害に伴い、鹿児島県医師会より協力要請を受け、社会医療法人聖医会サザン・リージョン病院が編成する日本医師会災害医療チームJMAT ※1の一員として、本院より医師1名を派遣しました。
 本院職員を含むJMATは、2月24日から2月27日までの4日間、石川県内での活動を予定しており、避難所(ホテルや旅館、民泊施設など含む)における巡回診療にあたります。
 2月22日には、派遣を控えた医師(集中治療部 下野 謙慎助教)と坂本 泰二病院長、吉浦 敬副病院長(災害対策担当)、垣花 泰之救命救急センター長などの関係者が会し、活動のスケジュールや業務内容等について、情報共有が行われました。
 各参加者より激励の言葉が贈られ、派遣職員からは、「被災された方々の急性期後の医療支援は、非常に重要だと考えている。被災地の現状をしっかりと把握し、適切な医療支援を行いたい。」と抱負が述べられました。

※1 JMAT(日本医師会災害医療チーム Japan Medical Association Team )
被災者の生命及び健康を守り、被災地の公衆衛生を回復し、地域医療の再生を支援することを目的とした医療支援チーム

(写真①)情報共有を行う坂本病院長と下野助教
(写真②)左より 前列:坂本病院長、下野助教
         後列:染矢事務部長、吉浦副病院長、垣花救命救急センター長

令和6年能登半島地震に係る日本災害リハビリテーション支援協会(JRAT)チーム活動報告

 令和6年能登半島地震における被災地の医療支援のため、日本災害リハビリテーション支援協会(JRAT)※1より医療支援の要請があり、本院から医師1名を2月5〜2月9日の日程で派遣しました。
 災害リハビリテーションは、大規模災害が発生した時に生活不活発病※2や災害関連死を防ぐために、リハビリテーション医療・医学の視点から関連専門職が組織的に支援を展開し、被災者や要配慮者などの早期自立生活の再建・復興を目指す活動です。
 今回、本院からの医師1名は恒心会おぐら病院スタッフ(理学療法士3名)とともに、石川県羽咋郡志賀町および輪島市門前地域で支援活動を行いました。
 志賀町では、各地に点在する自主避難所から指定避難所への集約が急ピッチで進められていました。現地の保健師とともに、複数の入所予定者に対して現状の能力評価を行い、他県からの支援スタッフ(ダンボールベッドの設置や避難所管理担当)も交え、最適と思われる環境設定を提案しました。
 また、輪島市門前地域では、現地ならびに災害時健康危機管理支援チーム(DHEAT)の保健師と連携し、介入の必要性が高い避難所や個人宅、介護保険施設を訪問し、施設や入所者の評価、問題点の抽出、環境設定などを行いました。介護保険施設によっては、被災者を受け入れることで入所者数は定員を大きく超えていましたが、自らも被災している職員の方々が限られた人的資源の中で精一杯工夫して業務に取り組んでいました。ところが、追い打ちをかけるように隔離が必要となる新型コロナ感染症が次々と発生しており、今後、入所者の生活不活発病のみならず、職員の疲弊も危惧される状況でした。そこで、現状の詳細について調査し、地域の医療福祉スタッフやJRAT本部へ伝達し、継続的な人的資源の投入など、今後の対応へと繋げました。
 支援中はレンタカーで移動しましたが、目的地までの道のりは、通行止めや路面の損傷、法面の崩落などがいまだ激しい箇所もあり、迂回路を確認し、安全に十分注意しながら慎重に向かう必要がありました。今後の余震の影響も心配です。
 現在、避難所の集約や仮設住宅への入所などが急ピッチで進められ、状況は変化してきていますが、高齢化率が非常に高い地域が多く、継続的な支援が必要です。

<JRAT派遣医師のコメント>
河村 健太郎 医師 (リハビリテーション科)
 現地では朝夕に交通渋滞が発生するため、どのチームも移動に多くの時間を要しておりました。限られた時間の中で、円滑に最大限の支援を行うためには、本部や現地のスタッフと密に連携しながら活動することが極めて重要であると感じました。今回の経験で得たことを、後続するJRATチームへしっかり引き継ぎたいと思います。今回の派遣に際し、応援ならびに後方支援してくださった皆々様にこの場をおかりして深く御礼申し上げます。

※1 JRAT(日本災害リハビリテーション支援協:Japan Disaster Rehabilitation Assistance Team)
平時から加盟団体が連携し、各地域において地域住民とともに災害に立ち向かう仕組み作りに寄与する。また、発災時に災害リハビリテーション支援チームを発足させ、被災者・要配慮者の生活不活性発病や災害関連死等の予防に関する活動を行う。

※2 生活不活発病
「動かない」(生活が不活発な)状態が続くことにより、心身の機能が低下して「動けなくなる」ことをいいます。

(写真①)医療福祉班の合同ミーティング
(写真②)避難所の環境評価
(写真③)屋外仮設風呂周辺の環境評価

●関連リンク (鹿児島大学病院からのお知らせ)
令和6年能登半島地震災害における日本災害リハビリテーション支援協会(JRAT)活動への医師派遣について

令和5年度被ばく傷病者対応訓練を実施しました

 2月10日(土)、川内原子力発電所の放射線管理区域内での汚染を伴う負傷者の発生に対する被ばく傷病者対応訓練を実施し、約40名の教職員が参加しました。
 訓練は、鹿児島県が九州電力川内原発(薩摩川内市)の重大事故に備え実施したもので、約210機関が避難手順や連絡体制を共有しました。当日は、薩摩半島西方沖を震源とする最大震度7の地震が発生し、放射線管理区域内をパトロール中の所員2名が負傷、うち1名が鹿児島大学病院へ救急車で搬送との想定で訓練が行われました。
 この訓練は、平成29年11月1日付けで、鹿児島県から「原子力災害拠点病院」の指定を受けたことにより、関係機関と協力しながら本院で実施しているもので、被ばく傷病者の汚染部分の除染と治療の訓練を行いました。また、「ホールボディカウンタ等搭載車(放射能測定車)」の設置場所や病院敷地内の走行経路の確認も併せて行われました。
 今回の訓練では、鹿児島県からの要請を受けた長崎大学高度被ばく医療支援センターの専門家から医療処置等の助言・指導を受けるなど、連絡体制や搬送経路の再確認も行い、関係機関の連携強化を図ることができました。
 今後、訓練結果を検証し、原子力災害医療対応マニュアル等の見直しを行う予定です。

(写真①) 長崎大学専門家によるストレッチャー養生の指導の様子
(写真②) 被ばく医療処置の様子